NEWS

人手不足が深刻な介護業界でLGBTQの雇用推進によって業績を伸ばした会社

 東京新聞に9月15日、「LGBTQの雇用推進が経営にもたらした変化とは? 介護事業で業績を伸ばす「more」(世田谷区)」という記事が掲載されました。近年、人手不足が深刻化している介護業界にあって、LGBTQを積極的に雇用することで着実に業績を伸ばしている会社をフィーチャーしています。
 
 
 世田谷区でデイサービス、訪問介護・看護事業を展開している株式会社moreは、2020年からLGBTQの雇用促進に取り組み始めました。
 公式サイトの「職場環境への取り組み」のページには、「性別・性表現・性的指向・性自認」などの多様性を尊重し、認め合い、一人ひとりが、持続的に活躍・成長できる企業風土と働く環境の確立に取り組んでいきますと謳う「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」が明記され、レインボーカラーの社章も掲載されています。「この会社は安心して働けそうだ」という印象を持つ当事者の方もいらっしゃることでしょう。
 社長の倉田広志さんは「その人らしく生きることをサポートするのが介護の本質。働く仲間のその人らしさを大切にするのは当然のこと」と語っています。

 株式会社moreは2012年に7人で創業されましたが、事業の拡大に伴って(他の介護サービス会社と同様)人材確保の難しさに直面したそうです。誰もが働きやすい職場づくりを目指し、5年ほど前、社内にダイバーシティ推進の担当者を配置しました。すると、月に2~5人ほどの当事者から応募が来るようになったといいます。
 2021年には、当事者の方たちに集まっていただき、聞き取りに基づいてカミングアウトを受けた際の対応などをまとめ、管理職らに説明するようになりました。昨年からは管理職などを対象に、LGBTQや外国籍の人が働く環境などに関する検定(※おそらく「D&I検定」だと思われます)の取得を義務づけたそうです。
 こうした活動が評価され、プライド指標D&Iアワードの最高位を3年連続で受賞しました。
 結果、「ダイバーシティを推進している企業で働きたいと、当事者以外からも応募が来るようになった」といい、5年前は約80人だった従業員が、現在は約120人にまで増えました。5ヵ所だった事業所も9ヵ所に増え、業績も2020年前期比で160%も成長したそうです。
 現在、従業員の約1割が会社にカムアウトしている※方だそうです。倉田さんは「100人いたら100通りの価値観がある。いろんな価値観の人が働くダイバーシティは経営戦略の一つだ」と語っています。

※「カムアウトしている」と言えば性的マイノリティであることをカムアウトしているという意味です(こちらをお読みください)



 介護業界に限らず、人手不足に悩んでいたり、良い人材が集まらないと嘆いている会社はたくさんあることでしょう。一方で、SOGIEのマイノリティであるがゆえに就職が困難な方や、きちんと社内LGBTQ施策を推進しているアライ企業で働きたいと考える方は少なくありません。今回のmoreは、その理想的な解決方法を示してくれたモデルケースの一つと言えそうです。

 なお、OUT JAPANは、社内LGBTQ施策として何をやったらよいかわからないという企業様にも基本的なことから説明し、相談に乗り、社内研修を行なったり、他の企業の事例を紹介したり、プライドイベントに参加したり、様々なことに取り組む総合LGBTQコンサルティング会社です。これから取組みを始めたいという企業様もお気軽にお問い合わせください。
 
 
参考記事:
LGBTQの雇用推進が経営にもたらした変化とは? 介護事業で業績を伸ばす「more」(世田谷区)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/353949


ジョブレインボー
レインボーグッズ