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ノンバイナリーの方の申立てを京都家裁が却下、高裁に抗告へ

 昨年12月、ノンバイナリーの方が戸籍の「長女」を「第1子」に変更すべく家裁に申立てへとのニュースでお伝えしていた裁判について、京都家庭裁判所(中村昭子裁判長)が3月17日付けで訴えを退けたことがわかりました。

 
 申立人は京都府を本籍地とする50代の方で、女性として出生届が出されたため、戸籍には「長女」と記載されました。しかし、幼いころから女性の名前や女性として扱われることに強い違和を感じてきました。ジェンダーアイデンティティはノンバイナリーです。
 申立人の方は「パスポートも公的書類も性別欄は男か女かしかなく、自分という存在が認められていないと感じてきた。男とも女とも扱われない権利を保障してほしい」と訴えます。
 戸籍法13条では「実父母との続柄」は戸籍に記載しなければならないとされていますが、性別については明示されていないそうです。現状では「長女」「次男」のように男性か女性かを特定するような性別表記がなされていますが、法的に定められたわけではありません。 

 京都家裁は、戸籍制度は親族関係やその変動を統一的に把握し、公証することを目的としているとし、「生物学的な性は個人が持つ属性として社会生活上重要なもので、戸籍に男女の別を記載することで公的に証明することは必要かつ合理的だ」などとして申立てを退けました。申立人側は憲法に基づく「女性とも男性とも扱われない権利」を保障してほしいと訴えたものの、家裁は「憲法上の権利とは言えない」としました。
 申立人の方は「裁判所は話を聞く機会を設けず、すべてにおいて不誠実だと感じました。高等裁判所に即時抗告します」とコメントしています。
 また、代理人弁護士の仲岡弁護士は、新たに40代の申立人が31日、同様に男女の区別のない記載を認めるよう戸籍の訂正を京都家裁に申し立てたことを明らかにしました。


 戸籍法における実父母との続柄の性別表記は法的に定められたものではなく、いわば慣例のようなものですが、ノンバイナリー(Xジェンダー)である市民が男性/女性という望まない性別表記を強制されることの苦しみは憲法(幸福追求権など)に反する人権侵害なのだから、この望まない性別表記を強制する慣例をやめ、(海外の「X」の表記のような)ジェンダーニュートラルな記載を認めてください、と訴えたことに対し、「生物学的な性」を持ち出し(戸籍上の性別を変更したトランスジェンダーの方の「生物学的な性」は戸籍には記載されません)、「男女の別を記載することで公的に証明することは必要かつ合理的だ」などとして、当事者の苦しみを完全に無視した裁定を下す裁判長…『虎に翼』で描かれたような、家庭裁判所設立当時の方たちがこのことを知ったら、きっとお嘆きになるのではないでしょうか。
 ここ数年、司法では、同性カップルが事実婚夫婦と同等だと認められたり、結婚できないのは違憲だと認められたり、性同一性障害特例法の不妊手術要件は違憲だと認められたり、LGBTQの権利回復をめぐる輝かしい判決が次々に出ていただけに、非常に残念な判決でした。
 ノンバイナリー(Xジェンダー)の方たちの権利回復の訴えはようやくスタート地点についたばかりです。世間でももっとこのことが認知され、支援の輪が広がるといいですね。



参考記事:
“性別とらわれない記載に戸籍訂正を” 申し立て却下 京都家裁(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250331/k10014766331000.html
京都家裁、性別ない戸籍認めず ノンバイナリーの当事者申し立て(共同通信)
https://nordot.app/1279348996913873474?c=302675738515047521
続柄欄「子」への変更認めず 性的少数者の申し立て却下 京都家裁(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025033100959
ノンバイナリーの戸籍、「長女」から「子」記載申し立て却下…京都家裁「憲法上の権利とは言えない」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250331-OYT1T50160/
「戸籍に性別載せないで」却下(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16184253.html

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