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トランス男性の俳優・若林佑真さんが戸籍性の変更を認められました

 トランス男性の俳優として活躍する若林佑真さんが24日、SNSで戸籍上の性別が男性に変更されたことを報告し、感慨や感謝の言葉を伝えました。テレ朝など複数のメディアで報道されています。
 

 若林佑真さんは1991年、関西出身のトランス男性俳優です(もともと佑麻でしたが、佑真に改名しています)。同志社大学在籍中から演技のレッスンを受け、卒業を機に上京し、俳優、舞台プロデュース、作品監修、講演活動など多岐にわたる活動をしてきました。2016年、2017年にTRPのステージでパフォーマンスを披露し、2017年に自身が企画・脚本を務めた舞台『イッショウガイ』を新宿シアターモリエールで上演、その記録映像が2018年のレインボー・リール東京でも上映されました。2021年にはトランス男性10名のコンプレックスに焦点を当てたフォトエッセイ「Complex」を発表し、プライドハウス東京でも展示を行ないました。2022年にはテレビ東京のドラマ『チェイサーゲーム』にトランスジェンダー役で出演しました。昨年10月のレインボーフェスタ!にも出演しています。今年3月公開の映画『52ヘルツのクジラたち』では、トランス男性に関する監修も務めました。LGBTQコミュニティにしっかり根ざしながらメジャーでも活躍する稀有なタレントです。

 そんな若林さんは9月24日、自身のXとInstagramを更新し、「この度、無事に裁判所からの許可がおりまして、戸籍上の性別が女性から男性に変更されました」と報告しました。「申請から約3ヶ月、トランスジェンダーだと自覚してからは、約15年。言葉では表しきれない色んな想いが込み上げてきますが、今日まで戦い続けてきてくださった先輩方と、少しずつ変わっていく世の中、そして、日々近くで支えてくれた方々への感謝の気持ちでいっぱいです。あとは、今日まで生きてきた自分に握手したいです。皆様、いつもありがとうございます。そしてこれからも益々!よろしくお願いします!!」  この投稿には「素晴らしき人生に乾杯!おめでと!」「最高!わか、おめでと」「まるで3人分の人生を歩む若ちゃん本当にかっこいい!!!」「とっても嬉しいお知らせを聞いてとっても気分がいいです」「これからも、人生をめちゃくちゃ楽しんでください」といった祝福のコメントが寄せられています。Xの投稿には5000件近い「いいね」がついています。

 
 昨年10月に静岡家裁が浜松市在住の鈴木げんさんの戸籍性変更の申立てを認め、また、最高裁が性同一性障害特例法の生殖不能要件(不妊化要件)を違憲と判断し、トランス男性については事実上、性別適合手術を受けずとも法的性別変更が認められ、性同一性障害特例法の要件をめぐる裁判の先人である岡山県の臼井さんをはじめ、何人もの当事者の方たちが家裁に申立てを行ない、戸籍性の変更が認められ、喜びを語ってきました。
 若林さんがいみじくも感謝を述べているように、ここまで来るには、杉山文野さんのようにメディアで声を上げてきた方や、臼井さんや鈴木さんなど裁判で闘ってきた方たち、トランスマーチや院内集会を開催して訴えてきたTransgender Japanの方たちなど、様々な先人たちの努力がありました。
 性同一性障害特例法の要件の見直しについてはまだ与党内で議論がなされている最中で、法改正が実現したわけではありません。トランス男性だけが救われ、トランス女性は見捨てられるというようなことにならないよう、また、(理解増進法のように)トランス女性が犯罪者か何かであるかのような抽象的な不安に基づく差別的な条文が盛り込まれたりしないよう、引き続き、注視していく必要があるでしょう。
 ともあれ、LGBTQコミュニティでも世間でも知られている人気者である若林さんが、念願叶って戸籍性の変更が認められたこと、本当によかったですね。おめでとうございます!

 
 
参考記事:
トランスジェンダー俳優の若林佑真、戸籍上の性別が男性に「想いが込み上げてくる」(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_geinou/articles/900008893.html

トランスジェンダー公表の若林佑真、戸籍上の性別変更を報告「認識してから約15年…とにかく感謝の気持ちでいっぱい」(ORICON)
https://www.oricon.co.jp/news/2346394/embed/photo/?anc=148

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