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性別変更のために離婚を余儀なくされるのは違憲ではないと京都家裁

 なぜ離婚しなければならないのか――特例法非婚要件は違憲だと申し立てられましたとのニュースでお伝えした性同一性障害特例法の非婚要件を違憲だと訴えた家事審判について、京都家裁は19日、「直ちに憲法に反して無効と解することはできない」として申立てを却下する決定を出しました。

 
 幼少期から性別違和を抱き、男性として結婚したあと、妻の理解を得て女性として社会生活を送る京都市に住む50代のトランス女性の原告は、性同一性障害特例法で現に婚姻している人に戸籍上の性別変更を認めない2号要件(非婚要件)が課されているため、離婚しなければ戸籍上の性別を変更することができず、非婚要件は違憲であり人権侵害だとして昨年7月に京都家裁に家事審判を申し立てていました。
 中村昭子裁判長は決定理由の中で、非婚要件が設けられたのは同性婚という現行法で認められていない状態を避ける目的で、法律の整合性を担保するためだとしました。性自認に従った性別の取扱いを受けるか、婚姻関係を維持するかの二者択一を迫るのは「重要な法的利益を制約するものということができる」とも記しました。さらに、同性婚を認めない民法の諸規定が違憲だとする司法判断が相次いでおり、婚姻を継続する権利は「憲法13条と24条1項によって保障された人権として認める余地はある」と言及しました。一方で、どのような関係を法的な婚姻として認めるかなどについては「まずは立法府で議論すべき問題」だとし、非婚要件によって二者択一を迫られる法的利益の制約を受けるとしても、「国会で定められるべき婚姻関係を含めた法的な整合性を担保するものとして非婚要件があることに照らせば、非婚要件が直ちに違憲・無効とはいえない」と判断しました。

 申立人は決定について「少数者の権利を守る司法の役割を事実上放棄しているといわざるをえず、極めて不当で、大阪高等裁判所に抗告したい」とのコメントを発表し、即時抗告する方針を示しました。


 
参考記事:
「離婚せず性別変更」 当事者の申し立て却下 京都家裁(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20250319/2000092566.html
【速報】「戸籍上の性別を変更するには、『結婚していないこと』が条件とされるのは違憲」と当事者が結婚したまま性別変更申し立ても 京都家裁が却下(関西テレビ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8e9999cb5a85d83b971253322ceeb28265207b9c
結婚したままの性別変更認めず 京都家裁 性同一性障害当事者の訴え退ける(ABCニュース)
https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_30380.html

既婚者の性別変更認めず 京都家裁「直ちに憲法反せず」(日経新聞/共同通信)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF19AH50Z10C25A3000000/
既婚者の性別変更認めず 非婚要件「直ちに無効と言えない」 性同一性障害・京都家裁(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025031901017
既婚者の性別変更認めず 非婚要件「憲法に反しない」 京都家裁(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250319/k00/00m/040/263000c
結婚したままの性別変更認めず 京都家裁「立法府で議論すべき問題」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST3M2PM0T3MPLZB003M.html
妻との婚姻維持したまま戸籍上の性別変更求めた審判、トランスジェンダー当事者の訴え認めず(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1443267

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