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同性ペアの雛人形を扱う人形店がニュースに
3月3日は「雛祭り」。女の子の幸せと健やかな成長を願って行なわれる行事とされています。昔は5段とか7段の立派なひな飾りも見られましたが、今ではマンション住まいの増加によって雛人形は1段飾りが主流になり、伝統行事を敬遠する「節句離れ」もささやかれますが、そんななかでも、レトロでかわいい雛人形や、ゴスロリ、同性カップルなど、多様な人形が人気を集めているという記事が毎日新聞に掲載されました。
「人形のまち」として知られるさいたま市岩槻区の「鈴木人形」には、さまざまなお客さんが訪れます。3代目の鈴木慶章さんは「従来の伝統はしっかり継承していくが、遊び心を持って自由にどこでも、いつでも飾ってもらえる商品も作っていこう」と考え、今年1月にクリームソーダをイメージしたレトロでかわいい雛人形を発売したところ、10セットがすぐに完売したそうです。ほかにもシルバーアッシュの髪色に、華やかなリップやつけまつげ、ネイル、ピアスなどをまとった現代風の雛人形やゴスロリファッションの人形なども人気を博しているそうです。
数年前からは来店客の依頼に応じて同性カップルでの販売にも応じています。きっかけは、養子を迎えた同性カップルが来店し、相談を受けたことでした。口コミで広がり、毎年数組の同性カップルが訪れ、好きな組み合わせでお買い求めになるそうです。
実は同性ペアの雛人形を販売してくれる鈴木人形のことは2022年にもニュースでご紹介しています。
その頃から女雛どうしや男雛どうし、1体のみなど、性の多様性に合わせた注文を受けていたそうです。
鈴木慶章さんは当時、「これはLGBTQの方々に限らずですが、五月人形のほうが好きな女性も、雛人形のほうが好きだという男性もいると思うんです。女性だから雛人形、男性だから五月人形を好きにならなければいけないということはないと思います」と語っています。
女の子は3月3日の桃の節句に雛人形を飾ってもらって雛祭りのお祝いをする(終わったらすぐに雛人形を片付けないと嫁に「行き遅れる」と言われたり)、男の子は強く逞しく育つようにとの願いを込めて5月5日の端午の節句に五月人形を飾ってもらう、七五三は女の子が3歳と7歳で晴れ着やふわふわのドレスを着る一方、男の子は5歳だけ(または3歳と5歳)でスーツや羽織袴を着ることが多いというように、子ども向けの伝統行事は男の子/女の子のジェンダーがはっきり分かれる傾向にあります。
『虹色チェンジメーカー』で村木真紀さんが、子どもの頃、七五三の着物を着るのが嫌で大泣きしたと語っているように、LGBTQのなかにはこうした伝統行事をつらい思い出として記憶している方も少なくないことでしょう(雛祭りをうらやましく見ていた方もいらっしゃることと思います)。こうした伝統行事に込められた、子どもの健やかな成長を願う親御さんの気持ちは本当に尊いものですが、現代の性の多様性に合わせて柔軟なお祝いのしかたも認知されていったら、それはそれで素敵なことですよね。
参考記事:
頭にサクランボ、金髪、ゴスロリ、同性も 進化する「ひな人形」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/graphs/20250228/mpj/00m/020/240000f/20250228k0000m020176000p
同性ペアの雛人形を作ってくれる鈴木人形さん:「女性だから雛人形、男性だから五月人形を好きにならなければいけないということはないと思います」(PRIDE JAPAN)
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2022/3/2.html