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台湾の方と中国本土の同性パートナーとの婚姻が認められました

 台湾行政院内政部(内務省)は19日、同性婚が認められている第三国で婚姻関係を結んだ中国と台湾のカップルについて、台湾での婚姻登記を認めると発表しました。これにより、台湾の人は、国籍を問わず、すべての国の方と同性婚が認められることになりました。


 台湾では2019年5月にアジアで初めて同性婚を承認しましたが、同性婚未承認の国の人と台湾人の同性婚は認められず、有吉英三郎さん&盧盈任さんをはじめ何組もの国際同性カップルが訴訟を起こし、個別に婚姻の権利を勝ち取ってきました。昨年1月、ようやく台湾人と同性婚未承認国の外国人との同性婚が認められましたが、登録手続きの問題で中国本土の人との同性婚だけは認められていませんでした。

 そもそも同性婚未承認国の人との結婚を制限してきたのは、「婚姻の成立は、各当事者の本国法による」と規定する渉外民事法律適用法の結果でした。中国本土の人との婚姻については、渉外民事法律適用法ではなく、別途、台湾地区及び大陸地区人民関係条例が規律しているため、2023年1月の、内政部による台湾人と同性婚未承認国の外国人との同性婚を認める通達は、中国本土の人には効力が及ばず、取り残されるかたちになっていました(詳細はこちら
 
 そして今回、内政部は、同性婚が認められている第三国で婚姻関係を結んだ中国と台湾の同性カップルにも台湾での婚姻登録を認めるは発表をしました。婚姻登録の申請に当たっては、事前に台湾在外機関か台湾の空港に設置された内政部事務室で面談を行ない、婚姻証明などの関係書類を提示する必要があります。内政部は発表で「両岸(中台)事務の特殊性から、中国大陸からの入境に関する調整措置は国家安全を考慮しており、今後も管理を強化する」と厳格な審査を行なう考えを強調しました。
 台湾で対中政策を所管する大陸委員会によると、中台カップルは婚姻登記後、台湾で一緒に暮らすことができますが、ただし、中国のパートナーが台湾の身分証明書(戸籍)を取得するには、従来通り中国の戸籍を削除しなければならないそうです。大陸委は「(中国では)同性婚が認められていないため、台湾での同性婚を理由とする除籍は認めないのではないか」との見解を示しています。

 台湾での婚姻平等を推進してきた台湾伴侶権益推進聯盟など複数の民間団体は同日、共同で声明を発表し、台湾で対中政策を担う大陸委員会や関連機関などについて、台湾の憲政や民主主義の精神を守る意欲があり、同性カップルの婚姻の自由と平等の権利をさらに一歩前進させたことを高く評価するとしました。その一方で、同性カップルの婚姻は異性カップルに比べて依然ハードルが高いとし、引き続き行政機関による関連規定の修正に期待を寄せました。 

 なかなか一筋縄ではいかない問題も残っていますが、ともあれ、こうして少しずつ結婚できるカップルが増えてきて、今回、晴れて台湾の人がすべての国の方と同性結婚することが可能になったというのは喜ばしいことですね。



参考記事:
中国パートナーとも同性婚可能に 第三国で婚姻後 台湾(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024092000652
台湾人と中国人の同性カップル 第三国で婚姻関係なら台湾でも登記可能に(フォーカス台湾)
https://japan.focustaiwan.tw/society/202409200001

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