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福島県が全国で初めてセクシュアルマイノリティへの理解を促す具体的な施策を実施することになりました
1月27日、福島県の男女共同参画の基本計画に、性的少数者(LGBT)を尊重し、相談窓口の設置や理解を促す学校教育の実施など具体的な施策を盛り込む改定案の素案が審議会に示され、了承されました。県は審議会の答申を受け、3月末までに改定します。
LGBT法連合会によると、都道府県の基本計画でLGBTに触れた例はあるものの、具体的な施策を示すのは福島県が初めてです。
素案には「性自認や性的指向にかかわらず、等しく尊重され受容される社会の実現」の項目を新設。性別への違和感や性別変更のカミングアウトを強制しないよう、申請書などの書類から不要な性別欄を削除し、教育現場でLGBTの子どもらに配慮すると明記したものです。
審議会はこの日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した同性カップルも災害公営住宅に入居できるよう、県に条例の改正を求めることも決めました。
審議会委員の一人で、LGBTや多様性への理解を広める活動に取り組む「ダイバーシティふくしま」の共同代表・前川直哉さんは「原発事故で差別や偏見を受けた経験を持つ福島だからこそ、多様性を認める基本計画を作る意義は大きい」と評価しました。
前川直哉さんはもともと『男の絆――明治の学生からボーイズ・ラブまで』『セクシュアルマイノリティをめぐる学校教育と支援』といった著書を持つジェンダー・セクシュアリティ研究者です。地元の兵庫県の高校でジェンダーやセクシュアリティについての先進的な取組みを展開してきましたが、東日本大震災後、ボランティア活動をするなかで、福島への移住を決意。「ふくしま学びのネットワーク」を立ち上げて福島の子どもの学びを支援するとともに、「ダイバーシティふくしま」でLGBT支援も始めました。
「ダイバーシティふくしま」は2015年から福島市のライブハウスで「ふくしまダイバーシティ・ナイト」というトーク&ライブイベントを開催したり、『パレードへようこそ!』を上映したり、シンポジウムを開催したり、福島市議選や県議選の立候補者に「性的マイノリティについて」という項目をトップにしたアンケートを実施したり、実に多彩な活動を展開してきました。
震災をきっかけに、このようなアライの方が来て支援してくれるようになり、全国的に自治体や企業の支援が広がっていることを背景に、(また、前川さんがおっしゃるように、原発事故で差別や偏見を受けた経験を持つからこそ)県がLGBT支援策へと動いたのではないでしょうか。
東北はLGBTに対する理解・共感があまり浸透していない(LGBTが生きづらい)というイメージがあるかもしれませんが、こうして福島県が動いたのは本当に素晴らしいことです。周辺の県にもいい影響があるといいですね。
参考記事:
「性的少数者」尊重で具体策 男女共同参画、福島県が改定案(福島民友新聞)