NEWS
千葉県市川市がLGBTQを含め婚前カップルに住居費用を補助する制度を設立へ
市川市は5日、新婚生活を応援する国の事業に加え、新たに市独自で結婚前の段階から住居費用を補助する「結婚準備(市川プレウェディング)・新婚生活住まい応援事業」を始めると発表しました。全国初だそうです。そして、素晴らしいことに、この制度の対象には外国人やLGBTQのカップルも含まれます。
市川プレウェディング事業は、結婚を見据えて新たに住居を借りて一緒に住み始めた世帯を対象とするもので、経済的な支援によって若者が結婚しやすい環境を作るだけでなく、その後も市内で生活し、子育てをしてもらうような少子化対策と定住対策が狙いです。対象は市内に住民登録があるカップルで、ともに39歳以下、合計所得が年間600万円未満の世帯となります。
引っ越し関連の補助として5万円、毎月の家賃補助として2万円で、1年間を限度に最大で計29万円が支給されます。
同時に市は、新年度から、国の補助事業で結婚したカップルを対象に「新婚生活住まい応援事業」も導入します。市川プレウェディング事業とほぼ同内容の支援を1年間受けられるため、カップルによっては最大2年間の給付を受けられることになります。
もし、結婚を見据えて同居を始めたものの関係が破綻してしまった場合も、市は返金を求めないそうです。
事業は新年度の4月1日から始まりますが、引っ越しが多い3月に入居したカップルもさかのぼって補助対象にするそうです。
市川市では性自認・性的指向にかかわらず生きやすい社会の実現をめざし、2022年から「パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度」を導入しています。鈴木賢明治大教授によると、市川市の制度の大きな特徴は、届出受理証明書だけでなく、戸籍謄本に相当する届出事項証明書も発行し、二人の現在の関係を証明できるようになったということです。より婚姻届に近い制度です(朝日新聞「同性パートナーとの関係「もう隠さない」 きっかけは男子中学生が…」より)
どうしたら同性カップルのパートナーシップも婚姻届と同様に扱うことができるのかということを真剣に考え、全国で初めて「届出」制度を創設した市川市。今回の制度も、できるだけLGBTQに寄り添い、支援していこうとする市川市の姿勢を反映し、同性カップルや外国人のカップルでも申請できるようにしたのだと思われたのですが、市長さんによると、むしろLGBTQ支援のためにこの制度を創設したんだそうです。
田中甲市長は5日の記者会見で、米トランプ大統領が「連邦政府が認める性別は男性と女性だけだ」などとする発言に触れて「LGBTQも認めていく社会が市川市にはあると考え、作った」「市川市は自由なところだなと思ってもらえるとうれしい」と語っています。
国が地域少子化対策として実施している結婚新生活支援事業は、結婚(婚姻の届出)が前提で、そもそも婚姻が認められていない同性カップルは制度的に排除されていますが(枚方市をはじめ一部の自治体では、同性カップルにも適用してくださっていますが)、市川市の田中市長は婚姻が認められない同性カップルにも家賃補助制度をという思いで、この制度を作ってくださったようです。しかも、トランプ大統領の反LGBTQ政策に対するアンチテーゼとして、LGBTQを支援しようという気持ちで制度を創設したとのこと。本当に素晴らしいです。
なお、市川市では、2018年4月に結婚式を挙げたハヤトさんとタカさんのカップルが2022年2月の「パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度」スタートと同時に届出を行なっていて(朝日新聞の記事でフィーチャーされています)、現在はなーちゃんというお子さんも育てていらっしゃいます(素敵なファミリーのInstagramはこちら)
もしかしたら、市長さんがプレウェディング事業を思いついたのも、このように子育てをするゲイカップルが市川市に暮らしていたからかもしれないですね。
参考記事:
結婚準備住居費、市川市が補助へ 全国初・外国人も対象(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250206/ddl/k12/010/046000c
婚前カップルに住居支援事業、LGBTQ含め 千葉県市川市が予算案(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST254FWNT25UDCB00NM.html
LGBTQカップルの家賃も補助、結婚準備のサポート開始へ 全国初、少子化対策と住まいの定着を進める(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/384006
結婚前カップルにも同居の賃貸費支援 市川市が全国初、最大58万円(千葉日報)
https://www.chibanippo.co.jp/news/politics/1396870