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【同性パートナーシップ証明制度】仙台は10日から、長崎・時津町も導入
「仙台市パートナーシップ宣誓制度」が今月10日からスタートすることが明らかになりました。 仙台市の郡和子市長が3日の定例記者会見で明らかにしたもので、市長は「去年11月から審議会で活発、丁寧な議論をしてもらい制度を早くスタートできることをうれしく思う」「二人の宣誓を受け止める制度を導入することで、少しでも安心して暮らしやすい環境がつくられ、性の多様性に関する市民の理解が深まることにつながってほしい」と述べました。
仙台市の公式サイトには、制度の導入に合わせ、宣誓書受領証(パートナーシップ証明書)を受け取ったカップルが新たに利用できるようになる行政サービスとして住宅、医療、亡くなったとき、災害時の4つの分野のあわせて11が示されました。
住宅関連では、来年1月の募集分から市営住宅への入居を申し込むことができるほか、これまで異性カップルにのみ適用されていた、市内に一戸建ての住宅を取得した、いずれもが39歳以下の世帯か小学生以下の子どもがいる世帯などに最大で25万円の助成金を交付する制度も利用できるようになります。
また、り災証明書の申請をパートナーが代理申請できるようになるほか、市営墓地の使用者が亡くなった場合などにパートナーの名義に変更することも可能になります。
さらに、仙台市は、制度開始にあわせ、宣誓していない(制度を利用していない)カップルについても、口頭で同居していることや生計をともにしていることなどが確認できれば、すでに利用できるようになっている行政サービスもあるとして、これを併せて周知しました。仙台市立病院で患者のパートナーが面会できたり病状の説明を受けたりできるほか、仙台市立の保育所ではパートナーも子どもの送り迎えをする人として事前に登録できます。
仙台市は今後、さらに利用できる行政サービスが増えれば、市の公式サイトなどで公表していくそうです。
自身も同性のパートナーと暮らし、性的マイノリティの人たちを支援する団体「にじいろCANVAS」の共同代表を務める(同性婚を認めないのは違憲だとして仙台家裁に家事審判の申立てを行なっている)小浜耕治さんは、「やっと導入されて、まずはほっとしています。自治体に認めてもらった感覚です。市民の皆さんにはパートナーシップ制度があることをわかってもらい、性的マイノリティも一緒に住んでいるということを感じてもらえるようになってほしい」と語りました。
同様に「にじいろCANVAS」の共同代表を務める小野寺真さんは「内容はアップデートしないといけないが、日本で宮城県だけが何もしていない空白地帯だったので、まずはスタートできることに少し安心している」と語りました。小野寺さんはトランス男性で、すでに戸籍上の性別も変更していてパートナーは女性であるため、「パートナーシップ宣誓制度」を利用することはありませんが、それでも「制度は生きやすくするための一つの選択肢だと思う」と、「早く二人の関係を証明したい人たちは使ってもらい、使うことで使いにくさもわかるのでその声を届けてもらいたい。自分たちの街がより生活しやすい街になってほしい」と語りました。
人口カバー率が85%を超え、都道府県単位での導入も進んでいる同性パートナーシップ証明制度。政令指定都市では神戸市が昨年導入し、仙台市が最後となります。
また、小野寺さんも言及していたように、宮城県は全国で唯一、制度導入自治体が一つもない空白県でした。仙台市で導入されてようやく、空白が解消されることになります。宮城県では栗原市も今年度中の導入を目指しています。
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もう一つ、制度導入のニュースがありました。
長崎県西彼杵郡時津町が1日、「町パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。県内自治体では長崎市、大村市に次いで3例目です。 同性婚を認めない民法などの規定を違憲と判断した10月の東京高裁判決を踏まえ、生活圏が同じ近隣の長崎市と同等な制度の導入に踏み切ったといいます。町は「人権や多様性への変化に向き合い、町でやれることはやっていく」とし、誰もが自分らしく生きられる社会を目指します。
町福祉課によると、宣誓書受領証を交付されたカップルは、町営住宅への入居申込みなどが利用できるようになります。 山上広信町長は9月の定例町議会で「県の動向を見守りつつ、町単独での導入も視野に、早期導入を目指したい」と答弁していました。
時津町は大村湾に面した風光明媚な町で、長崎県で最も面積が小さい自治体でもあります。そんな時津町が(大村市が全国に先駆けて住民票の続柄について事実婚と同じ表記を認めたように)10月の東京高裁判決を受けて、同性カップルも婚姻相当であると認め、制度導入に踏み切ったことは、(町は小さいかもしれませんが)決して小さな出来事ではない気がします。(事実婚と同じ表記を認められた藤山さんの出身地である諫早市など)県内の他の自治体も続いてくれるとうれしいですね。
参考記事:
仙台市 12月10日からパートナーシップ制度導入へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20241203/6000029601.html
仙台市でもパートナーシップ制度開始へ 宣誓日の予約始まる 「生きやすくする選択肢」当事者から期待の声(仙台放送)
https://www.fnn.jp/articles/-/796502
「カミングアウトしやすくなるのがこの制度」仙台市のパートナーシップ制度10日から開始 当事者が期待することは(東北放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1594210
パートナーシップ制度 仙台市が10日から運用開始へ(東日本放送)
https://www.khb-tv.co.jp/news/15534247
郡仙台市長「少しでも安心して暮らしやすい環境を」パートナーシップ宣誓制度を10日から導入 宣誓日の予約などは3日から開始(東北放送)
https://www.youtube.com/watch?v=j42YcVmNYAE
12月10日から仙台市“パートナーシップ制度”開始 政令指定都市で最後の導入「市民の理解が深まってほしい」(ミヤテレ)
https://news.ntv.co.jp/n/mmt/category/society/mme97175e0875946fa9c2305fd11b35507
仙台市、パートナー宣誓制度を導入 10日から(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC033B90T01C24A2000000/