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【婚姻平等訴訟】3万筆に迫る署名と法制化を求める要請書が提出され、記者会見も開かれました

 「Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に」は23日、3万筆に迫る署名と法制化を求める要請書を主要各党に提出するとともに、日本記者クラブで会見を開き、「最高裁判決を待つ必要はない。国は婚姻平等の実現を」と訴えました。
 

 こちらの記事でお伝えした「日本でも同性婚の実現を!政府・国会は「注視」でなく、最高裁判決を待たずに今すぐ同性婚法制化へ動いてください。」と要望する署名は、本日までに2万9456筆集まりました。みなさん一人ひとりの思いは、超党派LGBT議連と主要各党に提出されました。
 署名と合わせて手渡された要請書は、「日本各地の裁判所で提起された「結婚の自由をすべての人に」訴訟において、札幌・東京(一次)・名古屋・大阪・福岡の5つの高等裁判所すべてで現行法を違憲とする判断が下されている」「自治体パートナーシップ制度の人口カバー率が92%超、同性婚法制化に賛同する市民が7割超」という重大な社会的事実から、日本の社会情勢は、もはや「同性婚を法制化すべきかどうか」を議論・検討する段階にはなく、同性婚法制化の立法作業に着手すべき段階にあることがより一層明らかになっていると言えます、ですから、法律を改正し、法律上の性別が同じカップルであっても現行の婚姻制度により婚姻できるようにする(同性婚を法制化する)ための立法作業を貴党のみならず超党派によって積極的に推進してください、同様の立法作業を進めるよう政府に対して強く働きかけてください、と要請するものでした(全文はこちら
 
 そして本日、原告や弁護団などの方々が日本記者クラブで会見を開き、「国の“注視”を貫く姿勢は、同性愛者を認めず、結婚させないと言っているようだ。今すぐ立法してほしい」「最高裁判決を待つ必要はない。国は婚姻平等の実現を」などと訴えました。
 「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟の原告・中谷衣里さんは、「“注視”という言葉を先延ばしに使わないでほしい。いくら違憲判決が出ても、国会が法整備に取りかからなければ婚姻の不平等状態は何も変わりません。社会を前に進めてください」と訴えました。
 同じく北海道訴訟の須田布美子弁護士は、「全国で五つもの高裁が、民法のような基本的な法律の違憲性を口々に指摘するというのは、憲政史上まれにみる事態であり、この状況を放置することは許されない」「すでに国民の多くが同性婚の法制化に賛成していることは多くの世論調査が明らかにしている。とにかくいますぐ着手してほしい」と訴えました。
 東京一次訴訟の原告・小野春さんは、「パートナーと、かつての婚姻で授かった3人の連れ子を育ててきて、子どもたちにとっては二人とも親なのに、次男の入院手続きができなかったり、学校で家族と想定されず苦労をかけたり、外では他人のように扱われます。私はがんを患っていて、いつそれが目覚めるかわからない、爆弾を抱えている状態で、万が一死ぬときに、家族が家族と扱われず、尊厳が踏み躙られることがあったら、恨んでも恨みきれません。一日でも先延ばしされては困ります。結婚させてください」と涙をにじませながら語りました。
 九州訴訟の原告・こうぞうさんは「私たちのことを当たり前の幸せと認めてくれる母は今年で83歳です。家族のあり方の根幹に関わる問題だからこそ、一刻も早く同性婚の法制化を実現していただきたいと願っています。“注視”という言葉を繰り返す国の冷たさに悲しみを覚えます。私は日本が優しく温かな国だと思っています」と、パートナーのゆうたさんは「政府はいまだに『注視する』と言ったり、やらない言い訳を探したり、生産性のないことばかり繰り返しています。(同性婚の法制化は)いまある法律の文言修正で済みます。とても合理的で経済的なアップデートを今すぐに自信を持ってやってもらいたい」と訴えました。
 関西訴訟の田中昭全さんは、「私は香川県の田舎で生まれ育ち、小さい時からことあるごとに結婚とか彼女とか、そういう言葉が飛び交うなか、自分自身は小学校6年生の時にゲイであることを自覚して、そういう未来はないのかと諦め、在学中も誰にも相談できず、社会人になって、結婚は、孫はとさんざんせっつかれて、結婚って何だろうといっぱい考えて。ようやく生涯のパートナーが見つかった時、法律は私たちを対象にしていないのだと改めて思わされました。裁判にあたって憲法や法律を勉強し、私たちの権利が疎外されていると理解しました。しかし大阪地裁で合憲判決が出て、トラウマに…辛かった。ようやく高裁で私たちが求めることを言ってくれました。あとは立法だけです。議員の皆さん、よろしくお願いします」と語りました。パートナーの川田有希さんは、「僕たちが裁判に関わることになったとき、考えたのは家の相続だけだったんですが、国際カップルの在留資格や子育てのことや、婚姻できないことによって生じているいろんな不都合のことも感じてきました。そのなかで、もう少しで70になる父親が、大阪地裁で意見陳述をしてくれて、父親としては婚姻してほしい、親を安心させてほしい、息子の幸せを感じながら暮らしたい、それをなんとか叶えてあげたいと言ってくれました。私たちは普通に結婚して普通に暮らせる権利を求めているだけです。“注視”じゃなくて、ちゃんと向き合って、法制化してください。よろしくお願いします」と語りました。

 会見には憲法学者の木村草太・東京都立大教授も同席し、高裁判決の意義について解説しました。
 この訴訟の争点は複雑で、婚姻にはたくさんの(おそらく全部で数百の)効果があり、原告は、婚姻できないことによってこれら全てが得られないことの違憲性を問うている。
 裁判所が民法・戸籍法のどこが違憲かと裁定する際、「全部違憲」と「部分違憲」があり、「部分違憲」では解消法としてどのような方法が許されるのか、例えば別制度を設けるとか、という判断になる。これまでの判決を整理すると、地裁は「部分違憲」だった、大阪は合憲と言われるが「部分違憲」については判断しておらず、別制度は必要と言っている。高裁はほぼ「全部違憲」だった。
 問題は、国側が最高裁で逆転できるのか?ということ。国の主張には無理があるし、立法しない理由を説明できないから「“注視”する」としか言えないのだ。これまでの判決を見ても地裁・高裁で違憲で最高裁が合憲ということは考えにくい。国会、メディア、法学界は違憲判決を前提にした対応を検討する段階に来ている。メディアはそろそろ「国が逆転できるのか?」の見通しや「政府に最高裁に向けた具体的戦略があるのか」を聞くべきだろう。
 目の覚めるような、鮮やかな解説でした。

 その後の質疑応答でも、記者から活発に質問がなされていました。

 以下、記者会見の記録映像です。


 2019年2月に始まった「結婚の自由をすべての人に」訴訟。6年という本当に長い時間、原告や弁護団の方たちが粘り強く闘い続けてくれたおかげで、全国5地裁で違憲(ほぼ全てが「全部違憲」)という判断が出て、その間に9割超の自治体で同性パートナーも婚姻相当であると承認する証明書を発行するようになり、同性婚に賛成する人も7割を超え、同性婚賛同企業も600社を超え、ずいぶん世の中も変わりました。このままだと最高裁でも違憲判決が出ることが確実で、国に勝ち目はないようです。であれば、“注視”して先延ばしにするよりも、早く法制化に向けて動いたほうがいいのではないでしょうか。先延ばしにしている間に、どれだけの人たちが、パートナーとの結婚という夢を叶えられず、愛する子どもたちや親たちの結婚を見届けられずに亡くなるかもわかりません…原告のみなさんの声を聞き、この国の人々の幸せが増えるよう、一日も早く動いていただきたいと思わずにいられません。
 
 


参考記事:
5高裁で“違憲” 同性婚を直ちに認めるよう各政党に要請書提出「合理的・経済的なアップデートを」(RKK熊本放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1873364
「注視はもう十分」違憲判決相次ぐ同性婚訴訟 原告らが法制化訴える(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST4R2TZBT4RUTIL02ZM.html
同性婚訴訟の行方を「注視する」…政府のそんな答えはもういらない 原告が「判決待たずに法制化」求める(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/400526
「国の注視はもう十分」 同性婚訴訟 札幌の原告ら法制化訴える(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1151999/
同性婚「今すぐ立法を」各地で訴訟の原告ら訴え 慎重姿勢の石破政権を批判(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1166516.html
同性婚訴訟「法制化に向けた検討、ただちに着手を」 熊本の原告ら都内で会見(熊本日日新聞)
https://kumanichi.com/articles/1752795

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