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スイスのアイスショーで世界初の同性ペアのショーが実現
五輪のフィギュアスケート・アイスダンスで金メダルを獲得しているガブリエラ・パパダキスとマディソン・ハベルが14日、来年2月にスイスで行われるアイスショーで同性どうしでペアを組むことを発表しました。世界初の試みだそうです。
フィギュアスケートのアイスダンスは、「氷上の社交ダンス」とも呼ばれ、男女が音楽に合わせてステップワークやリフトなどを行なう競技です(ジャンプがない、男性の肩より上に女性をリフトするのは禁止、といった点が「ペア」競技と異なります)
フランス出身のガブリエラ・パパダキスはギヨーム・シゼロンとのペアで2018年の平昌冬季五輪で銀メダル、2022年の北京五輪で金メダルを獲得しています。アメリカ出身のマディソン・ハベルは、ザカリー・ダナヒューとのペアで北京五輪の団体で金メダル、アイスダンスで銅メダルを獲得し、世界選手権では3度準優勝しています。そんな2人が、2月にスイスの各都市で開催される「アート・オン・アイス」に参加し、同性どうしでペアを組むことを発表しました。
パパダキスは、この「世界初」の試みによって、「私たちのスポーツがもっと包摂的に、現代的に、勇敢になれるということを示したい」と、また「常に女らしく、か弱く、さらには繊細であってほしいという、女子選手への固定観念を打破したい」と語りました。
ハベルも「このプロジェクトを通じて、誰もが自分の考え方やアイデンティティに関係なく、氷上で居場所を見つけられる未来が近づくことを夢見ている」と語っています。
主催者のオリバー・ヘーナー氏は、このショーが「すべての人間の内なる旅」にスポットライトを当てるものだと説明し、「フィギュアスケートの世界に小さな革命を起こしたい」と述べています。
例えばゲイゲームズでは男性どうし、女性どうしのペアで社交ダンスが行なわれたりしていますが、このような(競技大会ではないものの)メジャーなアイスショーのなかで同性どうしでペアを組んでショーを披露するということは画期的、歴史的なことで、誰も見たことがない同性ペアのアイスダンスがどのような表現になるのかという点でも注目されます。
パパダキスはギヨーム・シゼロンというゲイの選手と長年ペアを組んで金メダルに輝いた選手で、上記の包摂(インクルージョン)という言葉にも表れているように、ゲイがなかなかカムアウトできなかったりするスポーツの世界が変わっていくようにという支援の気持ちで、このような前代未聞の(もしかしたら反発も招くかもしれない)ショーを行なう決意をしたのだと推察されます。その想いに賛同して一緒に新しいショーを作り上げるハベル選手や、このパフォーマンスを後押ししているヘーナー氏にも拍手!です。
日本で放送はされないでしょうが、ニュースになるかもしれませんし、おそらくYouTubeなどには上がると思います。世界初の同性ペアのアイスダンス・ショー、ぜひ観てみたいですね。