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最高裁判決にもかかわらずトランス女性の経産省職員の待遇が変わっていないことが明らかに

 最高裁がトランス女性の経産省職員が職場のトイレ使用を制限されるのは不当だとの判決を示したにもかかわらず、判決から1年以上経ってもトイレ使用の制限が続いていることがわかりました。斎藤健経産相は24日の閣議後の会見で、制限を是正するかどうか答えませんでした。


 性同一性障害の診断を受けている経産省職員のトランス女性が起こした訴訟は、霞が関の勤務先庁舎で執務室があるフロアから2階以上離れた女性用トイレしか使用が認められないという制限を受けたり、上司から「もう男に戻ってはどうか」などと言われるなどして、精神的苦痛から病気休職を余儀なくされたことに対し、処遇改善と損害賠償を国に求めたものです。職員は2009年に女性としての勤務を申し出、同省は2010年、同じ部署の同僚を対象に説明会を開き、職員が性同一性障害と伝えたうえで、勤務するフロアから2階以上離れた女性トイレを使用することを認めました。職員は2013年、人事院に対してトイレの使用制限の撤廃などを求めましたが、人事院は2015年、要求は認められないと回答し、職員は提訴を決めました。
 一審、二審を経て昨年7月、最高裁は、職員が女性トイレを使い始めてからトラブルはなく、明確に異を唱える同僚もいなかったと指摘したうえで「人事院の判断はほかの職員への配慮を過度に重視し、職員の不利益を軽視したもので著しく妥当性を欠いている」としてトイレの使用制限を認めた国の対応は違法だとする判決を言い渡しました。今崎裁判長は「施設管理者、人事担当者らがトランスジェンダーの人々の立場に配慮し、真摯に調整を尽くすべき責務が浮き彫りになった」と語りました。

 しかし、9月22日付の朝日新聞の記事で、判決から1年以上経った今も職員のトイレ使用の制限が続いていることが明らかになりました。職員は昨年7月の判決の直後、制限をなくすよう改めて訴え、同省は10月に「判決を踏まえ理解醸成活動を実施し、環境を整えた上で判断する」と書面で回答したものの、いまだに改善されていないそうです。

 24日、斎藤健経産相は会見で、「人事院が判定の見直しについて検討を進めている。LGBTに関する理解醸成の取り組みを継続しつつ、人事院の検討状況を踏まえ、適切に対応していく」と述べたそうです。
 林芳正官房長官も同日の会見で、是正措置をとるかどうか答えず、「現在、解決に向けて人事院と経産省で対応している」「LGBT理解増進法に基づく取組みを含め、多様性が尊重され、性的マイノリティもマジョリティも全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて取り組んでいきたい」と述べるに留めました。


 最高裁で判決が出た場合、それを受けて国は、速やかに国会で法律を制定したり、今回であれば人事院が規定を見直すなどの対応を行なわなければなりません。専門家は「遅くとも半年以内に制限を是正する義務が国側にあった。違法状態だ」と指摘しています。
 
 


 
参考記事:
最高裁違法判決後もトイレ制限 経産省、トランスジェンダーの職員に(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16040586.html

経産相、「女性トイレ制限」見直し明言せず トランス女性の職員巡り(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS9R44M4S9RUTIL009M.html


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