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【同性パートナーシップ証明制度】鹿屋市や津山市で制度がスタート、橿原市でも導入へ

 10月1日から鹿児島県鹿屋市や岡山県津山市などで制度が導入されました。そのほか全国の同性パートナーシップ証明制度・ファミリーシップ制度に関する動きをお伝えします。

 
 鹿児島県鹿屋市で10月1日、「パートナーシップ宣誓制度」が導入されました。宣誓書受領証(パートナーシップ証明書)が交付されたカップルは、パートナーと市営住宅に入居できるなどの行政サービスが受けられるようになります。
 鹿児島県内の自治体では、指宿市や鹿児島市などに続き、鹿屋市が6例目です。市役所では1日から宣誓制度を紹介する展示会が始まりました。
 鹿屋市市民課の末次真啓さんは「一人ひとりの人権が尊重され、性の多様性に対する偏見や差別のない、みんなが笑顔で過ごせる社会になれば」と話しています。

 また、鹿児島銀行も1日から、同性のパートナーを配偶者とみなす福利厚生制度を始めました。宣誓書受領証(パートナーシップ証明書)を持っている従業員について、同性のパートナーを配偶者とみなし、家族手当や育児・介護休業など社内の福利厚生制度の対象に含めるということです。

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 岡山県津山市が10月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。宣誓者の親や子で、生計が同一である場合、ファミリーシップの登録もできます。
 制度導入に合わせて津山市は、啓発パネル展も実施します。

 また、同日、岡山県の岡山市、総社市、瀬戸内市、備前市、赤磐市、真庭市、美作市、井原市、笠岡市、早島町、和気町の計11市町が同性パートナーシップ証明制度についての連携協定を結びました。笠岡市や岡山市など6市の連携協定を廃止し、新たに井原市など3市2町を含めた協定としたものです。
 パートナーシップ証明カードの交付を受けた方は、連携先の市町に引っ越した場合も簡単な手続きで引き続き制度を利用できるようになります。
 協定の幹事を務める岡山市人権推進課の加藤恵一課長は「自治体が連携を図ることで、当事者に寄り添う姿勢を示せればと考えている。今後制度を導入する自治体などにも働きかけ、連携を拡大していきたい」と話しています。
 岡山県では、9月までに13の自治体が制度を導入しており、今月から津山市でも制度が導入されたほか、玉野市も来年度に導入予定です。さらに連携が拡大されることでしょう。

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 奈良県橿原市の矢追市議によると、来年4月から橿原市 でも制度が導入されるそうです(矢追市議も昨年、議会で要望していたそうです)。市は来年に向けて今後、要綱を整える予定で、市営住宅への入居などが認められそうです。

 奈良県では奈良市や大和郡山市など6市町で制度が導入されているほか、県も今年4月から制度を導入しています。県でパートナーシップ宣誓を行なったカップルは、パートナーシップ証明書をもらえたり、県営住宅への入居などが認められるでしょうが、住んでいる市町村が支援的でない場合、市町村レベルの行政サービスについては恩恵を受けられないこともあり、今回の橿原市のように制度が導入されることによって、市営住宅への入居などが認められたり、市が制度を周知したり市民への啓発を進めたりという点でも、より暮らしやすい街になることが期待されます。
 
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 千葉県では千葉、船橋、松戸の3市で連携協定が結ばれ、昨年7月に市川、習志野、柏の3市が加わり、今年7月からは市原、浦安、袖ケ浦の3市も加わりましたが、10月1日から流山、君津、富津、木更津の4市が加わり、計13市に拡大しました。
 制度の利用者がそれぞれの市の間で転入・転出した際に、必要な手続きが簡略化されるようになります。

 なお、千葉市では9月11日までに合わせて214組が制度を利用していて、このうち6組がファミリーシップ制度も利用しているそうです。

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 東京都豊島区は条例を改正し、2019年4月から同性パートナーシップ証明制度を導入していますが、「パートナーの連れ子や親と家族であることを証明できるものがほしい」という当事者の声を受け、9月18日の区議会で「ファミリーシップ制度」を盛り込んだ条例改正案を提出しました。可決されれば条例としては東京23区で初となります。議会での承認を経て、11月1日に施行することを目指しているそうです。
 豊島区の高際区長はTOKYO MXの取材に対し、「『要綱』で区長決定で進めるという考えもあったと思うが、ここはやはり区議会でしっかり審議してもらって進めていきたい。区長が代わっても簡単にはやめられないような『条例』で、区としてしっかり作っていく」と語りました。
 NPO法人レインボーとしまの会の小吹文紀共同代表は、「すごくうれしいというか喜ばしい」「私の知り合いでもファミリーシップ制度があるんだったら子育ても考えてみようかなという人もいる。あるいは、子持ちの二人が一緒になって、一緒に子育てしていこうかなということも、やはりこの制度ができる・仕組みがあるということが背中を押してくれるような気がする」と語っています。
 豊島区でファミリーシップ制度を盛り込んだ条例ができれば、妊娠・出産・育児などに関する講座を受ける「母親学級」にパートナーが参加できるようになるほか、特別養護老人ホームの入所の申込みや、高齢者用の紙おむつの購入費助成に関する申請などが家族としてできるようになるそうです。

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 9月1日から「パートナーシップ宣誓制度」が始まった福島県。福島民友新聞が「パートナーシップ宣誓制度、理念広がるか 民間や市町村との共有が鍵」と題した記事を掲載し、先行自治体では課題も顕在化しているなか、制度の理念を民間や市町村と共有し、広げていくことが大切だと訴えています。
 全国で初めて同性パートナーシップ証明制度を導入した渋谷区は2022年に実態調査を実施していますが、「証明書を利用できる民間サービスの手続きでもたらい回しに遭うことがある」といった声も上がり、区は証明書の活用機会を増やすため「事業者への理解促進をさらに推進する必要がある」との方針を示しています。
 福島大の前川直哉准教授(社会学)は、「県は制度の周知を徹底したうえで、事業者や市町村もパートナー関係にある二人を『家族』として扱う対応が求められる」「各主体が意識的に対応しなければ制度の実効性は薄れる。官民両方の取組みが必要だ」と語っています。
 制度について、県男女共生課は「さまざまな形で周知を図る」とし、市町村に説明の場を設けます。が、民間への周知については「現在は未定」とのことです。
 今年、ふくしまレインボーマーチの共同代表になった福島大4年の猪股詢平さんは、制度ができたことで、(これまでは「いないもの」とされることが多かったなか)「ここにいてもいいよ」という行政のメッセージだと感じられると語りました。「性的少数者であることで想像以上に苦しんでいる人もいる。何となく触れにくい現状が変わり、一つの『個性』として受け止める雰囲気ができれば、きっともっと生きやすくなる」
 福島県出身で東京都に住む美香さん(30代、仮名)は、関東の大学に進学後、親に「戻ってこないで」と言われて傷つき、地元での就職をあきらめたそうですが、県の制度導入を聞いてうれしく感じ、「今後は福島で生きることが選択肢になる」と語ったそうです。「日々の困り事に積極的に耳を傾け、次の政策につなげてほしい」「制度を作っただけで終わりにせず、これから県内の空気をみんなで変えていければいい」

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 公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」は9月25日、制度が都道府県全域をカバーしていない16の道府県と未導入の市町村数を公式Xに投稿し、「自治体としてできることを早く。知事にぜひお知らせください」とコメントしました。制度未導入の市町村の数は残り502で、北海道が圧倒的に多いこと、宮城県ではまだ導入自治体がないこと、全国的に見ても早くから制度導入を実現してきた那覇市や千葉市、熊本市を県庁所在地とする沖縄県や千葉県、熊本県で、意外と未導入市町村がたくさん残っていることなどがよくわかります。なお、同じ投稿でMFAJは「自治体のパートナーシップ制度には婚姻のように法的効果はないから、国は、早く結婚を性別問わず認めてください。早く同性婚法制化を」とも訴えています。

北海道(残り152)
岩手県(残り23)
宮城県(残り35 ※導入自治体なし)
埼玉県(残り1)
千葉県(残り42)
石川県(残り14)
京都府(残り17)
岡山県(残り14)
広島県(残り12)
愛媛県(残り17)
高知県(残り26)
長崎県(残り19)
熊本県(残り38)
宮崎県(残り14)
鹿児島県(残り39)
沖縄県(残り39)

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 朝日新聞の「「パートナー制度があればいい」は危険な考え 三成美保教授が警鐘」という記事でも、ジェンダー法学者の三成美保・追手門学院大学教授がパートナーシップ宣誓制度の広がりを評価する一方、「パートナーシップ制度があればいい」との考えに警鐘を鳴らしています。
 三成美保氏は、日本学術会議法学委員会の社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会が2017年に「性的マイノリティの権利保障を目指して―婚姻・教育・労働を中心に―」という提言を行ない、2020年に「性同一性障害特例法」の廃止と「性別記載変更法」の制定を提言した際、委員長を務めていた方です(当時は奈良女子大学教授でした)。三成氏は「宣誓制度があればいいという考え方は容認できない。新たな差別の温床になりかねない、危険な考え方」だと厳しく指摘しています。「宣誓制度自体を否定するつもりはありませんが、おおもとの問題点を忘れてはいけません」
 
 
 MFAJも繰り返し「自治体の制度には法的効果がない。早く婚姻平等の実現を」と発信しています。寺原弁護士は法的効力ゼロだと言い切っています。多くのLGBTQメディアでもそのように訴えていますし、当サイトでは、欧米で同性婚に先行して導入されていた同性パートナー法と日本の同性パートナーシップ証明制度が混同される恐れも指摘してきました(こちらをご覧ください)
 犯罪被害者給付金制度において、同性パートナーも事実婚パートナーと同様に支給されるべきだとの最高裁判決が出たり、少しずつ権利回復が達成されている部分もありますが、(あれだけ違憲判決がたくさん出ているのに)国は一向に同性婚法制化に向けた議論を始めようとせず、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告の方が判決を待たずに亡くなってしまったり、愛する人との結婚という夢が叶わないままこの世を去る方もたくさんいらっしゃいます…。もうすぐ衆院選もありそうですが、どうしたら国が変わるのか、同性婚実現を阻害しているものは何なのかということをもっと追及していくことも重要なのではないでしょうか。
 
 

参考記事:
鹿屋市がパートナーシップ宣誓制度を開始 県内6か所目 鹿児島銀行も福利厚生を配偶者待遇(南日本放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/mbc/1462083?display=1

「パートナーシップ宣誓制度」導入の県内11自治体が連携協定(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20241001/4020021536.html
パートナーシップ制度 岡山県内11市町で連携協定(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/535064

パートナーシップ制度 来月より13市に連携拡大(千葉テレビ)
https://www.chiba-tv.com/plus/detail/202409108743
パートナーシップ都市間連携が千葉で拡大 転入・転出時手続き簡略化、10月から13市に(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20240919-62QN3FXBWFMZXHBEMXTZGM47YE/

豊島区がファミリーシップ制度を導入へ 「パートナーの親や子らと家族」と証明(TOKYO MX)
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202409191000/

パートナーシップ宣誓制度、理念広がるか 民間や市町村との共有が鍵(福島民友新聞)
https://www.minyu-net.com/news/detail/2024091709185526636

「パートナー制度があればいい」は危険な考え 三成美保教授が警鐘(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS9L1SWNS9LPLXB00HM.html

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