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世界26ヵ国のなかで日本は同性婚への反対が最も少ないことがわかりました

 世界最大規模の世論調査会社イプソスが、日本を含む世界26ヵ国の18,515人を対象に、LGBTQ+に関する考え方・態度について調査を実施し、「IPSOS LGBT+プライドレポート2024」※としてまとめました(日本語版はこちら)。その結果から、日本は、同性カップルの結婚および他の法的承認を「許可されるべきではない」と強く反対する人の割合が26ヵ国の中で最も少ないことがわかったと、イプソス株式会社がプレスリリースを発表しました。
                        
※このレポートは、イプソスが今年の2月23日〜3月8日にグローバルアドバイザーオンラインプラットフォーム26ヵ国を対象に実施した調査の結果です。カナダ、アイルランド、南アフリカ、トルコ、米国の18〜74歳、タイの20〜74歳、シンガポールの21〜74歳、その他の国では16〜74歳の合計18,515人の成人にインタビューを行なっています。サンプルは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、英国、イタリア、日本、メキシコ、スペイン、米国からそれぞれ約1,000人などとなっています。アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、韓国、スペイン、スウェーデン、米国のサンプルは、75歳未満の一般成人人口の代表と見なすことができる一方、ブラジル、チリ、コロンビア、アイルランド、メキシコ、ペルー、シンガポール、南アフリカ、タイ、トルコのサンプルは、一般人口に比べて、より都市部に住み、教育水準が高く、裕福な、より「コネクテッド」な層の意見を反映していると言えるそうです。

 同社のプレスリリースによると、調査結果のまとめは以下のようになっています。
・同性カップルの結婚および他の法的承認に強く反対する人の割合は、日本が最も少ない
 「同性カップルは結婚することも他の法的承認を得ることも許可されるべきではない」と強い反対を示した日本人は6%で、これは、スペインと並び、調査対象26ヵ国の中で最も少ない割合です。
・LGBTQ+の人々の活動支援や公表に対する賛同は世界に比べて遅れている
 LGBTQ+のカミングアウト、LGBTQ+への差別に関する法整備、企業やブランドによる平等の積極推進、テレビ・映画・広告でのLGBTQ+キャラクターの起用など、LGBTQ+の活動を支援するような動きに賛同する日本人の割合は、いずれの項目においてもグローバル平均を下回る結果となりました。

 LGBTQの権利を認めることに強く反対する人たちは少ない一方、LGBTQの活動を積極的に支援する人たちも多くはないというのは、どう見ればよいのでしょうか。
 
 今回の調査結果についてイプソス株式会社の内田俊一代表取締役社長は、このようにコメントしています。
「法的に認められたLGBT+の婚姻カップルがいることが日常の欧米と異なり、日本は諸外国と比べ法整備が遅れています。そのことが、結果として、社会全体における関心や認知の拡大を妨げているのではないでしょうか。今後、LGBT+の人々が、当然の権利を享受しながら社会活動を行い、日常生活を営むための法律を含む環境整備が早急に行われていくことを期待しています。本調査は今後も継続的に実施していきます。どのような変化がみられるのかはまたお知らせしていきます」


 

 同性婚に関するデータとしてもう一つ、同性婚を認めると結婚制度が壊れるなどということはなく、男女の結婚も増えたことが判明したというニュースもありました。

 米シンクタンク「ランド研究所」とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が5月中旬、同性婚の法制化は異性カップルの婚姻率や離婚率に影響を与えないばかりか、全体的な婚姻率の上昇につながっているとの新たな研究報告書を発表しました。ほかにもLGBTQ+の身体的健康の向上やヘイトクライムの減少、婚姻カップルによる養子縁組率の上昇などのプラスの影響も見られるそうです。
 UCLAとランド研究所は、同性婚の影響を調べた100件近くの研究を分析し、同性婚が実現した後の州レベルの婚姻率に、同性婚の承認だけでは説明できない規模の上昇が見られることが判明しました。異性間の婚姻が1~2%増加し、同性・異性を問わないカップル全体では、約10%も増えていたのです。
 UCLA社会心理学教授でランド研究所非常勤研究員のベンジャミン・カーニーは声明で、「同性カップルの結婚の権利を認めれば、結婚制度が弱体化し、婚姻件数の減少や離婚件数の増加、家族形成の回避を招くと、反対派は予想していた」「全般的に見ると、そうした懸念は現実になっていない」と述べました。
 報告書の共著者でランド研究所の経済学者メラニー・ゼイバーも「結婚離れを示す証拠は存在しない」「むしろ、結婚への関心が高まった。これは同性カップルだけでなく、より幅広い層に当てはまる」と述べています。
 さらに、報告書によれば、(米国全土での同性婚実現より前の)同性婚が合法された州では梅毒やHIVへの罹患率が低下したといいます。性的指向を理由とするヘイトクライムやLGBTQ+への雇用差別も減少していました。
 メラニー・ゼイバーは「確認できる変化はどれも、より幅広い層で婚姻が再び重要視されていることを示している」「同性婚を認めれば、異性カップルや家族に悪影響が及ぶという懸念には経験的証拠が存在しない」と述べています。

 反対派の人たちの「同性婚を認めると結婚制度が壊れる」との主張は根拠がなく、むしろ男女の結婚も増えていたというのは、たいへん興味深いことです。よく「同性婚が認められても、ただ幸せな人が増えるだけ」と言われますが、実際には「同性婚を認めたら、異性愛者も含めて幸せな人が増える」のです。
 

参考記事:
同性カップルの結婚および他の法的承認「許可されるべきではない」支持する人の割合、日本が最も少なく6%(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000122181.html

「同性婚を認めると結婚制度が壊れる」は嘘、なんと男女間の結婚まで増えた──米国調査(Newsweek)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/05/post-104634.php

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