NEWS

【住民票続柄】東京の約10区の区長が連名で政府に提言へ

 杉並区の岸本聡子区長が呼びかけ、特別区(東京23区)の複数の区長が共同で、政府に対して同性カップルが事実婚と同様に扱われるよう、住民票続柄表記の対応や社会保障制度の改正を求める提言を行なうことが明らかになりました。

 
 岸本区長は12日、杉並区議会の第4回定例会(19日開会)を前にした記者会見で、同性カップルの権利回復について、以下のように述べました。(会見の動画や議事録はこちらに掲載されています)
「同性パートナーの住民票の続柄の記載についてです。
 長崎県大村市に続いて、都内でも世田谷区、中野区がこの11月から、同性パートナーの方の住民票上の続柄を自治体独自に「未届の夫」、「未届の妻」と記載する取組を開始しています。これらの取組を参考にしながら、杉並区でも当事者に寄り添って検討を進めてきました。
 現在、各自治体の同性パートナーシップ制度の対象者は、全人口の89%以上をカバーしていますが、事実婚の方と比べて、受けられる公的サービスには差があります。今年3月、犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金について、最高裁判所は、「被害者と同性のパートナーも事実婚に該当し、給付金の対象になりうる」という初めての判断を示しました。今後も同性パートナーが置かれている状況が改善する判例が積み重なっていくのではないかと考えています。こうした不平等な状況を解消するためには、一義的には同性婚の法制化が必須ですが、そこに至るまでの間、他の自治体と一緒にできる有効な手立ては何か、考えてまいりました。いわゆる「性の多様性を尊重する条例」とパートナーシップ制度を持つ区として、以下の二つを国に求めていきます。
 一つ目:同性パートナーの方が事実婚の方と同様の給付やサービスを受けられるよう、国において各種制度の改正をしてほしい、二つ目:住民票の続柄の表記については同性パートナーの関係をより適切に反映した新たな表記の設定を検討・実施してほしいという2点について、賛同する自治体と連携し、国に対して求めていきたいと考えております。
 国会の動きを見ますと、選択的夫婦別姓の議論はいよいよ実現の兆しが見えています。
 先月末の東京高裁の判決は同性婚を認めない民法などの規定は憲法に違反すると札幌高裁に続く「違憲」判断となりました。同性パートナーや法律婚、事実婚に関わらず、誰もが等しくサービスを享受することができる社会に近づくために自治体としてできることを追及してまいります」
(素晴らしい!)

 また、世田谷区の保坂展人区長は11月18日の区長記者会見で、記者に、杉並区の岸本区長の提言に賛同する意向かどうか問われ、「賛同している」と答えました。
「先日の特別区長会の席で岸本区長から、総務省あてに共同で要請したい自治体があればとのお話しがあった。23区の一定の塊として要請を出せるのではないかと考えている。1点目について、中野区と世田谷区で続柄を夫(未届)、妻(未届)という事実婚同様の表記とすること、その続柄の表記に関する説明も表示するなど、様々な工夫をしながらスタートした。しかし、夫(未届)、妻(未届)という言葉自体、事実婚のカップルについても言えると思うが、同性パートナーシップの表記としてふさわしいのか。総務省としては、事実婚と同性パートナーを同一表記にすることで、事実婚と間違えやすく、実務上の支障が生じる恐れがあるという通知を出しており、住民基本台帳事務処理要領の中で表記を例示しているが、例示の中に同性パートナーに相当する同居者、縁故者ではない何らかの文言を総務省としても考える必要があるのではないか。令和6年3月26日に最高裁判所は、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の扱いで、同性パートナーを「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当し得るという判断を示しており、いわゆる事実婚のカップルと同性カップルの間に差別を設けてはならないということで、すでに国の機関としても、このような差別を取り払うという検討を始めている。単に間違えやすいから駄目だと指摘するだけではなく、ではどうするのかということを検討してもいいのではないか。間違えやすいという問題には、同性パートナーの続柄を夫(未届)、妻(未届)の表記としても、事実婚のカップルは社会保険等に加入できるが、同性パートナーは加入できないからという意味も含んでいる。最高裁判所の判決からも、同性パートナーも加入できるという方向で、検討の上、制度を変えていかなければいけないのではないか。過渡期である現在において、より良い改善を求めていく意図で、今回の要請の内容が固められたのではないかと理解している」(これまた素晴らしいコメントですね)
 記者はまた、「複数自治体において、要望を出しに行くスケジュールなどはあるのか」と尋ね、保坂区長は「岸本区長からは、今月中ぐらいを目途に自治体数が出揃えば、総務省に何らかの形でつないで、要望に行くといったお話しを伺っている」と答えています。

 13日の朝日新聞の記事によると、世田谷区だけでなく品川区や中野区、豊島区、港区など計10区前後の区長が賛同し、近く、政府に対して事実婚と同様の給付やサービスが受けられるよう各種制度を改正すること、住民票の続柄表記について同性パートナーの関係を適切に反映した新たな表記の設定の検討・実施を求めていくことになった模様です。




参考記事:
東京の複数の区長、同性カップルの権利向上求め、政府に提言へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASSDD2QY8SDDOXIE00TM.html

ジョブレインボー
レインボーグッズ