REVIEW

こちらのニュースでお伝えしていたように、トランス女子生徒の中学生活を描いたオーストラリアのドラマ『ファースト・デイ わたしはハナ!』の続編、『ファースト・デイ2』が10月16日（日）からEテレで放送され、先日、最終話（第4話）の放送を終えて、フィナーレを迎えました。思わず「素晴らしい！」と拍手したくなりましたし、最終話は泣けました…。レビューをお届けします。
（文：後藤純一）


 『ファースト・デイ わたしはハナ!』は、中学に上がるのを機に、本来の自分のジェンダーである女の子として登校することを決意するハナの中学生活を描いたドラマで、内容もさることながら、トランス女子であるイーヴィー・マクドナルドさんが主演をつとめ、日本版の声の吹替を井手上漠さんが担当しており、どちらも当事者が演じているというところが素晴らしいです。
　続編の『ファースト・デイ2』は、新学期を迎え、ハナが新たなことにチャレンジし、クラスメートや親友との関係がギクシャクしたり、様々な壁にぶつかりながらも、人間として成長していく姿を描いています。そして何より素晴らしいのは、ハナがトランスジェンダーとしてのPRIDEを獲得し、周囲の人たちにも良い影響を与えていくところです。中学生がここまでできるのか…と感嘆させられ、拍手を贈りたくなります。先生のサポートも光ります（アライってこういうことだよね、と思うはず）。そして、ただ「自分らしくある」だけでなく、周囲の女子たちと同じように、ハナもまた恋をするのですが、自分が直面しているトランスフォビアが彼にも向けられるかもしれないと思うと、一歩を踏み出せず…という、切ないシーンも描かれます。徹頭徹尾、本当にリアルです。『POSE』と並ぶ、トランスジェンダーのドラマの金字塔とも言うべき名作だと感じます。
　全4話なのですが、最終話は、このシーズンにハナが悪戦苦闘しながら悩みながらチャレンジしてきたことの総決算のようなお話で、手に汗握る展開ですし、泣けました。ぜひご覧いただきたいです。

＜あらすじ＞
新学期を迎えたハナはこの１年を充実させるため、いろんなことにチャレンジしてみる。まずは思いきってクラス委員に立候補する。ところが、ジャスミンも立候補。ジャスミンは「トランスジェンダーであることを隠していた」ことに腹を立てハナとは疎遠になっていた。選挙でも敵意むき出しでハナに対峙する。一方、トランス男子のジョシュは同級生の好奇の目を恐れて登校できずにいた。選挙に向けて、積極的に同級生に話しかけるハナだが、多くの子たちがトランスジェンダーであることをまだ特別に見ているようで…。

　てっきりNHKの動画サイトで配信されるとばかり思っていたのですが、1週間の見逃し配信のみで、動画でシーズン2を通しで観ることはできないということがわかりました。
　ただ、『ファースト・デイ わたしはハナ!』は、こちらで無料配信されていますので、いつか、このシーズン2も同じように配信されるのではないかと期待します。
　


ファースト・デイ2
https://www.nhk.jp/p/fdhannah2/ts/JY94J1K5G1/