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【同性パートナーシップ証明制度】北海道登別市・江差町、宮城県石巻市、東京都江東区、和歌山県白浜町・紀の川市が制度導入へ
今月は北海道で動きがいろいろありました。
ちょうど1年前に「現在素案を作成中で早ければ2024年度中に導入予定」とお伝えしていた北海道登別市が、4月1日から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入するそうです。
江差町も4月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します。
江差町は性的マイノリティについて「社会の理解が進んでおらず、偏見や差別など困難を抱えがちな現状にある」とし、性の多様性を認める地域社会の実現を目指して3月、新たに条例を制定しました。条例ではすべての町民が性の多様性を尊重され、自らの意思によって地域社会の活動に参画し、能力を発揮する機会を確保されることなどを基本理念として挙げています。そのうえで、法律上は結婚できない同性のカップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ宣誓制度」を4月から導入します。
道南では函館市と北斗市が「パートナーシップ宣誓制度」を導入していますが、道によると、条例を定めるのは道内で初めてだそうです。
江差町は「『不幸ゼロのまち』の実現に向けた一環として、LGBTQの一人一人が個人として尊重され、自分らしく安心して暮らしていける地域づくりと多様性が尊重される社会づくりを進めていきたい」としています。
一方、先月のニュースで「パートナーシップ宣誓制度」を4月1日から導入する予定だとお伝えしていた厚岸町では、今月の町議会に提出していた関連条例の一部改正案が採択されず、導入が延期されることになったそうです…残念ですね。
札幌市は、4月から「パートナーシップ制度自治体間連携ネットワーク」に加入することを発表しました。札幌市以外の道内39市町村も一斉に加入するそうです。
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宮城県石巻市は18日の市議会2月定例会一般質問で、「パートナーシップ宣誓制度」の2026年度の導入を目指すことを明らかにしました。岡浩復興企画部長は議員の質問に「検討委員会を組織し、当事者との意見交換など導入に向けた準備を進める」と答えました。
石巻市は2017年度から性的少数者に関する市民向け研修会を開くなど理解促進を図っていて、今年2月には「パートナーシップ宣誓」をしたカップルが利用できる行政サービスの調査を始め、制度導入の取組みを進めてきました。
市が実施した2023年度の市民意識調査では、導入について「賛成」が23.0%、「どちらかと言えば賛成」が26.9%で、両者を合わせるとほぼ半数を占めました。斎藤正美市長は2023年3月の市議会で導入に前向きな姿勢を示していました。
宮城県では仙台市と栗原市で制度を導入していて、石巻市で実現すれば県内3例目となります。
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東京都江東区の区議会本会議で13日、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を盛り込んだ「男女共同参画条例の一部を改正する条例」が賛成多数で可決され、7月1日に施行されることになりました。区によると、東京23区での制度導入は14区目となります。
この改正条例をめぐっては、こちらのニュースでお伝えしていたように、区長の交代や区議会での反対などにより、先送りの状態が続いていました。今月6日にあった区議会企画総務委員会では否決されたものの、区議会本会議で改めて採決が行われ、賛成21、反対18で可決されたそうです。大久保朋果区長は「江東区版パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓については、生活上の困り事を抱える区民の悩みに寄り添うべく、制度の創設を図ってきた。区民に寄り添った制度運用に取り組んでいく」と述べました。
紆余曲折ありましたが、晴れて制度導入が決まったこと、お慶び申し上げます。よかったですね。
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神奈川県藤沢市で、「パートナーシップ宣誓制度」の申請が10日からオンラインでできるようになりました。
藤沢市では2021年4月から同制度を開始し、これまでに67組が宣誓したそうです(今月3日現在)。市が実施した当事者アンケートで、平日に二人で来庁して手続きする必要があることや、宣誓書受領証の交付も長い時は2時間待つこともあり、「負担」「やや負担」という声がおよそ6割に上ったことを受け、オンライン申請を導入したそうです。
電子申請は県内では横浜市が実施していますが、受領証等の受取りは窓口に行く必要があるそうで、一度も来庁せずオンラインのみで完結するのは藤沢市が初だそうです。ただし、再交付申請や返還の届出、自治体間連携による宣誓は来庁が必要となります。市人権男女共同平和国際課では「今後も市民の皆様の声に寄り添って運用していきたい」としています。
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和歌山県白浜町は4月1日から「町パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入します。和歌山県ではすでに県や橋本市、新宮市、串本町、那智勝浦町が同様の制度を導入していて、4月1日からから紀の川市も導入します。
制度は、白浜町長期総合計画の男女共同参画基本計画にある「誰もが尊重され、豊かな生活を送ることができるまちづくり」に基づいて導入されることになりました。
宣誓したカップルは、町営住宅の入居申込みや、育てているお子さんの保育所の入所申込みなどで婚姻した夫婦と同様の待遇を受けることができるようになります。町は公式ホームページで制度を周知しているほか、今後リーフレットを作る予定です。
白浜町といえば、レインボーフェスタ!をはじめ関西のレインボーイベントに以前からたくさん協賛してくれているアドベンチャーワールドや、南紀白浜空港がある町です。大人気のテーマパークを楽しめたり、本州一早い海開きが行なわれたりするリゾート地というだけでなく、そこに住む当事者の方も今までより暮らしやすくなり、ますます魅力が高まりそうですね。
参考記事:
登別市、4月から開始 パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度、多様な性の在り方尊重(室蘭民報)
https://www.muromin.jp/news.php?id=123135
江差町 「パートナーシップ宣誓制度」4月導入へ 条例も制定(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20250313/7000074025.html
厚岸町「パートナーシップ宣誓」先送り 4月導入断念、議会理解得られず(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1133213/
パートナーシップ宣誓、転居時の継続手続き簡素化 北海道内40市町村、全国組織加入(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1136886/
パートナーシップ制度 石巻市、26年度導入へ(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20250318khn000097.html
江東区、パートナーシップ宣誓制度を導入 7月施行(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST3F4FTHT3FOXIE02FM.html
江東区、パートナーシップ制度を導入 委員会では否決、本会議で可決…曲折の背景に「区政の混乱」も(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/391583
パートナーシップ制度導入 4月1日から、和歌山県白浜町(紀伊民報)
https://www.agara.co.jp/article/473443