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【同性パートナーシップ証明制度】京都府木津川市でスタート、滋賀県は9月から

 同性パートナーシップも婚姻相当だと認め、証明書を発行する制度を導入する自治体の人口カバー率は85%を超えましたが、導入自治体数で言うと、実はまだ3割にも満たない状況です(渋谷区と虹色ダイバーシティの調査で6月末時点で458自治体、7月・8月に新たに導入されたことがわかっている2自治体を含めて460自治体ですので、全自治体数1765を460で割ると26%ということになります)。都道府県単位での制度導入も25都府県に広がっていますが、未導入の22道府県の中の市町村で新たに制度が導入されたり、新たに県としての導入が決まると、今までカバーされていなかった地域にお住まいのカップルがようやく公的な証明を受けられるようになるわけですから、喜ばしいニュースとしてできるだけ網羅的にご紹介していきたいと思います。そういうわけで今回は、新たに制度がスタートした自治体、新たに導入時期が決まった自治体の紹介から始め、あとは地域順に(今回は南から)ご紹介していきます。
 
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 京都府南部、奈良県と接する木津川市で8月1日から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」がスタートしました。
 京都府内での制度導入は9例目で、山城地域では初と見られます。京都府人権啓発推進室によるとファミリーシップ制度の導入は府内初だそうです。

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 昨年、滋賀県が来年度中に制度導入とお伝えしていましたが、県は9月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入すると発表しました。8月19日に事前受付が始まります。これまで滋賀県内では6つの市で導入されていましたが、今後は、未導入の自治体でも制度が利用できるようになります。
 宣誓することによって、県営住宅に世帯として入居できるなど一部の行政サービスで待遇の平等化が実現されます。県職員に対し、扶養手当や結婚休暇などの適用も検討する。県内の市町や民間事業者に制度を周知し、より多くのサービスが提供されるように取り組むそうです。
 滋賀県の三日月知事は記者会見で「性的多様性への理解を進め、一人ひとりを認め合う社会の実現を目指す」と話しました。
 
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 今年9月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入する山口県は、男女共同参画に関する意識調査を実施し、LGBTQの実情や制度の認知度などを調査します。県内の無作為抽出した18歳以上の男女各1500人を対象に調査票を郵送するそうです。回答は任意です(実家にお住まいの当事者の方などは答えづらいかもしれませんが…)。県男女共同参画課は調査結果を「今後の県の施策展開にも活用していきたい」としています。(併せて性的行為の動画撮影を強要されたり勧誘されて断ることができなかったりした経験の有無も調査するそうです)
 例えば三重県では2017年に県内の高校生にアンケート調査を実施し、性的マイノリティの高校生の約1/3が自傷を経験していることが明らかになり、その後、条例が制定されたり、支援策がずいぶん進んだという話があります。こうした県民の意識調査は大きな意味を持っています。
 
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 東京都の「パートナーシップ宣誓制度」の利用者が、制度開始から今年7月末までに計1290組に達しました。同様の制度を独自に設ける都内の自治体も増えています。
 都人権部によると、証明書交付件数は、導入1ヵ月の2022年11月末時点で309組、2023年3月末時点で654組、今年3月末時点で1139組でした。
 一方、都のまとめでは、同様の制度を独自に設けている都内の自治体は今年4月1日現在、13区10市で(港、文京、墨田、世田谷、渋谷、中野、杉並、豊島、北、荒川、板橋、足立、江戸川、武蔵野、三鷹、府中、調布、町田、小金井、日野、国分寺、国立、多摩)、2022年11月末から3区4市増えました。都と導入自治体は協定を結び、どちらかの証明書があれば双方のサービスを受けられるようにしています。独自制度がなくても都の証明書を利用できるようにしている自治体もあります。また、生命保険や住宅ローンなどの分野で、証明書の利用を認める民間企業も増えています。
 都はLGBTQが働きやすい職場環境の実現にも力を入れており、昨年11月には人事・採用担当者ら向けの情報発信サイトを開設しました。
 当事者の立場から都に制度創設を働きかけていた港区の会社員の女性は「周りにも制度を利用している人がいて、認知が進んでいると感じる」とする一方、社会の理解や取組みはまだまだだとし、「中小企業への働きかけを行なったり、当事者から直接意見を聞いて施策に反映するなど、都はより力を入れてほしい」と語っています。
 
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 今秋の制度導入を目指す福島県は7月24日、制度の骨子案をまとめ、バブリックコメント(意見公募)を実施しています。8月13日まで受け付けます。県内在住者だけでなく、東日本大震災や原発事故で県外に避難されている方、県内で何らかの社会的・経済的活動を行なおうとする方たちも応募できます。
 骨子案によると、条例は制定せず、手続きを定めた要綱を作成します。対象は同性のカップルだけでなく事実婚の異性のカップルも含まれ(全国で制度を導入した25都府県のうち、異性の事実婚カップルを対象に含めたのは5県のみだそう)、申請には二人が成人していることや、どちらかが県内在住もしくは3ヵ月以内に県内に転入予定であることなどの要件を満たす必要があります。そのうえで県に届け出ると証明書が交付され、県営住宅への入居など結婚している夫婦を対象とした県の行政サービスを受けられるようになります。「ファミリーシップ制度」も組み込み、カップルが扶養する子どもや親も家族として認めます。また、伊達市や南相馬市などすでに制度を導入している自治体の証明書があれば同じように県のサービスが受けられるということです。
 意見公募の結果を踏まえて要綱を取りまとめ、制度導入前に対象サービスを公表するそうです。
 県男女共生課は「法的な効力が生じるものではないが、制度の導入によって生活する上での不便さを軽減し、誰もが安心して暮らせる社会づくりを進めたい」としています。

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 北海道小樽市は今年1月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入しており、7月で半年が過ぎました。7月10日現在、5組10人がパートナーシップ宣誓を行ない、証明書を交付されました。当事者の方たちは「利用できる選択肢が広がりうれしい」と喜んでいるそうです。


 PRIDE JAPANでは引き続き、婚姻平等(同性婚法制化)や住民票対応のことなどと併せて同性パートナーシップ証明制度のこともお知らせしていきます。一人でも多くの方が、公的に承認された、異性婚と同等だと認めてもらえたという喜びを感じられるような素敵なニュースが増えるといいですね。


参考記事:
京都府南部の自治体が「パートナーシップ制度」府内で初導入 受けられる行政サービスは?(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1304009

パートナーシップ宣誓制度、滋賀県も9月にスタート(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS794G78S79PTJB004M.html

[山口県]性的行為動画撮影強要など実態調査へ 県、男女3千人を対象に(山口新聞)
https://www.47news.jp/11278517.html

都のパートナーシップ制利用、制度開始から1290組に…独自創設の自治体も増加(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240802-OYT1T50118/

県がパートナーシップ制度の骨子案 秋の導入に向け意見募集(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20240729/6050026911.html
異性の事実婚も対象に 福島県パートナーシップ、制度化へ意見募る(福島民友新聞)
https://www.minyu-net.com/news/detail/2024072509134025191

小樽市パートナー制度半年 5組が宣誓「選択肢広がった」(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1040933/

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