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ノンバイナリーの方が戸籍の「長女」を「第1子」に変更すべく家裁に申立てへ
12日の朝日新聞の記事によると、京都府に住むノンバイナリーの方が、「長女」と記されている戸籍を「第1子」など性別を明らかにしない記載に変更するよう求める審判を、近く京都家裁に申し立てることがわかりました。
申立人は京都府を本籍地とする50代の方で、女性として出生届が出されたため、戸籍には「長女」と記載されました。しかし、幼いころから女性の名前や女性として扱われることに強い違和を感じてきました。ジェンダーアイデンティティは男性ではなくノンバイナリーです。
申立人の方は「パスポートも公的書類も性別欄は男か女かしかなく、自分という存在が認められていないと感じてきた。男とも女とも扱われない権利を保障してほしい」と訴えます。
家事審判の結果、もし戸籍の訂正を認める審判が出た場合、これを持って役所に行き、申請すると、晴れて「第1子」のように記載変更が実現することになります。
戸籍法13条では「実父母との続柄」は戸籍に記載しなければならないとされていますが、性別については明示されていないそうです。現状では「長女」「次男」のように男性か女性かを特定するような性別表記がなされていますが、法的に定められたわけではありません。申立てが認められる可能性は十分あると思われます。
来年3月の東京マラソンでは、一般ランナーがエントリーする際のカテゴリーにノンバイナリーが追加されています(参加者名簿や記録が「男性/女性/ノンバイナリー」でそれぞれ表示されるようになります)
海外ではパスポートなどに「O」や「X」などのサードジェンダー表記を認める国もありますが、日本では戸籍上の性別は男性/女性しか認められていませんので、今回の申立てを突破口として法改正が検討されるなど、ノンバイナリーの方のジェンダーアイデンティティを尊重する社会システムづくりが進んでいくような道が開かれていくといいですね。
なお、偶然にも、同じ12日、毎日新聞に障がいを持つノンバイナリーの方のインタビュー記事が掲載されました。生まれつき脳性まひによる歩行障がいがあり、車椅子で生活するユキノシタさんは、AFABのノンバイナリーで、さっぽろレインボープライドのスタッフも務める方です。ユキノシタさんは中学卒業後に入った特別支援学校での寮生活での男女分けや女子扱い、“女の子らしさ”の押しつけに悩み、ゲイを嘲笑するような言動も見聞きする環境でカミングアウトなどできず…といった体験を語っています。男/女に分けられている社会システムのなかでノンバイナリーの方がどのような困難に直面し、生きづらさを感じるのかがリアルに伝わってきます。ぜひ記事を読んでみてください。
参考記事:
男性でも女性でもない「ノンバイナリー」 戸籍の記載変更申し立てへ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASSDD15L1SDDUTFL00RM.html
僕って、ありえない? 歩行障害×ノンバイナリー ダブルマイノリティー26歳「ここにいるよ」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20241212/dde/001/040/031000c