事例紹介
vol.8 サントリー
記事日付:2018/10/02
サントリーさんでは、同性パートナーを配偶者の定義に加える・相談窓口の開設・セミナーの実施など、様々な取り組みを行っています。東京レインボープライドでは、2017年、2018年と2年連続で取り組み内容を紹介するパネル展示をされ、社内からもたくさんのよい反応があったそうです。今回のインタビューでは、これまでの取り組み内容、それに対する社内の反応などを、サントリーホールディングス株式会社ヒューマンリソース本部人事部ダイバーシティ推進室、課長の菅原久里子さん、平田和宏さんにお伺いしました。
●サントリーのこれまでの取り組み
・社内規定における配偶者の定義に『同姓パートナー』を加える制度改定を実施
・LGBTに関する相談窓口の開設
・LGBTに関するセミナー、eラーニングの実施
・LGBT Allyの為のハンドブックを作成、全社共有
・ダイバーシティ通信『いろどり』等による、取り組み内容・情報をグループ内発信
・お客様を含めた社外の方へ企業スタンスの発信
・性別に関係なく誰でも自由に使えるよう多目的トイレマークを順次切り替え 等
●LGBT施策を始めたきっかけ
-御社でのLGBTに関する取り組みはいつ頃から始められたのでしょうか?
2014年頃からLGBTに関する取り組みを検討する動きがありました。2015年にはダイバーシティに関するセミナーの一環として、LGBTについてのセミナーを実施しました。セミナーはお台場オフィスにて実施しましたが、当日は各拠点からも参加できるように中継。セミナーの様子はDVDにし閲覧できるようにしています。
その後、本格的に取り組みを始めることになり、2015年にプロジェクトチームを発足しました。
-本格的にLGBT施策を始められたのはどのようなきっかけだったのでしょうか?
2015年に、渋谷区が同性パートナーシップ制度を導入したこを機に、LGBTに対する社会的関心は一気に高まり、LGBT施策を始める企業が増えていったと思うのですが、弊社でも本格的に取り組みを始めてはという機運が高まっていきました。
●サントリーの「同性パートナー」に関する制度とは
-御社ではどのような取り組みから始められたのでしょうか?
LGBTに関する取り組み検討に向け、ダイバーシティ推進担当だけでなく労務担当も加わり、プロジェクトチームを発足しました。労使交渉での議論を重ね、2017年4月に規定の改定、相談窓口の開設などを行いました。
▼2017年4月に開始した取り組み
・社内規定における配偶者の定義に、同性パートナーを加える制度改定を実施
・相談窓口の開設
・LGBTの基礎知識や配慮について学べるハンドブックを制作しイントラネットで全社員に共有
・多目的トイレのマークを「ALL GENDER」マークへ、切り替えを開始
お台場オフィス、サントリー美術館、サントリーホール、から切り替えを実施し、工場に関しても順次切り替え中
-「社内規定の改定を最初に行うのはハードルが高い」と感じる企業も多いようなのですが、御社ではどのように進められたのでしょうか?
LGBT社内施策の目的は、LGBTの方々も一人ひとりがいきいきと働ける環境を整えることです。その為の社内規定の改定は、社内をまとめられれば実施できると考え、早期に行動に移しました。
●LGBTに関する取り組みに対する社内の反応
-2017年4月に開始された取り組みに対して、社内の反応はいかがでしたか?
相談窓口への相談は数件ありましたが、目に見えての反応はそれ程ありませんでした。ただ、他社でも始めたばかりの頃はそれ程反応はないと聞いていたので、これくらいが普通かなと思いました。LGBT当事者の方にお話を伺うと、職場でのカミングアウトはかなりハードルが高いとおっしゃる方が多いですし、会社が継続的に取り組みを続けていくことで、カミングアウトしたい方がしやすい風土が醸成されていくのではと思います。ですから、2017年4月の取り組み開始はあくまでスタートだと考えていました。
●東京レインボープライドでの取り組み内容
-2017年5月に開催された東京レインボープライドにて、社内施策の取り組み内容をパネル展示されましたが、これはどのような経緯だったのでしょうか?
取り組みを始めてすぐだったので、弊社の取り組みをより多くの方々に知ってもらうためのよい機会だと考え出展しました。また、社外での活動を通して、社員のみなさんにも、自社のLGBTに関する取り組みを再認識していただきたいと考えました。当日の様子や展示内容は後日イントラに掲載し、グループ会社を含め広く共有しました。
-2018年の東京レインボープライドでもパネル展示をされましたが、昨年と比較して何か変化はありましたか?
今年は事前にイントラでイベントの告知を実施しました。イントラで広く事前告知をすることで、より多くの社員にLGBTに関するイベントである東京レインボープライドのことを知ってもらい、足を運んでもらうきっかけとなればとの想いからです。
イントラの投稿に対し、「うちの会社も出展するんですね、誇りに思います」とコメントをくれた者もいましたし、当日参加してパネルを見てくれた社員もいたようでした。
2018年7月に人権セミナーとしてLGBTについても取り上げたのですが、その際もとても反応がよかったです。「こんなことやっていたんですね」とか、「時代の流れに応じて会社も変化しているんですね」などのコメントもあり、LGBTに関しての理解を深めていただくと同時に、会社の取組みを改めて知ってもらう機会につなげる事ができました。
▼東京レインボープライド2018の展示の様子
●今後について
―では最後に今後についてお伺いできますでしょうか?
今後はさらに社内での理解を進めていきたいと考えています。 LGBTの取り組みについてどのようなことをしているかを知ってもらう機会を増やし、全ての人が自分の個性を発揮し、『やってみなはれ』を実現できる職場を目指したいと思います。
-ありがとうございました!
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