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東京都知事、LGBT差別禁止も含めた五輪憲章の精神を実現する条例の制定を検討  

 12月6日に行われた東京都議会定例会の中で、小池知事が「五輪憲章の精神を東京で実現するため、多様性が尊重され、温かさと優しさがあふれる都市を作って参りたい」と述べ、2020年東京大会に向け、あらゆる差別に反対する五輪憲章の理念を条例化する考えを明らかにしました。

 五輪憲章には「この五輪憲章の定める権利および自由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」と定められています(性的指向という文言が盛り込まれたのは、ロシアの反同性愛法に抗議してソチ五輪の開会式を欧米主要国がボイコットしたことがきっかけです)
 小池知事はこれを踏まえ、憲章の理念に沿うあらゆる差別の解消を目的とした条例制定に向け、検討を進める考えを示しました。
「東京大会を成功させるためには、外国人はもとより、女性も男性も子供も高齢者も障害のある方もLGBT(など性的少数者)も活躍できるダイバーシティを実現しなければならない」
 関係者によると、早ければ来年度中の成立を目指しているそうです。 
 まだこの条例の内容は定かではありませんが、もし都内の企業や学校をはじめ、都民に対してもLGBT差別の解消を求めるような(差別を禁止するだけでなく防止にも努め、相談・支援体制を整えるような)ものだとすると、画期的だといえます。現状、国としてはまだLGBT差別禁止法(こちらにまとめられているような)が制定されていないため、東京都が一歩先に進むのかどうか、注目を集めることになりそうです。(なお、都道府県の施策としては、今年1月に福島県が全国で初めてセクシュアルマイノリティへの理解を促す具体的な施策を実施することを決定しています)


 なお、東京都だけでなく大阪府でも、松井知事が「LGBTについての条例制定も課題として認識している」と語っています。
 11月29日の知事定例会見で、記者から「先週『LGBT100人会議』を大阪府が開催し、実際に当事者の皆さんが集まり、働く上で困っていることや、就労について企業に求める要望を話し合ったが、知事は当時者の方々の就労における現状を、どのようにご覧になっているか」と質問され、知事は「まずはLGBTへの理解というものを、裾野を広く広げていくこと。それはわれわれ行政としてもしっかり取り組もうと思っている」と回答。続けて、「大阪府で手話言語条例が可決されたが、LGBTに関して機運を高めたり醸成するという意味でも理念条例みたいなものを今後、検討したりする可能性はあるか」という質問が上がり、知事は「多様な価値観を認めて個性をお互い認め合うということ。条例も含めて対応の仕方というのは課題としては認識していまる」と回答しました。
 このやりとりからは、差別禁止というよりも、理解の浸透を図るというニュアンスが窺えます。それでも、条例ができることによって、府内の企業や学校での研修が実施されたり、府民の方たちにもLGBT差別はいけないんだという認識が広まる一助にはなるでしょう。

 今後もこれらの動きに注目していきたいと思います。
 
 

参考記事:
オリンピック憲章の理念“条例化”へ 小池都知事(Yahoo!ニュース/テレビ朝日)
都議会 代表質問 国政進出に疑問も 豊洲入札不調、公明が知事追及 /東京(毎日新聞)
大阪・松井知事定例会見11月29日(全文2完)消費税、全部地方税化が望ましい(Yahoo!ニュース/THE PAGE)

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