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中野区が同性パートナーにも災害弔慰金の支給や区立校校医等の遺族補償を実施へ
東京都中野区が世田谷区に続き、自然災害で同性パートナーを亡くした人に弔慰金を支給する独自の制度を来年1月に導入することになりました。災害弔慰金制度は法律上の夫婦だけでなく事実婚関係にある異性パートナーも対象としていますが、同性パートナーは対象外とされています(犯罪被害者遺族給付金については最高裁判決で同性パートナーも対象だと認められましたが、その他の法律は変わっていません)。中野区は、災害で亡くなった区民の同性パートナーを配偶者と同じ扱いとし、亡くなった方が「生計維持者」だった場合は500万円(災害弔慰金制度と同額です)、それ以外の場合は250万円を独自に支給します。
また、区立小中学校の校医や歯医者、学校薬剤師が公務上の災害で亡くなった際の遺族への補償についても、来年1月から同性パートナーを対象にするそうです。区立小中の学校医などへの遺族補償は区の条例で定められていますが、同性パートナーは対象外とされていたところを、平等化を図るものです。
中野区は、世田谷区の制度を参考にしたといい、区の担当者は「全ての人を取り残さない地域社会づくりの一歩になる」と話しているそうです。
中野区は2018年から同性パートナーシップ証明制度を導入しているほか、今年の11月から住民票の続柄の表記の対応も行なっています(東京都では世田谷区と中野区だけです)
災害弔慰金制度などにおける同性カップルの待遇の平等化は(財源を必要とすることもあり)同性パートナーシップ証明制度などよりも導入のハードルが高く、世田谷区以外では進んできませんでしたが、中野区が大きな一歩を踏み出しました。
2015年の同性パートナーシップ証明条例制定の発表の頃は渋谷区がセンセーションを巻き起こしましたが、2022年頃には、世田谷区がコロナ傷病手当金や災害弔慰金なども含め、同性パートナーを持つ区民(区職員を含め)に対する区としてできるほとんど全ての施策を次々に実現し(詳細はこちら)、同性カップルの権利回復における最も先進的な自治体と目されています。これに中野区が続き、追い上げているように思われます。
(ちなみに、世田谷区議会にはトランスジェンダーの上川あや区議が、中野区議会にはゲイの石坂わたる区議がいて、LGBTQに関する施策を進めてきました。そのことも大きいと思われます)
もともとゲイ人口が多いと言われており、なかのZEROで数々のLGBTQ関連のコンサートやイベントが行なわれてきたり、2017年にはエイズ学会やTOKYO AIDS WEEKSが盛大に開催されたり(区役所に大きなレッドリボンが掲げられたり)もしてきた中野区ですが、今後ますます住みやすくなり、人気の街になりそうですね。
参考記事:
中野区、来年から同性パートナーに災害弔慰金 学校医らの遺族補償も(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASSD536R5SD5OXIE02WM.html