事例紹介
vol.7 スターバックス コーヒー ジャパン
記事日付:2018/08/21
東京レインボープライド2018に出展されたスターバックス コーヒー ジャパンさん。出展のきっかけ、事前準備、当日行ったこと、社内外の反応などについて、広報部の林絢子さんにお話を伺いしました。
目次.
・スターバックス コーヒー ジャパンのこれまでの取り組み
・東京レインボープライド2018出展のきっかけ
・東京レインボープライド2018での取り組み内容
・東京レインボープライド2018出展に対するお客様の反応
・東京レインボープライド2018に出展したことによる社内の変化
・今後の取り組みについて
無料セミナーも実施中
企業のLGBTの取組み内容などを紹介し、導入する際に気を付ける際にポイントなどを紹介するセミナーなどを開催中
セミナー日程や内容などはこちらから確認ください。
・企業ポリシーの発信
就業規則、ハラスメントガイドラインに「性差別・性自認・性表現」に対する差別を行わない旨を明記
・社員教育
経営陣、管理職向けのトレーニングワークショップ実施
東京レインボープライド2018出展前に参加メンバーを中心にLGBT研修を実施
・制度
同性パートナーシップ登録制度
性別適合手術のための長期特別休暇
・社外活動
東京レインボープライド2017開催期間中に近隣の店舗でオリジナルレインボーステッカーを掲示し、支援を表明
東京レインボープライド2018にスターバックス号を出展。ドリンク・オリジナルタンブラーの販売、購入者にオリジナルリボン配布
PRIDE指標※2017で最高賞であるゴールドを獲得 など
※PRIDE指標とは
任意団体「work with Pride」が2016年に策定した、日本初の職場におけるLGBTなどのセクシュアル・マイノリティへの取組みの評価指標。http://workwithpride.jp/pride-i/
●東京レインボープライド2018出展のきっかけ
-2018年の東京レインボープライド(以下「TRP」)では、キッチンカー(スターバックス号 )を出展されましたが、その経緯を教えていただけますか?
私自身が弊社のLGBTの取り組みを担当するようになったのは2017年のPRIDE指標に応募するところからでした。2017年度はEの項目(社会貢献・渉外活動)に「TRP開催中に近隣店舗でオリジナルレインボーステッカーを掲示し支援を表明」と記入していたので、TRPというイベントがあること、2018年度も何かしら取り組みをしたいなというのは頭の中にはありました。また、今後もLGBTの取り組みを続けていく上では、何か新しいことも取り入れながら進めていきたいと考えていました。そのタイミングでちょうどアウト・ジャパンさんとLGBT総合研究所さんからキッチンカー出展のお話を頂きました。
せっかくならTRPに出展したいという気持ちもあり、出展するのであればやはり弊社のサービスを通してお客様とコミュニケーションを取りたかったので、キッチンカーにはとても興味を持ちました。
-TRPのお話をさせて頂いたのは2018年の2月頃だったので、準備にあまり時間はなかったのではと思うのですが、進めていく上で工夫されたことなどありますか?
もともとTRP出展は予定していなかったので予算も取ってはいませんでしたが、中長期的な取り組みのひとつとして企画書にまとめて社内で提案したところ、承認していただくことができました。
TRP出展をゴールにするのではなく、LGBTを理解し受容する風土醸成のためのひとつのきっかけとしたことがポイントだったかと思います。
-TRP出展に対して社内の反応はどうでしたか?
スターバックス号の出展を考えていたので、まずは車の手配をしなければと、店舗営業の責任者に話をしに行きました。もともとLGBTに理解がある方だったので、車も空いているので是非協力したいとおっしゃってくださいました。
ゴールデンウイーク期間中など休日は店舗の営業が忙しくなるのですが、店舗の方にも協力するよう伝えてくださいました。当日のシフト作成や運用についても店舗営業の方が担当してくださったのでとても助かりました。
-では、東京レインボープライド2018への出展ではどのような取り組みを行われたのか改めて教えていただけますでしょうか。
飲食ブースにスターバックス号を出展しました。アイスコーヒーやアイスティーなどの販売と、TRPオリジナルのタンブラーを販売しました。ドリンクも含め何かしら購入頂いたお客様にはTRPオリジナルのリボンをプレゼントしました。
TRPの当日スタッフは、公募で集まって頂き、事前にLGBT研修も行いました。
また、TRP会場(代々木公園)近隣店舗では、レインボーの装飾を行いました。
▼スターバックス号
▼TRP会場近隣店舗での装飾
-事前のLGBT研修について詳しく教えて頂けますか?
研修は、TRP当日スタッフをしてくださる方やTRP会場近隣の店舗の方々に参加してもらいました。LGBTについて理解してから参加してもらいたいと考えていたので、研修はTRP出展とセットで考えていました。
研修の内容としては、LGBTの基礎知識、ニュースやドラマなど身近な話題を交えた国内外の現状、店舗でのお客様への配慮などを学んだ後、人事部からLGBTに関わる制度(同性パートナーシップ登録制度など)の説明、広報からTRPについての説明も行いました。時間は3時間です。
―研修を受けた方の反応はいかがでしたか?
モチベーションがとても上がっていましたね。元々学ぶことへのモチベーションが高い方が多いのですが、LGBT研修については特に学べてよかったという声が多かったです。
というのも、弊社のOur Mission and Valuesに「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化を作ります。」という言葉があり、パートナー(スタッフ)たちは日々それを考えながらお客様と接しています。
「誰もが」の部分にもちろんLGBT当事者の方も含まれますが、知識がないことで悪気なく失礼なことをしてしまうのではないかと不安に感じている人もいたようです。研修を受けて「自信を持った」という感想もありました。
研修はとても好評で、今後も実施してほしいという声が多かったです。
▼Our Mission and Values
http://www.starbucks.co.jp/company/mission.html
-TRP限定のタンブラーとリボンについてはどのように進められたのでしょうか?
タンブラーについてはレインボーのものを作りたいと社内で相談したところ「よいと思う」という反応が多かったので、社内のクリエイティブデザイナーと協力して進めました。
多様性を表現したいと思い、虹そのものではなく6色がばらばらに配置されているデザインにしたところがポイントです。
▼TRPオリジナルタンブラー
リボンについては、タンブラーを購入されないお客様も含めてドリンクを購入頂いた全てのお客様とコミュニケーションできてなるべく費用をかけないツールが欲しいねという話をしている中で出したアイデアです。当日は購入後にパートナー(スタッフ)がお客様ひとりひとりとお話しながら手首などにリボンを結ばせて頂きました。
▼TRPオリジナルリボン
-TRP当日はいかがでしたか?
当日のオペレーションをどうするかなど、店舗営業の方と協力しながら話し合いを進め、当日を迎えました。
オリジナルタンブラーの告知は特にしてはいなかったのですが、オープンしてすぐに行列ができ、長蛇の列になりました。とてもたくさんの方が来て下さり、2日目には資材が足りなくなり、近隣店舗に資材をもらいにいくほどでした。とても盛況でしたね。
-お客様の反応はいかがでしたか?
「スターバックスもやっとTRPに来たね」とか「待ってたよ」という声をたくさん頂けたのが嬉しかったですね。弊社の取り組みについてパネル展示もしていたのですが、それを読んで「いい会社だね」と言ってくださる方もいました。
そういった声を頂いて、出展してよかったと本当に思いました。終わった後も当日スタッフには笑顔が溢れ、とても楽しそうでした。
▼TRPでのパネル
▼TRPプロジェクトメンバーのみなさん
●東京レインボープライド2018に出展したことによる社内の変化
-TRP出展後の社内の変化で何か感じることはありますか?
準備段階から、ミーティングをしていると「何のミーティング?」と声をかけられたり、「LGBT当事者じゃないけどTRPって参加していいの?」と聞かれるなど、興味を持っている方が多いなと感じていました。私自身は社内のLGBT当事者から声をかけられることが増えました。TRP前に社内メールで案内をして、後日出展の様子についてもメールで発信したのですが、たくさんの方から反応がありました。
弊社ではこれまで、LGBTの理解促進のためのワークショップの実施、同性パートナーシップ登録制度や性別適合手術のための長期特別休暇などの制度、2017年度のTRPでの取り組みなど、様々なことを行ってきました。元々、LGBTを理解し受容する風土のある会社だとは思うのですが、取り組みを行うことでさらに関心を持つ人が増えてきているのではと思います。そして今回TRPに出展したことがまたひとつの大きなきっかけになったのではと感じています。実際に店舗の方から「地方のLGBTイベントにも出展したい」、「店舗でアライマークをつけたいから作ってほしい」といった声も上がってきています。
-では最後に今後についてお伺いできますか?
LGBTの取り組みは今後も継続して行っていきたいです。店舗の方からもいろんなアイデアが出ているので、そういったボトムアップの企画も実現できるよう進めていければと考えています。
―ありがとうございました!
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