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多くの教科書で家族のあり方や性の多様性に関する記述が充実

 文部科学省は25日、2026年度から主に高校1年生が使用する教科書の検定結果を公表し、公民と家庭科の全ての教科書が性の多様性や男女共同参画について掲載したのをはじめ、多くの教科書で家族のあり方や性の多様性に関する記述を充実させていることがわかりました。

 時事通信によると、公民や家庭、国語など幅広い教科書が性の多様性に触れ、事実婚や同性婚、夫婦別姓などを取り上げたものもありました。
 教育図書は、家庭基礎の教科書でレズビアンやゲイなどについて説明したうえで「社会では性の多様性を認識し、制度の在り方を考えることが求められる」と記載、日本地図を使って同性パートナーシップ証明制度の広がりを示しながら各地方で何組が認定されたかということも紹介しています。また、公共の教科書では、「同性婚と訴訟」と題し、同性婚を認めないことは憲法違反だとする訴訟が各地で起きていることを紹介し、さらに、①全ての人が出生時の性別のまま生きる②人はみな異性を好きになる、という「二つの虚構」が日本社会に浸透していると指摘しました。
 帝国書院の公共の教科書は1ページをまるごと使い、「同性婚は法的に認められるべきか?」と問いました。法律婚と同性カップルの持つ法的な権利の違いや同性婚に対する意識調査の結果などを紹介し、「法の意義と役割について、考えを深めよう」と呼びかけています。
 実教出版は「日本では同性同士で結婚できるの?」という欄を作り、日本では同性婚は認められていないとしたうえでG7(主要7カ国)で国レベルの同性パートナーへの法的保障がないのは日本だけだと紹介しました。
 大修館書店は保健体育のコラムではるな愛さんを取り上げ、「体と心の性が異なる自分と向き合ってきた」などと紹介していました。
 開隆堂出版は家庭基礎の「家族と法律」の項目で、現行の夫婦同姓制度での不利益に関する法務省のアンケート結果を掲載し、生徒間での話し合いを促しています。また、「子育てをするLGBTQ家族」という欄で、多様な家族の例として、トランス男性の杉山文野さんが親友のゲイ(松中権さん)から精子提供を受けて女性パートナーが出産し、3人親として2人の子どもを育てていることが、写真付きで紹介されているようです。開隆堂出版の担当者は「具体的な事例を取り上げると伝わりやすい。高校生が自分で課題意識をもって考えてもらえるような構成を意識した」と話しています。

 高校の教科書でこのように、婚姻平等訴訟のことや多様な家族のあり方など、LGBTQコミュニティのリアリティに即したかたちでの記述が増えているのは、実に素晴らしいことです。もちろんクラスにも何人かはLGBTQの生徒がいるでしょうから、もし性的マイノリティに理解のない環境ゆえの疎外感や孤立感に苛まれているとしたら、教科書にそのようなページが載っていることで励まされたり、自信につながったりするのではないでしょうか。

 
 なお、教科書といえば、現行の学習指導要領には「思春期になると、だれもが、遅かれ早かれ異性に惹かれる」という誤った(同性愛を無いものとした)記述しかありません。2010年代にこれを変えてほしいと要望する運動がありましたが、結果、聞き入れられることなく、そのままになってしまいました。次の学習指導要領の改定は、今年から来年にかけて本格的に議論が行なわれ、2027年に次期学習指導要領の改定が行なわれる見込みです。再度、見直しを要望していくことが求められそうです。

 

参考記事:
高校教科書、QR掲載99% 小中に続き、文部科学省検定(共同通信)
https://nordot.app/1277141673985524268?c=302675738515047521
多様な家族、性の在り方掲載 LGBTQ、事実婚、夫婦別姓… 教科書検定(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025032500690
同性婚、夫婦別姓、多くの教科書に 「家族考える上で避けられない」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST3T3J30T3TUTIL009M.html

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