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【同性パートナーシップ証明制度】福島県が9月2日から導入へ

 福島県は30日、「県パートナーシップ制度」を9月2日から開始すると発表しました。
 戸籍上同性のカップルだけでなく、事実婚の異性のカップルも対象です。届出が受理されれば、県が「県パートナーシップ届出書受理証明書」を発行します。証明書に法的な効力はないものの、県営住宅への入居申込みや、県立病院で病状の説明を受けること、犯罪被害者の遺族見舞金の支給、住宅確保給付金、生活保護制度、DV(家庭内暴力)相談の利用などが配偶者と同様に認められるようになります。
 届出は、プライバシー保護の観点から窓口を設けず、オンラインまたは郵送で受け付けます。手続きなどの詳細は9月2日午前8時半に県の公式サイトに掲載されるそうです。
 県は制度導入後も理解醸成を進め、共生社会の実現を目指します。

 県内では伊達、南相馬、福島の3市で導入済みで、本宮市も県の導入に合わせて2日から導入します。各市の証明書を提示した場合も県の行政サービスを受けられますが、県の証明書で市町村の行政サービスが受けられるかどうかは各自治体がそれぞれ判断するそうです。

 なお、河北新報によると、18日には「ダイバーシティふくしま」が主催し、制度の内容をより良いものにしようと話し合うイベントが開催されました。東京都豊島区の制度を利用した福島県伊達市出身の男性は「制度は生きやすさにつながる。届出の際に嫌な対応をされないよう窓口職員の研修も必要だ」と語りました。ある参加者は、県の制度骨子案が利用対象者を同性カップルや異性の事実婚カップルと明記した点に「本人の性自認の問題に関わる。必要な記述だろうか」と問題提起したそうです。相続などに必要な公正証書の作成の支援や性的マイノリティが抱える課題の調査、企業の福利厚生面の対応を求める声も上がったそうです。前川直哉共同代表は「LGBTQなど『かわいそうな人に権利をあげましょう』ではなく、人権が制限されている現状がおかしいとの視点で議論するべきだ」と強調し、制度導入は通過点だとして、個人単位の権利保障や婚姻制度の改善を訴えました。
 
 福島県では2022年に富岡町が初めて制度導入を表明し(まだ実現していないようです)、県男女共同参画審議会の元委員で福島大准教授(ジェンダー論)で「ダイバーシティふくしま」の共同代表も務める前川直哉さんは「過去の審議会では、原発事故による差別や分断を経験した福島だからこそ、多様な背景の人を大切にしようという議論があった。富岡町が県内都市部に先駆け導入に動いたのは英断だ。最終的には国が動くべきだが、59市町村を抱える福島県はすぐに制度導入に着手してほしい」とコメント(詳細はこちら)、2023年には伊達市が、今年2月には南相馬市が導入を表明しましたが、県は慎重姿勢でした。学識経験者や各種団体、県町村会の代表者ら20人から成る県男女共同参画審議会が制度導入を求める意見を取りまとめ、県に申入れを行ない、県男女共生課は「審議会の意見として受け止める。県は引き続き、理解促進を着実に進めることが重要と考える」として制度導入は明言していませんでした(詳細はこちら)。5月に福島氏が制度導入を表明し、6月25日の県議会で今秋の制度導入を目指すと発表されました。「ダイバーシティふくしま」や「ふくしまレインボーマーチ」の活動も実ったのだと思います。10月5日の第5回ふくしまレインボーマーチは県としての制度の実現を祝いながらも、さらに県としてできる様々な施策や、婚姻平等などについて声を上げていくものになるのではないでしょうか。

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 京都新聞によると、滋賀県で9月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入することを受けて、大津市は、県の制度に対応し、同性カップルなどが市営住宅への入居ができるよう対応するそうです。

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 紀伊民報によると、和歌山県の「パートナーシップ宣誓制度」が始まってから半年の間に9組が制度を利用したそうです。「認められてうれしい」と涙を流して喜ぶ人もいたといい、県は「多様な生き方を認め合うことができる社会の実現を目指す」としています。
 県は制度を案内するリーフレットを各振興局や市町村役場に置いているほか、高校への出前講座などでも紹介しています。今後も行政職員や事業者向け研修会など、あらゆる機会を通じて広報していきたいとしています。

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 岡山市は、この9月から「パートナーシップ宣誓制度」に異性の事実婚カップルも含めることを発表しました。大森市長が8月26日の会見で明らかにし、「今回の拡充で同性、異性を問わず、お互いを人生のパートナーとして協力し合うことを約束した方たちに寄り添える制度となったと思っています」と語りました。
 岡山市の「パートナーシップ宣誓制度」は2020年7月に導入され、これまでに34組が制度を利用したそうです。事実婚のカップルから自分達の関係を公に認めてもらいたいとの声が上がったため、岡山市は全ての住民が暮らしやすい街づくりに繋げたいとして事実婚カップルへの制度拡充を決めました。

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 高知県は、同性パートナーシップ証明制度の導入を進めるため、市町村が制度を導入する際の基本的な事項を定めた指針を公表しました。
 県内では、高知市や南国市など8つの市と町が制度を導入していますが、県はさらに導入を進めようと、今後導入を検討する市町村が参考にするための指針を策定しました。
 指針は、制度の対象者として「カップルの2人がともに18歳以上であること。2人、またはいずれか1人がその市町村に住んでいるか、または転入する予定であること」などを挙げ、届出を受けた場合、市町村は住民票や戸籍などを確認したうえで「受理証明書」を交付することとしています。
 県人権・男女共同参画課は「指針を活用してもらうことで、性的マイノリティの人たちの生活を少しでもよくしたい。これをきっかけに、制度を導入する市町村をもっと増やしていきたい」と話しています。
 
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 虹色ダイバーシティと渋谷区が共同で行なっている全国の同性パートナーシップ証明制度導入自治体についての調査で、高知県大月町が2024年1月から制度を導入していたことがわかり、8月22日に追加修正版が公表されました。導入自治体は6月28日時点で459自治体(人口カバー率85.1%)、交付件数は5月31日時点で7351組です。




参考記事:
県パートナーシップ制度 9月2日スタート 本宮市も(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240831/ddl/k07/040/044000c
福島県パートナー制度2日開始 県営住宅同居など6サービス(福島民友新聞)
https://www.minyu-net.com/news/detail/2024083108171926157

大津市が性的少数者のカップルなど、市営住宅入居可能に 体制を整備(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1323575

パートナー、9組が宣誓 和歌山県「多様さ認め合う社会に」、制度開始から半年(紀伊民報)
https://www.agara.co.jp/article/404521

パートナーシップ宣誓制度 事実婚も対象に 岡山市(西日本放送)
https://news.ntv.co.jp/category/society/rn651b5da358a54b90b914b4711e6a4f56
岡山市「パートナーシップ宣誓制度」異性の事実婚含むすべての人に対象を拡充 24年9月から(岡山放送)
https://www.ohk.co.jp/data/35357/
岡山市がパートナーシップ宣誓制度を拡充 9月1日から異性カップルも受け入れ(瀬戸内海放送)
https://news.ksb.co.jp/article/15401495

「パートナーシップ制度」自治体が導入する際の指針を県が公表(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/20240826/8010021427.html


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