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政府が24の法令について同性パートナーも対象になりうると発表
米国ではトランスジェンダーに関する残酷な大統領令が出され、暗澹たる気持ちにさせられた方も多いことでしょうが、国内では少し希望が持てるような、重要な動きがありました。
「Marriage For All Japan」によると、男女の事実婚も対象となっている法令について、同性パートナーも含まれるのではないかとの観点で、昨年末までに各法令の所管官庁が検討し、報告することになっていましたが、本日「早期に結論を得ることが望ましい」として各府省庁に対し、内閣官房副長官補より検討の迅速化の指示が出されました。
その際、各府省庁において、十分な検討が行われるよう、3つの方針も示されています。
①最高裁判決を重く受け止め、その内容を改めてよく吟味するとともに、同性パートナーも含まれうるとされた法令も参考にしながら、検討を加速化すること
②国会審議で偏見等に基づく解釈はしてはならない等の指摘があった点に十分留意すること
③関連する法令がある場合は、各制度のバランスが保たれるよう、関係府省庁間でよく調整すること
また、谷合正明議員によると、この件に関して記者会見で公表された「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」と同一又は類似の文言を含む規定の対象に同性パートナーが「含まれ得る」とされた法令は、最高裁で判決があった「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」をはじめ「公営住宅法」「借地借家法」「民事執行法」「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」「出入国管理及び難民法」など24本で(下図参照)、「更なる検討が必要」とされた法令も130本に上るそうです。
その後、TV等のメディアでもこの件が報道されました。
最高裁が昨年3月、犯罪被害者等給付金支給法の「事実上、婚姻関係と同様の事情にあった者」とする規定について、同性パートナーも含まれるとの初の判断を示したことを踏まえ、政府は類似の規定を有する法令の扱いを協議していたそうです。(昨年6月に超党派LGBT議連が申入れを行なったことが功を奏したようです)
今回、政府が公営住宅法や借地借家法について、同性カップルも事実婚夫婦と同様に扱われるとの見解を示したことで、同性パートナーシップ証明を受けたカップルが公営住宅に入居申込みができるようになるという自治体の取組みが実施されていない地域でも入居申込みの権利が認められたり、建物の賃借人が亡くなった場合でも同性パートナーが追い出されることなく住み続けられるようになると考えられます。DV防止法についても、配偶者の定義に同性パートナーも明確に含まれ、被害相談に際して門前払いにされたりせず、きちんと保護されるようになるのではないかと見られます。
共生社会を担当する三原こども政策担当大臣は記者会見で「各府省庁の検討が加速され、同性パートナーの取り扱いについて早期の結論が得られるよう促したい」と述べました。
これまで法的にゼロであった同性カップルの権利保障について、Marriage For All Japanだけでなく様々な当事者の方たちが声を上げ、司法に訴え、最高裁の画期的な判断につながり、このように、政府も24の法令について同性パートナーも事実婚相当であると認めることとなりました。(婚姻が認められることに比べたら全然足りないかもしれませんが)一定の前進が見られたことを喜びましょう。「更なる検討が必要」とされた法令についても、「最高裁判決を重く受け止め」、所管の官庁が(大村市のゲイカップルに下したような冷酷な仕打ちをこれ以上繰り返すことなく)平等の観点で妥当な判断をしてくださることを期待します。
【追記】2025.1.22
LGBT法連合会が22日に声明を発しました。
「同性パートナーが「事実婚」に含まれ得ると判断された24の法令について、その該当する規定の内容や、同性パートナーを規定の対象とすることで生じる具体的な効果は、現時点では必ずしも明らかではない。その前提の上で当会は、政府が検討を進め、24の法令において同性パートナーが「事実婚」に含まれ得るとの結論を得たことや、他の法令についての検討を迅速化するための新たな方針を示したことを、差別撤廃への一歩前進と捉え、評価する。
一方で、更なる検討が必要とされた法令が依然として圧倒的多数を占めている現状は非常に残念である。各府省庁が内閣官房の示した方針に基づき迅速に検討を行うことを期待し、注視していく。
また、検討の結果、同性パートナーを対象としないとの判断が下される場合には、その根拠を明らかにするよう求める所存である。」
参考記事:
同性パートナー 犯罪被害者遺族の給付金や24の法律など対象に(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250121/k10014699351000.html
犯罪被害者支援など24の法令で「同性パートナーも含まれうる」 検討中の法令も(テレ朝news)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000399268.html
同性パートナー扱い 24法令で「対象になり得る」政府見解 三原じゅん子大臣「早期の結論を」(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1680995
各法令での同性パートナーの扱い「早期に結論を得ることが望ましい」 三原じゅん子大臣(FNNプライムオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/817329
24法令、同性パートナーも適用=事実婚の対象巡り(時事通信)
https://sp.m.jiji.com/article/show/3430793
同性パートナー、支給など対象になりうるのは24法令 政府が精査(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST1P2JHST1PUTFL008M.html