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今回の衆院選も同性婚の法制化が争点の一つに

 史上初めて同性婚が争点の一つになった2021年の衆院選に続き、10月27日の衆院選でも同性婚が争点の一つになっています。早く結婚できるようになってほしい、好きな人と安心して暮らしたいという当事者の願いを国政に届けるためにも、各政党や候補者が同性婚の実現に賛成か反対かという点をご参考にしていただければ幸いです。

同性婚実現を左右する衆院選
 日テレの「「家族じゃない人には…」同性パートナーが事故で意識不明に…面会も容体確認もできず選んだ“養子縁組”」というニュースをご覧になった方もいらっしゃるかと思います。2022年、タカシさんがバイク事故で意識不明の重体となった際、タカシさんと20年以上パートナーとして寄り添ってきたマサノリさんは、無慈悲にも病院で「家族ではない」と言われ、容体すら教えてもらえませんでした…。


 20日には、「好きな人と結婚して家族をつくる〝普通〟の人生が選択できないことに絶望した」「性的指向による葛藤は同性婚がないことが一因だ」という静岡県在住の24歳のゲイの男の子へのインタビューが、静岡新聞に掲載されています。    
 2021年には大阪の72歳の方(当時)が、40年以上連れ添った同性パートナーの火葬に立ち会えず、共同経営の会社も親族に奪われたのは不当だとして起こした裁判で、一審に続き、二審の大阪高裁でも訴えが退けられました。どれだけ深く愛し合い、長く寄り添ったとしても、法的に家族と認められなければ、このような悲劇に見舞われます。
 プライドハウス東京公式サイトの「グリーフケア」のページには、20年連れ添ったパートナーが突然亡くなっても、警察に遺体を持って行かれ、身元確認すらできず、葬儀を行なう権利もお骨を管理する権利も与えられず…という体験談が掲載されていて、身につまされます。
 これは、パートナーが戸籍上同性の方であれば誰にでも起こりうる話です。長年連れ添い、一緒に住んでいたとしても、法的に家族と認められないがゆえに、親族が優先され、火葬にも立ち会えず、共同財産を奪われ、遺体すら持って行かれ、何もできないという理不尽な目にあいかねないのです。たとえ「パートナーシップ宣誓」を行なっていたとしてもです。「パートナーシップ宣誓」は法的な効力はゼロですから。
 
 もうこのような悲劇を繰り返したくない、法的に家族として認めてほしいという思いで、全国の同性カップルや弁護士の方などが立ち上がり、「結婚の自由をすべての人に」訴訟が始まりました。
 5年間の間に、地裁でも高裁でも画期的な違憲判決が出たり、大きな実りがありました。しかし、愛する人との結婚を夢見ながら、同性婚実現に間に合わず、亡くなっていった原告の方もいらっしゃいます。  
 今や同性カップルも婚姻相当であると承認し、証明書を発行する制度を採用している自治体は人口カバー率で85%を超えています。世論調査でも同性婚に賛成する人が7割を超えています同性婚に賛同する企業も500社を超え、日弁連や多くの弁護士会が同性婚法制化を要望しています。
 しかし、政府は、同性婚を認めると「社会が変わってしまう」と言ったり(「社会が変わってしまう」発言についての説明として総理大臣秘書官が「僕だって見るのも嫌だ」「秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などと言ったり)、総裁選では同性婚の法整化に向けて前向きに検討すると言っていた方が、いざ総理になると「国民一人一人の家族観に関わる」と言ってこれまで同様の後ろ向きな姿勢に…。「結婚の自由をすべての人に」訴訟で地裁でも高裁でも違憲判決が出ているにもかかわらず、国会での議論は一向に進んできませんでした(そしてこの訴訟で国側は、同性カップルには"社会的承認"がないのだから結婚が認められなくても問題ないとか、同性カップルは結婚できないけど一緒にいられるからいいじゃないか(詳細はこちら)といったオドロキの主張をしてきました)。社会はすでに同性婚支持に「変わっている」というのに…。
 数年後には最高裁で違憲判決が出るのではないかとも見られていますが、それだけで同性婚が実現するわけではなく、実際に私たちが結婚できるようになるためには、国会で民法改正が発議され、承認されなくてはなりません(ちなみにMarriage For All Japanは2023年に民法改正案を発表しています)
 そこで、MFAJは国会議員に手紙を書こうプロジェクトを展開したり、全国会議員・候補者の同性婚へのスタンスが一目でわかるツール「マリフォー国会メーター」を作ったりしてきました。
 また、MFAJは今年のTRPのブースでもテスト版がお披露目されていた「PRIDE VISION」=選挙ポスターにかざすと同性婚に賛成する候補者が浮かび上がるARカメラをいよいよ実用化され、東京全区(1区〜30区)での対応が完了しました。各地の皆様の協力で、エリアは順次拡大していくそうです。都内の皆様、ぜひやってみてください。


 テレビや新聞などの大手メディアも候補者アンケートの中に同性婚へ賛否を盛り込んでくれています。
日テレZERO選挙
 同性婚について政党および候補者にアンケートし、回答が掲載されています(まだ回答のない候補もいます)。同性婚を法律に明記することについて「賛成/やや賛成/どちらとも言えない/やや反対/反対」の5択の中から回答するかたちです。
朝日新聞・東大谷口研究室の調査
 最も古くから同性婚について総選挙候補者に聞いていた調査です。「男性同士、女性同士の結婚を法律で認めるべきだ」という意見に「賛成/どちらかと言えば賛成/どちらとも言えない/どちらかと言えば反対/反対」の5択の中から回答するかたちです。 ※有料会員でないと見られません
NHK 衆院選候補者アンケート 
 全選挙区の候補者に対して「同性婚を法律で認めることに賛成ですか。反対ですか。」と聞いています。どちらかと言えば…がなく、賛成か反対かの2択であるところが明快です(※「回答しない」もあります)

 ぜひこうした情報を参考に、お住まいの選挙区で同性婚に賛成する候補が誰なのか、知っていただければ幸いです。  
 


同性婚以外のLGBTQイシュー

 LGBT法連合会が、各政党や候補者に対し、LGBTQ差別解消法の制定、性同一性障害特例法の改正、そのほか、教育、就業、医療・福祉など様々な分野のLGBTQイシューについてきめ細かくアンケート調査をとってくれました。そちらもぜひご覧ください(政党はこちら、候補者はこちらです)

 各政党の回答を見ると、これまでの傾向から大きく変わったり、わかりやすくダイナミックなバラツキが出ている項目はそんなに多くはありません。
 特筆すべきは、問5の性同一性障害特例法の改正について「慎重な議論が必要だ」と回答している政党と、「非婚要件を削除し、同性婚を法制化すべき」という素晴らしい回答をした政党の対比が際立っていることです。


 それから、たぶん多くの方がその意味を図りかねているのではないのではないかと思われる箇所について補足すると、問2の選択肢3の「合理的配慮の義務化が重要だ」というのは、今年4月から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供(障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすること)が義務化されたことを受けて、明示はされていませんが、これを現行の性同一性障害特例法に当てはめてみると、性同一性障害者も生活の様々な場面でバリア(障壁)を感じているわけで、同じように合理的配慮の提供が義務化されてしかるべきではないか、という意味だと思われます。(性同一性障害の概念が性別不合に置き換えられ、特例法が改正されればオールOKということではなく、ノンバイナリーの方や様々な当事者の方たちが日常生活で直面する困難について、その都度、現場で話し合って解消していけるような筋道が法的に後押しされることも重要だという考え方です)

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