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【婚姻平等訴訟】九州訴訟二審判決言い渡しを前日に控えた原告の方たちの思い
「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟の二審(控訴審)判決が明日、言い渡されるのを前に、毎日新聞などが原告の方たちをフィーチャーし、世間の注目を促す記事を上げています。原告のみなさんは、明確に違憲だと言い切ってほしい、そして一審の福岡地裁判決で言及されていたような「別制度」ではなく、婚姻の平等を求める判決であってほしいと願っています。
九州訴訟一審で福岡地方裁判所は昨年6月8日、戸籍上同性のカップルに婚姻が認められないのは個人の尊厳に立脚した家族法の制定を求めた憲法24条2項に違反する状態だという判断を示しましたが、どのような制度で同性婚を認めるかはさらなる議論が必要だなどとして、直ちに違憲とはしませんでした。「婚姻の自由」を保障した24条1項などについては合憲だとしました。このため、原告側が控訴し、二審(控訴審)が行なわれ、今年9月2日に結審していました(詳細はこちら)
原告の一人で福岡市在住のこうすけさんは、小学2年生の時、同級生の男の子を好きになり、「かっこいいよね」と友人に話すと「お前、オカマなの」とからかわれたといいます。当時、テレビのバラエティ番組などでゲイが嘲笑の対象にされることがあり、番組を笑いながら見ていた父親から「お前は大丈夫か? あんなふうになるなよ」と言われたこともあるそうです。自分がゲイだということが知られたら、自分も笑われたり、ばかにされたりするのではないか――との恐怖心を抱いたこうすけさんは、本当の自分を隠し、周囲に同調してうそを重ねるようになったそうです。18歳の時に初めて彼氏ができた時、お母さんに「彼女ができた」と伝え、「子どもができたら面倒見てあげるからね」と言われて落ち込んだそうです。これ以上期待を持たせることに堪えられなくなり、20歳の頃に電話でお母さんにカミングアウトしました。「あなたが幸せならそれでいい」と受け入れてもらえたそうです。そして2017年にパートナーのまさひろさんとおつきあいを始め、2018年にはパートナーシップ宣誓を行ないました。その頃、こうすけさんのお父さんががんで余命宣告を受けたこともあり、将来への不安を覚えた二人は生命保険などを見直そうとしました。しかし、同性パートナーを保険金の受取人に指定できる保険会社は当時数社しかなく、住宅を購入するにも二人の収入を合算したローンの審査が受けられず、どちらかの名義で購入することを余儀なくされました。こうすけさんは「パートナーシップ制度の限界を感じた」と振り返ります。法律上の「家族」ではないため、扶養控除などの税制上の優遇は受けられず、法定相続人になることもできません。
「同性カップルというだけで差別され、不利益を受けるのはおかしい。愛する人と家族になりたい」と、お二人は2019年7月に「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟の原告となり、記者会見に顔出しで臨みました。翌日、職場に着くまで「気持ち悪がられるかもしれない」との恐怖心でいっぱいだったそうですが、同僚から「なんで同性だと結婚がダメなんだろうね」と声をかけられ、ほっとしたそうです。「秘密を抱えながら生きる人生をやっと終えることができました」「私のようにカミングアウトできずに苦しむ人をなくしたい。一人一人が安心して暮らせる国にしてほしい」
こうすけさんは一審で「別制度」に言及されていたことについて、「なぜ、性的指向を理由に区別し、分断するのか」と、「特別な制度は求めていない。異性カップルと同じように愛する人と結婚したいだけだ」と語りました。(海外のシビルユニオンやドメスティック・パートナー法のような)別制度で同性カップルの権利保障が実現したとしても、税制上の不利益などは解消できても、同性愛者が特別視される世の中は変わらない、異性カップルと明確に区別されることで同性愛者は今よりもっと生きづらくなるかもしれないと考えます。
熊本市在住の原告のこうぞうさんも「別制度は一切願っていない」と、結婚より劣るという偏見が残り続けるのでは「未来の選択肢」とは程遠いと感じています。
10月の東京高裁判決は現行制度を明確に違憲だと述べたうえで、別制度で同性婚を認めた場合、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する問題が生じ得ると言及していました。九州訴訟の原告のみなさんの思いと重なる判決でした。
明日の福岡高裁の判決も、そのような喜ばしいものになることを願っています。
参考記事:
同性婚訴訟「違憲と言い切って」 13日判決、別制度にも注目(共同通信)
https://nordot.app/1238028949916778600?c=302675738515047521
「法律上の家族になりたい」 原告男性カップル、違憲訴え 同性婚訴訟、13日判決・福岡高裁(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024121100719
福岡同性婚訴訟 あす控訴審判決 明確な違憲判断を 1審、別制度で代替言及 「区別は偏見生む」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20241212/ddp/041/040/002000c