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【同性パートナーシップ証明制度】東京都江東区で制度創設にストップがかかっています
同性カップルも婚姻相当と見なし、自治体が独自に証明書を発行する制度もこの10年足らずで全国の多くの地域に広がりを見せ、人口カバー率は今年6月時点で85%を超えました。今月1日からは全国19の府県と150の市町村で自治体間連携ネットワークがスタートしました。
そんななか、条例改正によって区独自の「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」の導入を目指していた東京都江東区で、相次ぐ反対の声を受けて制度創設にストップがかかっているという報道がありました。
江東区では5年ほど同性パートナーシップ証明制度について議論がなされてきて、(すでに東京都で「パートナーシップ宣誓制度」が導入されていますが、区独自の制度を作ろうということで)昨年「江東区パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」の素案が作成されました。「性別等にかかわらず、性の多様性が尊重され、価値観や生き方など様々な違いに理解のある社会を促進し、婚姻 関係にないパートナーの二人やその親族が家族として暮らしやすい環境づくりにつなげるための制度とする」と謳い、同性パートナーシップ証明だけでなく、カップルに子や親がいる場合ファミリーシップ登録もでき、また、事実婚のカップルも利用できるという、とてもよい内容でした。区は男女共同参画条例の一部を改正して制度を導入したい考えで、当初のスケジュールとしては、今年3月の区議会に答申し、4月には制度をスタートさせる予定でした。しかし、昨年12月に区長が交代したことを受けて、区議会で「スケジュール変更」が一方的に報告され、区長交代後の「新体制において改正条例案の提案時期等について検討」するとして制度創設がストップされました(「「江東区版パートナーシップ制度」を当初のスケジュール通りに制定してください」署名サイトより)
日テレのニュースによると、大久保朋果区長は11月20日の定例会見で、今月末から開かれる区議会定例会においても「条例案の提出は見送る」と述べました。その理由について、区議会の委員会で条例案を審議した際、議員から賛否の声があがったため、「参考人招致」を行ない、意見聴取をしたうえで、慎重に議論をする方針だとしています。参考人招致の時期は未定です。
区によると、区議会議員からは「“社会の分断”につながらないよう、より丁寧に、慎重に進めるべき事案」「“時期尚早”でいまのタイミングではない」などの意見が出ているそうです。また、区への陳情では、制度の早期実現を望む声がある一方で、「“戸籍制度や婚姻制度、社会制度を大きく変化させてしまうもの”であり拙速に進めるべきものではない」との声も届いています。
大久保区長は「“心配や不安の声”を受け止め、説明責任を果たして導入を進めていく」としています。
SNS上では、「もうほとんどの地域で導入してるのに?導入時期も遅すぎるくらい」「パートナーシップ制度自体は、なんの法的保障もないし、多分取得しない人にはほぼ関係のない制度。先行自治体でも分断なんて起こってないことは証明済みだと思う」「どれだけ性的マイノリティを排除し続けたいのか」「他者の権利が正当に保障されることに対してここまで反動的になれる人の熱意を知りたい」「誰が止めて、どんな参考人を呼ぼうとしてるんでしょうか?」などといった声が上がっています。
2015年〜2020年頃にかけては制度導入をめぐって議会でそれこそ“時期尚早”といった意見が上がりましたが(「宝塚がHIV感染の中心になったらどうするのか」とか「足立区が滅んでしまう」といった、LGBTQへの無理解や偏見からくるトンデモ発言も。ちなみに江東区議会でも2年前に東京都の制度に対して「保険金殺人が増加するのでは」という荒唐無稽な発言が出ています)、すでに10年近く制度が運用され、全国85%超の自治体で導入されているなか、このような意見が上がること自体もオドロキですし、それを傾聴し、制度にストップをかけてしまう区長の姿勢にも批判の声が上がっているようです。
「江東区政を考える会」は11月30日、「パートナーシップ条例の制定を求めるアクションin江東」を江東区文化センター前で開催するそうです。
パートナーシップ条例の制定を求めるアクションin江東
日時:11月30日(土)10〜11時
場所:江東区文化センター前歩道(東陽町駅から徒歩5分)
主催:江東区政を考える会
【追記】2024.11.26
江東区政を考える会が「江東区へのパートナーシップ制度条例の早期実現を求めます」という署名を立ち上げました。
「パートナーシップ制度は、制度を導入した自治体で、同性カップルにも、異性カップルと同じような権利を認めます。それは、何らかの理由で現在の婚姻制度を利用しない人々にとって、しばしば生命や生活条件に直接影響を与えます。江東区の条例提案は、事実婚も対象として認める制度で、多様性を尊重した内容として評価できます。
2018年以来、江東区議会ではパートナーシップ条例の制定について論議がなされて来ました。江東区男女共同参画審議会からも、性の多様性が尊重される社会の推進を強く要望する答申がだされています。
しかし、数名の議員の誤解に基づいた反対や、認識不足がこの重要な条例の進行を遅らせています。実施されている他の地域からのデータでは、パートナーシップ制度は人口減少を速める証拠はありませんし、制度の悪用による犯罪増加も観察されていません。
私たちの地域社会にとって重要なこの法案の進行を阻んでいる誤解をなくすために、私たちはこの署名を開始します。 あらかじめご理解とご協力をお願い申し上げます。この重要な問題について一緒に声を上げ、この署名にご協力をお願いいたします。」
締切は12月1日です。ぜひご協力をお願いいたします。
参考記事:
パートナーシップ制度の導入に“ストップ” 参考人招致で慎重に議論へ 東京・江東区(日テレ)
https://news.ntv.co.jp/category/society/1ed50a741c654e30a1c797d4c26813e9