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アミューズが東京地裁の違憲判決を受けて異例の声明を発表
大手芸能事務所「アミューズ」の法務部公式Xは30日の昼過ぎ、公式Xで、東京高裁での違憲判決を受けて「東京高裁という、最高裁判所に次いで影響力を持つ裁判所がそのような判決を出したことの重みは計り知れないと思います」「各人が持って生まれた個性に誇りをもって生きていける社会の実現を願うばかりです」「多様性をテーマとした作品等によって皆様の心に彩りをお届けできるよう、引き続き微力を尽くします」とのコメント(声明)を発表しました。
続けて夕方には、「アミューズでは、生まれた個性に誇りをもって生きていける社会の実現を願う舞台作品の企画・製作を行っております。『キンキーブーツ』では「Just be who you wanna be(なりたい自分になりなさい)」というメッセージとともに、お客様の人生を彩る作品をこれからも製作してまいります」とのコメントも発表しました。
『キンキーブーツ』は英国の老舗紳士靴メーカーがドラァグクィーン用のブーツを製作して経営を立ち直らせたという実話に基づくミュージカルで、「アミューズ」法務部公式Xは2022年末には『キンキーブーツ』2022年公演のダイジェスト映像の投稿にからめて「#ダイバーシティ」「#TrueColors」といったハッシュタグを投稿し、さらに昨年のプライド月間には、その投稿に対して「+COLORS」というダイバーシティに関する宣言を発していました。『キンキーブーツ』の制作をきっかけに、社内でもLGBTQ支援の意識が高まり、次第にプライド月間にメッセージを発したりするようになってきた様子が窺えます。
「アミューズ」公式サイトの「サステナビリティ」のページには、「LGBTなど性的マイノリティの方への理解を深め、より良いサービスへとつなげるべく、当事者の方をお招きしての研修や勉強会を実施しています」とも書かれています。
これまで「結婚の自由をすべての人に」訴訟では7つの違憲判決が出ていますが、大手芸能事務所(をはじめとするエンタメ業界)がこのようなコメントを発するのはおそらく初めてです。
今夏の同性婚に賛同する企業が500社を超えたというニュースも素晴らしかったですが、大手芸能事務所が、国を相手どって闘っている婚姻平等訴訟の判決についてこのようにメッセージを発することは、当事者コミュニティのエンパワーメントにつながりますし、世間の人たちに与える影響(ひいては国会での議論の促進)も期待できるような素晴らしいニュースと言えます。
他の事務所や所属アーティスト、LGBTQに関連するあらゆるエンタメ作品に関わる企業や個人がこうしたコメントを上げてくれたら、世の中ずいぶん変わるんじゃないでしょうか。
過去には「(カミングアウトなんてしたら)俳優の仕事はできなくなる、二丁目で働くしかなくなるよ」と事務所が所属タレントを脅すようなことがまかり通っていて、若い才能が海外に流出する原因となっていましたが、事務所がLGBTQインクルーシブに変わり、カミングアウトを支援するようになれば、俳優やアーティストが自分を押し殺すことなく活動できるようにもなるでしょう。そういう時代がすぐそこまで来ているように感じられます。
参考記事:
アミューズ“異例” 同性婚認めぬ規定「違憲」の判決受け声明「この重みは計り知れない」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/10/30/kiji/20241030s00041000125000c.html