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ロシアのカサキナ選手がカミングアウト後、豪州に国籍変更

 女子テニス世界ランキング12位で2022年にレズビアンであることをカムアウトしていたダリア・カサキナ※選手が29日、国籍をオーストラリアに変更してプレーすると発表しました。

※カサトキナという表記も見られるのですが、今回参照した記事の多くは「カサキナ」表記でしたので、そちらを採用しています

 カサキナ選手は自身のインスタグラムで、オーストラリアへの永住権申請が認められたことを喜び、「オーストラリアは大好きな場所です。信じられないほど歓迎してくれますし、完全にくつろげる場所です。メルボルンにいるのが大好きで、ここを拠点にすることを楽しみにしています」と語りました。また、「この一環として、今後のプロキャリアにおいて新しい祖国であるオーストラリアを代表することを誇りに思います」「自分のルーツへのリスペクトと感謝の気持ちはこれからも持ち続けるけれど、オーストラリア旗の下でキャリアと人生の新しい章を始めることにわくわくしています」と綴りました。
 オーストラリアテニス協会は、ハートの絵文字とともに「ダーシャ(カサキナ)、オーストラリアのテニスファミリーへようこそ」とメッセージを投稿し、カサキナの帰化を歓迎しました。

 カサキナ選手は31日、ロシアからオーストラリアへの国籍変更について「あまり選択肢がなかった」と述べました。オーストラリア国旗の下で初めての大会となるチャールストン・オープンに臨むカサキナ選手は記者団に対し、「率直に言えば、以前の国で起きていたすべてのことを考えると、あまり選択肢がなかった。同性愛者であることをオープンにしている私にとって、自分らしくありたいのであれば、この一歩を踏み出さなければならなかった。ようやくそれを実行できた」と述べました。「正直、前までとは違う感じがするし、感情的になっているのもわかる。この気持ちに慣れる必要はあるけど、人生の新しい章をスタートし、大舞台でもオーストラリア国籍の下でプレーできることは本当にうれしい。オーストラリアは、私が自分らしくいられる場所だと感じる。この美しい国の一員になれるという特権を得られたことを本当に幸せに思う」「オーストラリアがとても寛容で、オープンマインドな国であることは明らか。誰もが歓迎される国だと思う。テニス連盟も一歩踏み出してくれて、彼らと一緒にこのプロセスを進めてきた。彼らのサポートがなければ、国籍変更は実現しなかったと思うから、本当に感謝している。全てがとても速く進んで、ただただ幸せな気持ち。新たな仲間や連盟の関係者からはたくさんの応援メッセージをもらった」
 
 カサキナ選手は2022年、ロシア下院議員が(2013年の同性愛プロパガンダ禁止法をさらに拡げる)公的な場における「非伝統的」な性関係に関するあらゆる情報を禁じる新法案を提出したことを受けて、女性の恋人がいることをカムアウトし、「この世でストレートであることほど生きやすい方法はありません。選べるのであれば誰だってゲイになんてなりたくないはず。何も好んで生きづらい道を選ぶことはないでしょ。特にロシアでは。今の状況からすると、公の場で手をつなげる日なんて来ません。だからといって、クローゼットの中でずっと隠れて暮らすなんて無理。実際にカミングアウトするまではそのことに囚われ続けてしまう。もちろん、どういうかたちでカミングアウトするか、どこまでを話すかは人それぞれだけど、自分が心地よく生きられることがいちばん大事です」と語りました。
 また、ウクライナ侵攻を公に批判していたほか、ロシア政府の同性愛に対する姿勢も批判していました。
 2023年、ロシア最高裁は「国際的なLGBT活動をする者は過激派組織である」という判決を下し、これがカサキナ選手の国籍変更の決断につながったようです。
 今回、晴れてオーストラリアへの永住が認められ、パートナーのナタリア・ザビアコ選手と一緒に暮らすのかどうかはわかりませんが、メルボルンという素敵な街に居住し、同性愛嫌悪や政府からの干渉を受けることもなくのびのびとプレーできるようになったのは、とてもよかったですね。
 オーストラリア国籍の女子選手としては現在ナンバー1の世界ランクを持っているカサキナ選手。今後は国別対抗戦ビリー・ジーン・キング・カップなどでその姿を見ることができるかもしれません。(ちなみに女子テニス界のレジェンドで、このように国別対抗戦にもその名が冠せられているビリー・ジーン・キングも1981年にレズビアンであることをカムアウトしています。ビリー・ジーン・キング・カップでのカサキナ選手の活躍が実現すれば、特別に意義深いものになりそうです)
 



参考記事:
ロシア出身のカサキナが豪国籍へ変更 女子テニス世界12位(時事通信)
https://sp.m.jiji.com/article/show/3483187
ロシア出身カサキナ、豪国籍変更は 「あまり選択肢がなかった」(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3570826
国籍変更、理由はLGBTへの判決(tennis365.net)
https://news.tennis365.net/news/today/202504/152142.html
“オーストラリア人”として初勝利を挙げたカサキナが国籍変更の理由を語る「同性愛を公言している私が自分らしく生きるため」(SMASH)
https://thedigestweb.com/tennis/detail_2/id=94577
ロシアからオーストラリアへの国籍変更のカサキナを豪テニス仲間が大歓迎!「新しいご近所さん」「楽しくなりそう」(SMASH)
https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=943

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