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毎日映画コンクールが俳優賞の男女区別を撤廃、カルーセル麻紀さんが助演俳優賞を初受賞

 2024年(第79回)毎日映画コンクールの贈呈式が13日にめぐろパーシモンホールで開催され、トランスジェンダーのカルーセル麻紀さんが映画『一月の声に歓びを刻め』への出演で助演俳優賞を受賞しました。毎日映画コンクールでは今回から俳優賞の男優/女優の区別が撤廃され、カルーセルさんは新しい俳優賞を初受賞する栄誉にあずかりました。
 
 
 毎日新聞によると、デコルテの開いた真っ黒のドレスで胸元にきらびやかなネックレスを輝かせたカルーセルさんは、同じく助演俳優賞の池松壮亮さんに手を引いてもらいながら約10センチはあるピンヒールを履きこなしてステージに立ったそうです。
 受賞スピーチでカルーセルさんは、「この映画祭は、私が3歳の頃から…幸いなことにほとんどの映画を観ていました。いつもは客席で見てるんです。この場に立てると思いませんでした。長生きして良かったです」「ジェンダーレスの時代に私が初めてだと思う。みんな頑張っています。だから、この機会に皆も頑張れると思うんです。この賞を受賞できて本当にうれしかったです」と誇らしげに語りました。そして、トロフィーを大きく上に掲げ、「これは私の位牌として。こないだ、妹が心配してきたんですけど、『この賞をもらうことになったから、これを位牌代わりにしてくれ』と言ったらゲラゲラ笑っていた。本当にもらって良かったです。82歳になってなんかもう…おっしっこ漏れそうです」と笑いました。

 
 受賞のきっかけとなった『一月の声に歓びを刻め』という作品は、監督の三島氏が自らの体験をモチーフに3つの島を舞台に描いた人間ドラマで、カルーセルさんは、ノーメークながら美しい佇まいで初老のマキを演じています。マキは、性暴力を受けて亡くなってしまった娘を助けてあげられなかったことの後悔や、性暴力を犯す男性そのものへの憎悪から、自らの男性器を切除して女性として暮らすようになった人物で(※トランスジェンダーではありません。この作品はLGBTQ映画ではありませんので、ご注意ください)、娘に対する懺悔の念を劇中で鬼気迫る演技で表現しています。
 
 1960年代から映画やテレビ、舞台で活躍し、1973年にモロッコで性別適合手術を受けて以降、おそらく想像を絶するような誹謗中傷や侮蔑や嘲笑も浴びながら、トランス女性として闘い、生き抜いてきた(それこそ美輪様やピーターさんやおすぎとピーコさんらと並ぶ)LGBTQコミュニティの大先輩が、このように栄誉ある賞を受賞したことは、本当に喜ばしいこと。おめでとうございます!

(文:後藤純一)
 

参考記事:
カルーセル麻紀 毎コン助演賞に「長生きして良かった」 男優・女優区別撤廃で初受賞(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250213/spp/sp0/006/173000c
長生きしてよかった!カルーセル麻紀が毎日映画コンクール助演賞に笑顔(映画ナタリー)
https://natalie.mu/eiga/news/611424
『毎日映画コンクール』男優&女優の名称が各賞から消える 主演俳優賞は河合優実&横浜流星 助演俳優賞は池松壮亮&カルーセル麻紀(ORICON)
https://www.oricon.co.jp/news/2368667/full/

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