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4月から性別適合手術に保険が適用されるにあたり、一定の基準を満たす3つの医療機関が指定される見通しとなりました

 厚生労働省は昨年11月29日、次年度から性同一性障害(GID)の方の性別適合手術に公的医療保険を適用することを決定していましたが、この度、一定の基準を満たす医療機関で手術を行う場合に限って対象とする方向で検討に入りました。4月に保険適用が始まる際には、岡山大学病院など3施設程度が対象となる見通しです。厚労省やGID学会(理事長・中塚幹也岡山大大学院教授)への取材で明らかになったものです。

 保険適用を一定の基準を満たす医療機関に限定するのは、一定の技術や体制を備えた医療機関で安全に手術を受けてもらうねらいです。形成外科や泌尿器科、産婦人科などが一体となって治療できる環境や入院施設、手術を担当する麻酔科医がいることが条件となる見通しです。2015年、GID学会は専門的な知識や経験がある医師を育成する認定医制度を導入していました。

 現状では、岡山大病院のほかに、札幌医科大学病院と山梨大学病院(山梨県中央市)が基準を満たしているそうで、厚労省は、ほかにも保険の対象となりうる医療機関がないか、調査を進める方針です。

 厚労省は1月、中央社会保険医療協議会(中医協)に案を示し、2月上旬に保険適用条件などを公表する予定です。

 日本精神神経学会の調査によると、2015年12月末時点で、国内の26医療機関を受診したGID患者は約2万2000人に上ります。厚労省によると、性別適合手術を行う国内の医療機関数や手術を受けた患者数の統計はまだありません。
 保険適用を機に、性別適合手術の件数や患者の年齢、合併症の割合をフォローする体制をつくります。手術後の満足度などのデータも蓄積し、治療の安全性や質の向上を目指します。
 
 GID当事者で、名古屋大学病院でGIDの方の専門外来を担当する松尾かずな助教(泌尿器科)は「手術は合併症を伴うことが多く、経済的負担から治療をやめる例もある。医師が責任を持って治療する体制がつくられることに意義がある」と保険適用に向けた検討状況を評価しました。

 2001年から性別適合手術を実施している岡山大病院ジェンダーセンター長で形成外科医の難波祐三郎教授は「どう裾野を広げるかが課題だ。岡山大病院で研修システムを整備し、より多くの医療関係者に学んでもらいたいと思う。関東、中部、関西など各地域に基幹病院ができるのが理想だ」と語っています。
 一方、同教授は、今回、ホルモン療法が保険適用外になる見通しであることに対して、「手術後にホルモンを補充しないと、骨粗しょう症や発熱、発汗など更年期のような症状が出てしまう。手術とホルモン療法がセットで保険適用されなければ、十分ではないだろう」とも語っています。

 

 

参考記事:
4月からの性別適合手術 3施設で保険適用(東京新聞)
性別適合手術4月から保険適用 岡山大など3施設対象(中日新聞)

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