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『虎に翼』に同性カップルが登場、おそらく朝ドラ史上初
8月16日に放送されたNHK朝ドラ『虎に翼』第100話で、主人公の寅子に旧友の轟太一が同性パートナーを紹介するシーンが描かれました。朝ドラにゲイのキャラクターが登場するのは初めてではありませんが、同性カップルが描かれるのはおそらく初めてです。
轟は、昭和7年、日本で初めて女子に門戸を開いた名律大女子法科に寅子たちが入学し、法律を学んだ後の本科時代の同級生で、今年のプライド月間に放送された第51話で、同じく同級生の花岡が亡くなった後、酒を飲んで自暴自棄になり、通りかかった(複雑な事情から男性の服装で生活している)山田よねに、泣きながら花岡への思いを語りました。それは愛と呼ぶほかない感情でした。脚本の吉田恵里香さんもXで「轟の、花岡への想いは初登場の時から恋愛的感情を含むものとして描いている」とコメントしていました(詳細はこちら)。ただ、この時点では、吉田さんも「轟自身がまだ自認しきっているわけでも答えをだしたいわけでもないと思う」と語っていて、花岡に恋をしているからといって轟がゲイだと決めつけるのはまだ早い、今後、女性とおつきあいするかもしれないし、まだわからない、という状態でした。
轟はその後、よねと一緒に戦争孤児たちを助けながら弁護士事務所を開き、市民のための法律相談などをしていました。
16日放送の第100話の終わりのほう、寅子が結婚についての意見を聞くために二人の事務所を訪ねると、轟がソファーで男性の肩にもたれて手をつないでうたた寝していて、寅子の気配に飛び起きるも、動揺して何も言えず、隣にいた男性が機転を利かせて「今ちょっと具合が悪くて、轟くんに介抱してもらってまして」と言うのですが、轟は腹を決めて「驚かせてすまない。こちら、大学の同期の佐田寅子。こちらは遠藤時雄さん」と紹介し、そして(轟が無言で「言ってもいいか」と確かめるように遠藤の目を見て、遠藤もそれがわかって、コクリとうなずき)「今、俺がおつきあいしているお方だ!」と寅子に言いました。寅子は驚き、何も言えず、大きく目を見開いた表情のまま、ドラマは次週予告へ…という展開になりました。
ちなみに轟がおつきあいしているは遠藤を演じたのは『ごちそうさん』にも出演していた和田正人さんです。
名作の誉れ高い、熱心なファンの多い「とらつば」ですが、この日の放送を観た視聴者からは「予告にないサプライスで驚いた」「轟さんにパートナーが!? おめでとう!!」「『俺にもよくわからん』と言ってた轟さん、新しく好きになった人も男性で、あぁやっぱり花岡への気持ちも恋だったんだな、って思い返したのかなと思うと切なくて…」「同性愛についてこんなに真正面から描くとは思わなかった」など、好意的な反応が多数、寄せられました。Xでは一時「和田正人さん」がトレンド入りしていました。
昭和30年(1955年)という、まだゲイバーやハッテン場もほとんどなく、丸山明宏が「メケ・メケ」を発表したりもしていない、世間の理解がないどころか、もしこのことが公になれば弁護士として生きていくことも難しくなりかねない(社会的死を覚悟しなければいけない)時代に、意を決してカムアウトしたことの重みたるや…。そういうシーンを、吉田さんが上記で紹介したようなマイノリティへの思いや覚悟とともに描いたことにも胸を打たれます。感動です。
国民的人気番組と言っても差し支えない朝ドラに、公式にゲイのキャラクターが登場したのは、2018年の『半分、青い。』が初めてでしたが(それ以前にも『ごちそうさん』で天才建築家・竹元教授が美青年を見て顔を赤らめるシーンがありましたが)、同性どうしの恋愛が成就しておつきあいに発展し、同性カップルとして描かれたのは今回が初めてだと思われます。次週以降、どういう展開になるか、目が離せないですね。
参考記事:
『虎に翼』“結婚”と“家族”を考え直す展開に 誰もいないことにしない吉田恵里香の脚本(REAL SOUND)
https://realsound.jp/movie/2024/08/post-1750104.html
『虎に翼』轟が交際報告! パートナー役の“人気俳優”にネット衝撃「豪華過ぎる」(ORICON)
https://www.oricon.co.jp/news/2340428/full/
朝ドラ「虎に翼」和田正人がサプライズ出演でトレンド入り! 俺たちの轟(戸塚純貴)の恋人役で「上手いキャスティング」「説得力ある」(イザ!)
https://www.iza.ne.jp/article/20240816-2ESUNXA4XBCYLBOL6QPYSWMYNA/