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ベントレーがLGBTQ+支援の取組みを讃えられ、「クィア・スチューデント・アワード」年間最優秀雇用主賞を受賞

 英国の自動車ブランド・ベントレー(BENTLEY)が、このたび「クィア・スチューデント・アワード2024」で年間最優秀雇用主賞と年間最優秀新人賞を受賞しました。
 

 「クィア・スチューデント・アワード」はLGBTQ+にフォーカスした英国初の学生のアワードです。ベントレーの社内ネットワークによる支援制度や、組織の全階層にわたって平等と包括性を促進するための積極的な活動が評価され、年間最優秀雇用主賞の受賞に至りました。審査員は、DEI戦略がビジネス全体に浸透していること、そして最も多様性のある高級車メーカーになるという目標を高く評価したそうです。
 また、ベントレーの実習生であるベンジャミン・マコーミック氏は、年間最優秀新人賞を受賞しています。彼は「BeProudネットワーク」共同議長として、同僚とともに障壁の特定と除去、ピアサポートの提供、アライネットワーク構築に尽力し、ベントレー社内および地域社会におけるLGBTQ+のトピックに対する認識と支援を高めてきたそうです。
 
 ベントレーは2020年、本社のあるイングランド北西部チェシャー・イーストのプライド(オンライン開催)に協賛し、コンチネンタルGT V8コンバーチブルをレインボーカラーにラッピングした写真を公開し、話題を呼びました。
 こちらの記事によると、2020年にはデザインチームにあらゆる種類の多様性を称えるアートワークを「フライングスパー」に描くという課題が与えられ、デザイナーのリッチ・モリスはプログレスプライドフラッグを取り入れ、多様な人々の顔や踊る姿に沿って延びる1本の線と「Love is Love」というメッセージが記されたデザインの「ユニファイング・スパー」を完成させ、人種や宗教やセクシュアリティに関係なく人々が力を合わせることの大切さを表現したそうです。
 昨年にもベントレーは、マンチェスタープライドにクラシックなプライドカラーのラッピングを施したベントレー「コンチネンタルGTC」を出走させました。LGBTQ+コミュニティについてあまり知識がなくても、このクルマが何を象徴しているのかを瞬時に理解できるようなデザインを心がけたといいます。「BeProud ネットワーク」共同議長のベンジャミン・マコーミックは、「私にとって今年のプライドは、自分らしくあることを恐れず、愛する人とマンチェスターを歩く同僚を誇りに思うことを意味します。ベントレーは、誰もがありのままの自分でいることを心地よく感じられる安全な空間でありたいと願っており、私たちBeProudネットワークはそのための重要な役割を担っています」と語っています。
  
 そして今年も、LGBTQ+コミュニティ支援の第4のプライドカー『コンチネンタルGTC』が発表されました。2021年に公開されたリッチ・モリスの「ユニファイング・スパー」にインスピレーションを得た色彩とラインワークが特徴で、愛、新しい生命、受容を象徴しているそうです。車体には混沌とした一本の黒い線が描かれ、その中から顔が浮かび上がります。自身のジェンダーやセクシュアリティを受け容れる過程で経験するかもしれない感情を象徴しているそうです。その上に、春、愛、新しい生命を祝うヒンドゥー教の祭り「ホーリー祭」からインスピレーションを得たプログレッシブ・プライド・フラッグの色彩が鮮やかに塗られています。色彩が顔を覆うことでメイクやスタイリングが個人を理想の自分に変える手助けをすることを示しているといいます。LGBTQ+が偏見なく自由に生き、愛することができる世界への願いが込められています。
 ベントレー モーターズのChief Communications and DEI Officerであるウェイン・ブルースは、「私たちの4台目となるプライドカーは、DEIの旅において特別な位置を占めています。この最初の一歩は、BeProudの創設を促し、私たちの継続的なDEIへの取組みに火をつけるきっかけとなりました。この最新のプライドカーは、単なるプライド以上のものを象徴しています。それは、私たちの受容、インターセクショナリティ、帰属へのコミットメント、そして年間を通じたサポートを表しています。このクルマは多様性と団結への私たちの献身を体現しており、誰もが自分の居場所だと感じられる文化の育成に努めています。このクルマは #BelongingAtBentley が真に意味するものを凝縮した、私たちの使命の力強い証しです」と語っています。

 ウェイン・ブルースは『WWD』誌のインタビューで、DEIに取り組むねらいについて聞かれ、以下のように答えています。
「2つの理由がある。それが正しいことだと信じているからだ。これまで買ったことのないお客さまを引きつけようと思ったら、そのような方々にとってもベントレーが大事な存在でなければならない。そのためには正しいことをしないといけない。そしてもう一つは、経営の観点だ。多様な人材、多様な考え方を受け入れることで会社を変える助けにしようという狙いがある。4年前には私の提案から地元のプライドフェスティバルを支援した。レインボーカラーにラッピングしたクルマも提供した。このような勇気ある発信はベントレーとして初めてだったので反響は非常に大きかった。LGBTQの社員も勇気を得て、自分たちも関わりたいと名乗り出た。いまでは社内に5つのインクルージョンに関するネットワークがある。1つはプライド系のネットワーク、そして女性活躍、さらに精神的に疾患を抱える人のネットワーク、4つめが多様な民族のネットワーク、5つめが、軍人、警察官出身のネットワークだ。それぞれのミッションは、4500人の社員にインクルージョン(包摂)を啓発して伝えること。現在ではこのネットワークに700人の社員が関わっている。DE&Iのアクティビストの招聘や、Linkedinなど公共に使えるチャンネルで自分たちの活動を発信したことにより、ベントレーの求人への応募における女性比率がかなり増えた」

 
 英国では、米国のコーポレート・イクオリティ・インデックスのように、LGBTQ人権団体Stonewallが2005年から「UK Workplace Equality Index」を設け、企業に「the top 100 workplacesを目指そう!」と呼びかけ、社内LGBTQ施策の進展を促してきました。
 2012年にはロンドン五輪やロンドンプライドに合わせ、「Out & Equal」という職場でのLGBTの平等を推進する団体の初の国際会議が開かれています。
 そんな英国では、ベントレーの取組みは後発の部類に入るかもしれませんが、英国を代表するラグジュアリーカーのブランドが車体をレインボーカラーにデザインした高級車を地方のプライドに出展するという取組みが大きなインパクトを与え(コロナ禍でパレードをリアル開催できなかった年だったということもあり、華やかで素敵なトピックとしてコミュニティに歓迎されたのでしょう)、それを4年間続けてきたこと、社内の「BeProudネットワーク」で当事者の方が生き生きと活躍してきたことなどが今回の受賞につながったと言えそうです。

 LGBTQの学生が企業を表彰するアワードというのもユニークですよね。汚れなき心、曇りのない目でLGBTQ支援の取組みを評価しているのではないでしょうか。Z世代の学生に評価される取組みは真に価値ある取組みだと見ることもできそうです。

 
 
参考記事:
ベントレーは世のため人のため…「持続可能性」「インクルーシブ」「企業の社会的責任」の取り組みで3つの権威ある賞を受賞しました(Auto Messe Web)
https://www.automesseweb.jp/2024/07/17/1615060
ベントレーが「LGBTQ+」を支援、プライドカー『コンチネンタルGTC』発表(Response)
https://response.jp/article/2024/07/09/383840.html
ベントレー、ユニークなラッピングでマンチェスター・プライドに虹をかける(Infoseek)
https://news.infoseek.co.jp/article/prtimes_000000156_000082456/
ベントレー、ユニークなラッピングカーで北西部のLGBTQ+イベントを祝う(CARSMEET)
https://carsmeet.jp/2024/07/08/351732/
「ベントレー」が新型“コンチネンタルGTスピード”を発表 本国幹部に聞く、自動車におけるラグジュアリーとは(WWD)
https://www.wwdjapan.com/articles/1860501

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