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パリパラリンピックに44名のOUTアスリートが出場し、19のメダルを獲得しました

 パリパラリンピックが8日、閉幕しました。閉会式には20名超のDJが登場し、会場のスタッド・ド・フランスが巨大なクラブと化し、選手たちもノリノリで楽しむようなイベントになっていました。次々に交代するDJ陣のなかでもひときわ目立っていたのは、筋肉を強調したようなフォルムの真っ赤なボディスーツで登場したキディ・スマイルでした。キディはジョージ・マイケル「An Easier Affair」のMVなどに出演するようになり、ヴォーギングのイベントを主催して「フレンチ・プリンス・オブ・ヴォーギング」の異名をとるまでになり、ミュージシャンとしても活躍するようになったゲイのDJ/音楽プロデューサー/ダンサー/テレビタレント/LGBTQ活動家です(こちらにもプロフィールが紹介されています)。NHKの解説でも「LGBTQ+の権利のために活動」と紹介されていましたね。
 ちなみにこの閉会式も、ゲイの芸術監督のトマ・ジョリーが演出に携わっていました。



 8月末にパリパラリンピックに出場するOUTアスリートは少なくとも32名とのニュースをお伝えしていましたが、その後、出場した選手からの申告などもあって最終的にLGBTQのパラリンピアンは44名にまで増え、史上最多だった東京パラリンピックの36名を上回りました。Outsportsは「パリパラリンピックで障害を持ったOUTアスリートが増えたことは、スポーツ界における受容とインクルーシビティの前進を示すものだ」と述べています。
 
 米国のChristie Raleigh Crossley選手がパラスイミングで金メダルに輝いたのをはじめ、チームLGBTQは最終的に金7、銀7、銅5、合計19のメダルを獲得しました。
 フランスのLGBTQコミュニティのスポーツ分野におけるアイコンとなっているMarie Patouillet選手は銀メダルに輝きました。彼女は競技の後、観客席のなかに、髪をレインボーカラーに染めたPatouilletの顔がデザインされたTシャツを着ていた妻のSoraya Garlenqを見つけてキスし、家族や友人に祝福されたそうです(詳細はこちら

 
 なお、初のトランスジェンダーのパラリンピアンとなったイタリアのヴァレンティナ・ペトリロ選手は、“不公平だ”などと言われていたにもかかわらず、決勝戦に進めませんでした(詳細はこちら
 『VOGUE JAPAN』の記事によると、ペトリロは14歳のときスタルガルト病(中心視力が徐々に失われる稀な遺伝性の眼疾患)と診断され、視覚障がいを持つ選手で、2015年〜2018年に国内男子(視覚障がいT12)のタイトルを保有してお理、2018年に妻のサポートを受けながら性別移行を始め、2019年にホルモン治療を始めました。『BBCスポーツ』の最近のインタビューでペトリロ選手は、パラリンピックに出場する初のトランスジェンダーであることは「インクルージョンの重要な象徴」だと、「“ライフスタイルの選択”ではなく、これが私なのです」「人種、宗教、政治的イデオロギーが差別されるべきでないのと同じように、トランスジェンダーも差別されるべきではない」と語りました。また、トランス差別的な陸上競技規定につながっている性別二元論的な考え方を批判し、「解決策を見つけなければならないのはスポーツ界であり、トランスジェンダーのアスリートを排除することは明らかにその解決策ではない」と、トランスジェンダーの女性が陸上競技大会への出場を認められた場合でさえ「彼女たちがスポーツの成績で目立った例は極めて少ない」と語りました。
 
 

参考記事:
Team LGBTQ currently tied with Iran for 19th most total medals at Paris Paralympics(Outsports)
https://www.outsports.com/2024/9/5/24100971/paralympics-medal-count-team-lgbtq-gay-lesbian-athletes-paris/

排除は解決策ではない──バレンティーナ・ペトリロがトランスジェンダー選手として初めてパラリンピック出場へ(VOGUE JAPAN)
https://www.vogue.co.jp/article/valentina-petrillo-first-out-transgender-paralympian-sprinter

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