NEWS

LUSH(ラッシュ)が3種のバスボムの商品名を「ダイバーシティ」「エクイティ」「インクルージョン」に変更

LUSH(ラッシュ)が3種のバスボムの商品名を「ダイバーシティ」「エクイティ」「インクルージョン」に変更

 英国発のナチュラルコスメブランドLUSH(ラッシュ)が、現在発売中のバスボム3種(「サーマルウェーブス」「桜日記」「アメリカン・クリーム ボム」)の名称を「ダイバーシティ」「エクイティ」「インクルージョン」に変更することを発表しました。全国78店舗および公式オンラインストアを対象に、既存商品がなくなり次第、5月上旬頃から順次新商品名での販売に切り替えていく予定です。

 ラッシュジャパンのプレスリリースによると、この商品名変更の背景は以下のとおりです。
「米国では近年、フロリダ州で2022年に可決された「Don’t Say Gay」法など州レベルでの人権侵害が続いていました。また、新たに米国連邦政府機関におけるDE&Iプログラムの中止を促す大統領令が発せられ、DE&I部門の閉鎖を実施したことは、想像を超えた広範かつ深刻な影響を与えています。多くの米国系企業は自主的にこれに追従することを選択し、DE&Iプログラムの終了または縮小を決定しました。さらに、一部の企業では、自社のHPから「黒人のための公平性」や「LGBTQ+の権利」へのコミットメントを約束する文言や「トランスジェンダーの権利」に関する言及の削除を始めています。
 このような状況の中でラッシュは、引き続きDE&Iを実現するための取り組みを継続し、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)といった言葉そのものがこの世から消えてしまうことを懸念しています。これに対するアクションとしてラッシュは、2025年1月下旬に、米国で展開する約200店舗と公式オンラインストアなどを対象に、自社のバスボム3種(サーマルウェーブス、桜日記、アメリカン・クリーム ボム)の商品名を期間限定で『ダイバーシティ』『エクイティ』『インクルージョン』に変更しました。また、これら言葉の更なる可視化向上を目指し、日本を含む全世界のラッシュでも商品名を変更することを決定しました」
 
 ラッシュコスメティックスの創立者兼CEOのマーク・コンスタンティン氏は、「ラッシュが行動を起こし続けるDE&Iの取り組み」と題して以下のようなコメントを発しています。
「ラッシュがベストセラーのバスボムの商品名変更の決断をした行動は、ラッシュがキャンペーンカンパニーとしてあらゆる社会課題に向き合い、その根本解決を目的に企業というプラットフォームを使いながら声を上げ続けてきた歴史に沿うものです。ラッシュジャパンとしても、2012年から現在に至るまでに、LGBTQ+コミュニティの権利擁護や同性婚の法制化など、様々な社会正義のためにキャンペーンを継続的に実施しています。ラッシュはエシカル憲章と呼ぶ、企業としてのあり方やビジネス手法についての指針に沿って行動し、これにはスタッフへのケアも含まれます。2020年にはダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを視野に入れた環境を整えるべくプログラムを全世界のラッシュで展開し、より多くのリソースをこれに充てることになりました。また同年10月には、日本でも約600種におよぶ全商品名をスクリーニングし、ダイバーシティとインクルージョンの観点に欠けるメッセージとなり得る合計11種の商品名を変更しました。ひとりの人間として、リーダーとして、そして成功に向けた平等な道筋を重んじる組織として、より包括的な存在になるためにはすべての人々が力を合わせる必要があることを踏まえ、ラッシュでは多様性に富んだ人材を支援し、共に歩み、称えあう職場づくりに取り組んでいます。2024年7月には全社員を対象にした、DE&Iを含むラッシュが大切にする倫理観について学び、考え、対話をするイベントを開催したほか、2025年2月にも主に管理職者などを対象にしたトレーニングおよび対話の機会を設けるなどし、継続的にスタッフが心理的安全性を保ちながら交流できる機会を開催しています。なお、ラッシュがブランド創立から現在に至るまでに草の根団体に提供したグローバルでの寄付金の累計は、1億ポンド(約200億円)を超えます。重要な局面にある今、今回の商品名の変更は、否定されるべきではない言葉の可視化向上はもちろん、これらの言葉が持つ本質的な意味合いを考えたり会話を作っていくことが目的であり、DE&Iポリシーやプログラムに対するラッシュの簡潔かつ明瞭な意思表明を意味しています」

 ハフポスト日本版の記事によると、ラッシュのエシックス(倫理)ディレクターであるヒラリー・ジョーンズ氏は「ラッシュはDEIプログラムを廃止しないことはもちろん、『あなた方の存在は今も見られ、大切に思われている』ということを伝える必要があると感じ、バスボムの名前を変えました」と語っています。


 ラッシュジャパンは2014年、ロシアの反同性愛法に反対するバレンタイン・キャンペーンを展開し、2015年1月には「WE BELIEVE IN LOVEキャンペーン ~LGBT支援宣言~」を実施するとともにLGBTQの従業員のための社内人事制度の改定も行なうなど、渋谷区の同性パートナーシップ証明制度発表以前からアライ企業として目覚ましい取組みを見せてきました。2021年にはLGBTQ平等法の制定を求めるキャンペーンを展開し、2022年3月には札幌地裁での歴史的な判決から1年を迎えたのを記念して「結婚の自由をすべての人に」キャンペーンを展開し(レポートはこちら)、6月にはその第2弾として「ArtでAction」キャンペーンを展開(レポートはこちら)、2023年2月にも「結婚の自由をすべての人に」をメッセージするなど、同性婚法制化を訴える本気の取組みを見せてきました。地方のプライドイベントにも協力・参加してくださっていて(たとえばいわてレインボーマーチでは盛岡駅ビル内の店舗に大きなレインボーフラッグを掲げたり、パレードにも従業員の方たちが参加したり。秋田プライドマーチでは、秋田の店舗でチャリティイベントを開催し、売上を寄付してくれたり)本当に素晴らしいです。

 なお、上述のヒラリー・ジョーンズ氏によると、ラッシュは株式非公開のプライベートカンパニーですが、将来、外部の投資家に株式が売却されるようなことになった場合、ラッシュが大切にしている価値観が損なわれてしまう懸念もあるため、株式の10%を世界中の全従業員が保有するEBT(ラッシュ従業員共益信託)という仕組みを設けているそうです。残り90%の保有者は10%の株主の同意なしにラッシュの倫理的価値観を変えられないようになっているそうです。この「10%の同意なしに変更できないラッシュの倫理的価値観」として作られたのが「エシカル憲章」で、個性や多様性の尊重のほか、ラッシュがグローバルでビジネスをするうえで守るべき倫理的指針が記されています。DEIなどの価値観を守る「責任」が会社だけではなくスタッフ一人一人にあるわけです。「ラッシュのリーダーやオーナーだけの話ではありません。エシカル憲章やEBTを通して、ラッシュで働くすべてのスタッフには、理念が守られているかを確認する力が与えられています」
 
 
 「ダイバーシティ」「エクイティ」「インクルージョン」の名前のバスボムは5月上旬頃から販売されるそうですので、6月のプライドマンスにも買えそうです。パレードの後に、記念に買ったりする方も多いのではないでしょうか。




 


参考記事:
多様性・公平性・包摂性の言葉の可視化向上を目的に3種類のバスボムの商品名を『ダイバーシティ』『エクイティ』『インクルージョン』に変更(ラッシュジャパン)
https://weare.lush.com/jp/press-releases/diversity-equity-inclusion/

DEIは「逆差別」ではない。トランプ政権発足直後にラッシュがバスボムの名前を変えた理由(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/lush-bath-bombs-dei_jp_67d0f436e4b08ae973d95402

LUSH、トランプ政権のDEI廃止に対抗 バスボム3商品の名称を「D」「E」「I」に変更(ウーマンズラボ)
https://womanslabo.com/marketing-case-250409-

ジョブレインボー
レインボーグッズ