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【同性パートナーシップ証明制度】松山市が2月3日から、奥州市が4月から制度導入へ

 愛媛県松山市は、2月3日から「ファミリーシップ制度」の運用を始めます。性的マイノリティや事実婚のカップルとその子や親らを家族として市が公認する制度で、パートナー関係にある人たちが届出を出すことで「ファミリーシップ届出受理証明書」と「ファミリーシップ届出受理カード」が交付されます。届出は窓口のほか郵送やオンラインでも可能です。子どもや親など近親者の氏名も記載できます。事実婚を選んでいるカップルの利用も想定されています。
 法的効力はありませんが、市営住宅の申込みや、住民票の続柄の「同居人」から「縁故者」への変更など、新たに7つの行政サービスを利用できるようになります。市は、入院時の面会や保険金の受取り、携帯電話の家族向け割引プランの活用など、行政サービス以外でも家族として認められるよう、民間事業者に呼びかけていく予定です。
 市人権・共生社会推進課は「互いの個性や多様性を認め合う社会の実現をめざした」としています。
 
 テレビ愛媛によると、トランスジェンダーの渡邉啓之市議は「愛媛、松山市におられるLGBTQのみなさま。そして事実婚の方々が心待ちにしてたものでもあると思います。まだまだ課題はたくさんあるとは思いますけれども、本当に本当にもういいスタート。年明け、私もちょっと感無量な部分があります」「(運用開始は)全然ゴールじゃない。これがスタートです。愛媛県ってまあまあ保守的やったと私は思っております。そのなかでも、私みたいなのが当選させて頂き、このような制度が施行されるのはすごい。もう本当に松山市の方たちがすごいオープンになってきてる。『こういう人たちだっているんだもん』って、みんなが思ってくださってる町に変わりつつあると思います」と語っています。

 松山市では2021年2月に制度の実現を目指す会が立ち上げられ、署名を集めたり、市に要望するなどしていましたが、「当事者間でも意見が異なる」などとしてなかなか実現しませんでした…。が、2023年11月、市議会で市民福祉委員会から速やかな制度導入の提言が出され、12月1日に野志克仁市長が2024年度末までに制度を導入する意向を表明しました。
 ここまで来るのに実に4年もの歳月が流れました…本当に大変でしたが、これまで制度実現のために尽力された皆様に、おめでとうございます、おつかれさまでしたと申し上げたいです(3月8日に松山でパレードがありますので、ぜひ皆さん、お祝いしましょう)
 
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 岩手県奥州市が4月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入することを明らかにしました。宣誓し、宣誓書受領証(パートナーシップ証明書)を交付されたカップルは、市営住宅の入居や、住民票の続柄の「縁故者」への変更などが可能になるそうです。県内では盛岡市、一関市、宮古市、矢巾町、久慈市と陸前高田市、北上市の7市町に続きます。
 また、岩手県では花巻市が東北で初めて条例の制定によって4月からの制度実現を目指します。実現すれば4月から9市町での導入ということになり、東北最多を更新します。
 
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 埼玉県川口市が1月1日から「パートナーシップ届出制度」を始めました。性的マイノリティのカップルが届出を行なうと届出受理証明書と届出受理証明カードが交付されます。

 埼玉県では2018年に「自治体にパートナーシップ制度を求める会」が全国27自治体(埼玉県では7市町)に一斉請願を行ない、さいたま市が早速制度導入を決定、これを受けて「レインボーさいたまの会」が県内すべての市町村長と県に対して取組みを推進するようオンライン署名を立ち上げ、要望を続けてきました。そうして少しずつ市町村で制度が実現していき、今回の川口市の制度導入によって、県内全63自治体での制度導入がコンプリートしました。
 レインボーさいたまの会は1月1日、Xで「2018年の取組開始からやっとこの日を迎えることができました。ご尽力・ご協力・ご支援をいただいたみな様に御礼を申し上げます。今後もファミリーシップ制度がない地域での困難解消にご支援・ご協力をお願いします」とコメントしています。これまでの尽力に敬意を表します。


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 京都府八幡市も1月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。府内で11例目です。
  ファミリーシップ制度として子や親を家族として認めるものではないものの、子については未成年に限り、希望すれば宣誓書受領カード(パートナーシップ証明カード)に名前を記載することができるそうです。また、カードを提示すれば、介護保険の認定申請をする際の委任状も不要となるそうです。
 市人権政策課の担当者は「制度導入によって性の多様性や性的少数者に対する理解と共感が広まることで、カップルの困りごとや生きづらさが解消される」と話しています。

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 「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」によると、今月から埼玉県川口市、京都府八幡市、三重県松阪市、鹿児島県南さつま市などで制度が導入され、制度導入自治体数は少なくとも483に上り、人口カバー率は90.265%に達しました。
 MFAJは公式Xで「たくさんの自治体ができることをしています。しかし、自治体には婚姻を認めることはできません。早く、国が動いてください」とコメントしています。9割超の自治体が同性カップルも婚姻相当だと認めているなか、“社会的承認が得られていない”などといった言い訳は通用しないですよね…。各地の高裁での違憲判決も続いていますし、国は早く同性婚の法制化に向けて議論を始めてほしいです。7日の京都新聞の社説でも「早期の立法措置を促された国会は、切実な声にこたえなければならない。」と述べられています。

 
 
 
参考記事:
性的少数者らを「家族」松山市「ファミリーシップ制度」2月3日に運用スタート「年明けに感無量」【愛媛】(テレビ愛媛)
https://www.ebc.co.jp/news/data/?sn=EBC2025010718985
性的マイノリティーや事実婚カップルを家族として公的に認める「ファミリーシップ制度」 愛媛県松山市が運用開始 市営住宅入居や税に関する証明書受け取りなど可能(あいテレビ)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1653649
松山市、2月からファミリーシップ制度 LGBTQなどに(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC071S70X00C25A1000000/
松山市もファミリーシップ制度導入へ 法律婚以外も「家族」認定(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST1846RHT18PFIB001M.html
松山市がファミリーシップ制度の要綱公示 2月3日から運用開始(愛媛新聞)
https://www.ehime-np.co.jp/article/news202501070426

奥州市が「パートナーシップ制度」 4月導入(岩手日報)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2025/1/8/177097

社説:多様性社会 自分らしく生きられる国へ(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1400785

パートナーシップ宣誓制度 八幡市でもスタート(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250110/ddl/k26/040/112000c
京都府八幡市が「パートナーシップ宣誓制度」導入 性の多様性の理解促進に一役(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1400913

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