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【パリ五輪】ノンバイナリーの選手がパリ五輪陸上女子1500m米代表に

 6月30日(現地時間)にオレゴン州で行なわれた五輪選考会で女子1500mに出場して優勝し、悲願の代表入りを果たしたニッキ・ヒルツ選手はノンバイナリーの方で、ホルモン治療や性別適合手術を五輪への出場のために断念し、競技に打ち込んできたそうです。そうして今回、見事に優勝し、五輪行きの切符を手に入れたヒルツ選手は「LGBTのみんなの愛を感じた」と語りました。


 IOC(国際オリンピック委員会)は2021年、トランスジェンダー選手の出場資格について、各競技を統括する国際的な連盟に委ねるとの方針を発表しました。
 世界陸連は2023年、男子として思春期を過ごしたトランスの選手の女子カテゴリーへの参加を禁止しました。ノンバイナリーである選手についての規則は定められていません。
 一般的に、出生時の性別を女性と割り当てられたノンバイナリーのアスリートは、ホルモン療法を受けていなければ女性カテゴリーでの出場が認められています。
 2021年の東京五輪でも、ノンバイナリーのクィン選手がサッカーのカナダ女子代表選手として出場しました。

 ヒルツ選手は2023年、米『ランナーズ・ワールド』誌のインタビューで「五輪出場は大きな夢。でも、テストステロンを摂取することや、髭を生やしたり、胸の手術を受けたりすることも、同じように大きな夢だ。だから時々、この競技を憎むこともある」と心情を吐露していました。五輪出場を目指してホルモン療法や性別適合手術を断念し、競技に専念してきました。
 
 6月30日、選考会記録を上回る3分55秒33を記録して優勝したニッキ・ヒルツ選手は初めての五輪出場に「子どもの頃の夢が叶った」と喜びの声をSNSに投稿し、支えてくれた人たちへの感謝を伝えました。「クィアの人々は、私たちが場所を与え、愛し、ありのままを受け入れれば成功できるのです。私にそれをしてくれた全ての皆さんに感謝します」
 また、NBCのインタビューでは「これは私一人だけで成し遂げたことではありません」「今日はプライド月間の最終日でした。私はコミュニティのために走りたかった。LGBTQのみんなが最後の100メートルを引っ張ってくれました。愛とサポートを感じました」と語りました。



 一方、パリ五輪ではトランスジェンダーのアスリートを事実上「締め出し」ているとの報道もありました。
 IOCは今年1月に指針を改定し、以前は男性ホルモンのテストステロン値が一定期間、基準値以下であったトランス女性は女性競技に出場できるとされていましたが、12歳になる前に性別移行を完了した選手に限るという基準が設けられました。
 また、出場資格の判断は各競技組織に委ねられていますが、パリ五輪では陸上、自転車、水泳、ラグビー、ボート、ボクシングなど少なくとも10の競技で、性別移行の年齢やホルモン値の基準などの厳しい制約が課されています。
 ニューズウィーク日本版は「社会的なレッテルによる差別の問題も含め、完全にインクルーシブな五輪の実現はまだ遠いようだ」と述べています。

 


参考記事:
トランスジェンダー選手がパリ五輪陸上女子1500m米代表に「LGBTのみんなが引っ張ってくれた」(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/nikki-hiltz-paris-olympic_jp_6684a359e4b05d5a5eb3c81f
米トランスジェンダー選手「髭生やすのも夢」 困難乗り越え…パリ五輪代表入りに感謝「LGBTの皆の愛感じた」(THE ANSWER)
https://the-ans.jp/news/433769/2/

事実上の「締め出し」に...トランスジェンダーに厳しいパリ五輪(ニューズウィーク日本版)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2024/07/post-105020.php

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