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　ハンガリーの国会で18日、LGBTQのプライドパレードを禁止する法案が可決され、議場内に抗議としてレインボーカラーの発煙筒が焚かれました。

　
　プライドイベントを禁止し、しかも当局が顔認識ツールで参加者を特定、違反した場合は最大20万ハンガリーフォリント（約8万2000円）の罰金を科すことを可能にするという法律の改正案は、オルバン首相率いる右派与党、フィデス・ハンガリー市民連盟と、少数与党として連立を組むキリスト教民主国民党が賛成し、提出からわずか1日で136対27で可決されました。ハンガリーの「児童保護法」は、学校教育や映画などで18歳未満の未成年に性別移行や同性愛（性的多様性）を伝えることを禁止する悪名高き反LGBT法ですが、この法を修正し、児童保護法に違反するイベントの開催や参加も禁止するということのようです。この法改正についてオルバン首相は“子どもが肉体や精神、道徳面で健全に発達するための権利”を守るため、などと述べています。
　議場では、野党議員らが発煙筒を焚いて抗議し、レインボーカラーの煙が立ち込めました。

　ブダペスト・プライドの主催者は、法案が提出された17日に「これは児童保護ではなく、ファシズム。オルバン政権は批判的な声を封じ込めるためにLGBTQ+コミュニティをスケープゴートにしている」と批判しました。「政府は、マイノリティを標的にすることで、批判の声をあげる平和的な抗議を制限しようとしています。だからこそ、私たちはすべてのハンガリー人がデモを行なう自由のために闘います」
　ブタペスト・プライドは2025年に30周年を迎え、6月28日に開催される予定です。

　アムネスティインターナショナル・ハンガリーのダーヴィド・ヴィグ氏は18日、「この法律はLGBTIコミュニティへの正面攻撃であり、差別を禁止し、表現の自由と平和的な集会の権利を保障するハンガリーの義務を、あからさまに侵害しています」と述べました。「6月のブダペスト・プライド30周年を前にしたこの有害な禁止措置は、時計の針を30年前に戻し、ハンガリーのLGBTIの人々が長い時間をかけて勝ち取ってきた権利をさらに攻撃するものです。残念ながら、当局がLGBTIの個人や団体を標的とし、スティグマを押し付けてきた一連の差別的措置の新たな試みです」

　
　ハンガリーでは、2010年に第二次オルバン政権が誕生して以降、警察によってプライドパレードが中止に追い込まれたりしていましたが、LGBTQコミュニティは闘いをあきらめず、2021年の反LGBT法の制定に際しては3万人規模の抗議デモを行なっています。この法律は18歳未満向けの教材や広告、映画などで同性愛の描写などを禁じるもので、EU欧州委員会が「性的指向に基づく差別」であり基本的権利の制限にあたると非難し、ハンガリーへの復興基金の提供を差し止める法的手続きを行なうなどしています。
　オルバン政権はしかし、LGBTQコミュニティへの弾圧の手をゆるめることはありませんでした。
　時事通信によると、トランプ米政権が反LGBTQ政策をとっていることがオルバン政権に追い風となっているようです。




参考記事：
ＬＧＢＴパレード禁止　「顔認識」で参加者に罰金―ハンガリー（時事通信）
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025031900370
ハンガリーでプライドパレードを禁止する法案が可決。LGBTQコミュニティへの抑圧だと抗議の声（ハフポスト日本版）
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_67da0705e4b0177e4d711a9b
赤や緑色の煙がモクモク…“プライドイベント禁止”に野党議員が発煙筒で抗議 ハンガリーの国会で（ABEMA TIMES）
https://times.abema.tv/articles/-/10169297