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裁判傍聴に際しレインボーソックスを禁じたのは違法だと訴える裁判が始まりました
今夜の「NEWS ZERO」などでも放送されていましたが、裁判の傍聴に際してレインボーカラーがデザインされた靴下を隠すことなどを命じた裁判所の対応は違法だとして男性3人が国を訴えた裁判が始まり、国側は争う姿勢を示しました。
昨年11月のレインボーカラーのソックスでの裁判傍聴を止められた方が裁判所を訴えましたとのニュースでお伝えしたように、この裁判は、法廷で妨害行為をする傍聴人などに制限をかけることができる「法廷警察権」を行使して、裁判所が、服装の一部を隠すよう命じたのは違法だとして、男性3人が、国に損害賠償を求めているものです。
原告の鈴木賢明治大教授(北海道大学名誉教授でもあり、著書『台湾同性婚法の誕生──アジアLGBTQ+燈台への歴程』は第1回日本台湾学会学術賞と第35回尾中郁夫家族法学術賞を受賞しています)は2023年6月8日、「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟の判決が福岡地裁で言い渡されるのを傍聴しに行きました。まず、裁判所の建物に入る際、バックパックについていたレインボーカラーの装飾を注意されましたが、その時は「表現の自由がある」と反論し、それ以上は追及されませんでした。しかし、法廷に入ろうとした時に「レインボーの靴下では傍聴できない」と言われました。鈴木教授が理由を聞くと「裁判体(裁判官および裁判員)の指示である」との返答で、鈴木教授は「靴下の柄だし、座れば裁判官からは見えない」と伝えましたが、認められず、納得はいかなかったものの、靴下を曲げてレインボー柄が見えないようにして傍聴しました。
原告の弁護団によると、これまでの口頭弁論などでレインボーカラーが禁止されることはありませんでした。しかし、この日の判決言い渡しでは、当日朝に書記官から九州弁護団の事務局長に「裁判体の指示で、レインボーのバッジ等や『marriage freedom(結婚の自由)』などと書かれたTシャツは法廷内では着用しないように」という連絡がありました。これまでにない対応に弁護団も驚いたそうです。
こうした経緯で鈴木教授は、今年4月に袴田事件の再審公判・第14回公判の傍聴のため静岡地裁の法廷に入ろうとした際、裁判所職員から「サポーターズ・クラブのバッジを着けた状態やパーカーに『HAKAMADA(袴田)』の文字が見える状態では入廷できない」と言われた「袴田サポーターズ・クラブ」代表の清水一人さんと、同じく第14回公判でサポーターズ・クラブのバッジを外すよう命じられた袴田事件の主任弁護人・弁護団事務局長の小川英世弁護士と一緒に、裁判長らの行為は「法廷警察権」の要件を満たさないため違法であるとして訴えを起こしました。
CALL4の「オープンコート訴訟 —法廷の“秩序”を問う—」というページに訴状等が掲載されています(訴状は53ページにも及ぶものですが、もし関心のある方はご覧ください)
13日、東京地裁で開かれた第1回口頭弁論で、鈴木教授が意見陳述を行い、「国民の傍聴の自由を不当に制限している。靴下の柄が裁判所の職務の執行を妨げるのか」「権利を守る裁判所としてふさわしなく、真っ当な判断を求めたい」などと訴えました。
一方、国側は争う姿勢を示しました。
参考記事:
“裁判傍聴でレインボー柄の靴下”めぐる国賠訴訟 国側は争う姿勢(日テレNEWS)
https://www.youtube.com/watch?v=DNSPc5-6tZU
法廷での“虹色靴下”着用を制限 国側は争う姿勢示す(テレビ朝日)
https://www.youtube.com/watch?v=veNR8Gx6wDE