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独協医大埼玉医療センターに全国初の「ジェンダー外来」が開設
独協医大埼玉医療センター(埼玉県越谷市)がトランスジェンダーの生殖医療に特化した全国初の「ジェンダー外来」を開設しました。性別適合医療の過程で生殖機能が衰えたり失われたりすることの多いトランスジェンダーが子を持つ選択肢を守りたいとして、当事者の相談に応じるほか、性別移行前の精子の凍結保存も行うそうです。
性別適合のためにトランス女性がホルモン療法を受けると精子の数が減ったり質が悪くなったりしますし、手術で精巣や卵巣を摘出すれば、生殖能力を失ってしまいます。事前に精子や卵子を保存すれば子どもを持つ選択肢を残すことにつながります。
最高裁は今年6月、戸籍上の性別を女性に変えたトランス女性と、性別移行前に自身の凍結精子を用いてパートナーの女性との間に生まれた子との間に親子関係を認めるよう求めていた裁判で、「法的な親子と認める」との初めての判断を示しました(詳細はこちら)。トランスジェンダーの方たちが家族をつくる可能性が広がった一方、その生殖医療を支える医療機関の少なさが課題になっていました。
独協医大埼玉医療センターのジェンダー外来は、抗がん剤や放射線治療を受ける前のがん患者を対象に精子や卵子、受精卵の凍結保存などによって不妊治療を担ってきた「リプロダクションセンター」の中に設けられました。2015年に開設された同センターには性別移行医療を本格的に受ける前のトランス女性が訪れるようになり、これまでに10代後半~30代の8人に対して精子の凍結保存を行なってきたそうです。昨年10月に最高裁で性同一性障害特例法の生殖不能要件(不妊化要件)が違憲とされたこともあり、専門外来の開設を決めたんだそうです。
参考記事:
埼玉に全国初「ジェンダー外来」 生殖医療に特化、独協医大(共同通信)
https://nordot.app/1204691439828484444?c=302675738515047521
トランスジェンダーの生殖医療支える 獨協医大埼玉が専門外来開設へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS6X5JMHS6XUTIL004M.html