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山口、旭川、小樽、青森、真鶴でパレードが開催されました
毎年6月最終週の日曜日はプライドデー。1969年6月28日未明のストーンウォール暴動から1年が経ったことを祝い、1970年からニューヨークをはじめ全米各地でプライドパレードが開催されるようになりました。
今年もニューヨークだけでなく、日本でも、いくつものプライドパレードが開催されました。
ニューヨークでは6月30日、ストーンウォール55周年を記念するNYC PRIDEのパレードが開催され、五番街〜グリニッジ・ヴィレッジ〜ストーンウォール・イン〜七番街を盛大に行進しました。
米国ではここ数年、保守的な州でトランスジェンダーやドラァグクイーンなどの権利を抑制するアンチLGBTQの州法が続々と成立するバックラッシュが強まっており(昨年、史上初めて人権団体が非常事態宣言を発したほどです)、今年秋には大統領選も控えており、パレード参加者は危機感をあらわにしていました。参加者の一人は「われわれを政治に利用すべきではない。われわれの存在は消せない」と語り、主催者は「今後も公正と自由を求め、連帯していく」と表明しました。
パレードには、パレスチナ旗とレインボーカラーを組み合わせた旗を持ち「FREE PALESTINE」とコールしながら歩くフロートも参加していました。
米国務が5月、プライド月間にLGBTQを標的にしたテロの可能性が高まっているとして全世界の米国民に対し渡航注意情報を出すなど、パレード参加者への暴力やテロなども危惧されていましたが、幸い、パレードは無事に開催されました。
ニューヨークではパレード前日の29日、ストーンウォール暴動(PRIDEの始まり)の史実を伝えるための施設「Stonewall National Monument Visitor Center」が「ストーンウォール・イン」の隣に誕生しました。そのグランドオープニングの式典にはバイデン大統領も参加し、「この場所はLGBTQの歴史の象徴であり続けている」「どんなバックグランドの人であれ尊厳と敬意を持って扱われるべきだ」と述べ、LGBTQへの差別を容認しない姿勢を強調していました。
ニューヨークと並び、サンフランシスコでも6月30日、「Beacon of Love(愛の狼煙)」をテーマにプライドパレードが開催されました。恒例のダイクス・オン・バイクスの先頭にはオープンリー・バイセクシュアルのケイト・ブラウン知事も乗っていたそうです(素敵!)。何万人もの観衆が見守るなか、マーケット・ストリートではレインボーカラーに身を包んだ多様な参加者が行進しました。
サンフランシスコのプライドウィークエンドは、日曜のプライドパレードの前に、金曜にトランスマーチが(今年で20周年だそう)、土曜にダイクマーチが開催されるのが定番となっていましたが、90年代からの長い歴史を誇るダイクマーチは今年、直前にキャンセルされました(主催してきた方たちが亡くなったり高齢化したりして組織運営が難しくなってきたそうです)。しかし、集合場所のドローレス・パークには大勢の女性たちが集い、ピクニックイベントを楽しんだそうです。
ロンドンではこれまで7月第1週の土曜日に「Pride in London」のプライドパレードが開催されてきましたが、今年は6月29日にパレードが行なわれました。500を超える団体や企業、3万2000人を超える人たちがハイドパークからトラファルガー広場まで行進し、沿道では大勢の人が声援を送りました。
パレードの先頭(グランド・マーシャル)はロンドン市長のサディク・カーンと妻のサアディヤ・カーンが務め、カーン市長は「ロンドンに住む多様なLGBTQI+コミュニティとアライが、世界的に有名なプライドの祝祭と連帯の行進のために、再びロンドンの中心地に集まったことをうれしく思う」と述べました。
また、LGBTQIA+のバスケットボールクラブ「ロンドン・ナイツ」が移動式ミニバスケットボールコートのフロートで参加したり、レズビアンのバイク・クラブ「サフィック・ライダーズ」が小型バイクとクルーザーバイクで隊列を組んで参加したり、パレスチナを支援する「Queers for Palestine」がピンクウォッシングを非難するポスターを掲げて参加するなどしました。
このパレードのほかにもソーホースクエアやレスタースクエア、ヴィクトリア・エンバンクメント・ガーデンズなど、ロンドン市内のあちこちでプライドを祝うイベントが開催されたそうです。
日本でも、6月29日と30日の2日間、全国5ヵ所でプライドパレードが開催されました。
29日(土)には山口市で2回目となる山口レインボープライドが開催されました。
4月からパートナーシップ宣誓制度を導入した伊藤和貴市長は「昨年のパレードをきっかけに市議会との議論が加速した。(導入の)大きなきっかけになった」とあいさつしました。
ステージでは実行委員会の田中愛生委員長とレインボーノッツ合同会社の五十嵐ゆり代表が登壇するトークイベントも開催され、山口県内で導入が進む同性パートナーシップ証明制度について意見が交わされました。
パレードは中央公園を出発し、約360人がレインボーフラッグやプラカードを持って1時間ほど行進しました。ドラァグクイーンのエスムラルダさんも参加し、パレードを盛り上げました。
参加者の一人は「ひとりひとりがしっかりと尊重される社会、みんな生まれた者はそれで美しいんだというような思いをみんなが持ってくれたらいいなと思います」と語りました。
田中愛生実行委員長は「数年前までは山口っていわゆるLGBTQの人たちっていないよね、みたいな風潮だったのが、だんだん最近変わってきて。少しずつこうやって可視化が進んできているのはとてもいいことなんじゃないかなと思っています」「だれもが住みやすい街に、という思いでメンバーが一丸となってこのイベントを開催しております」「参加者が増えたのは、みんなの関心の高まりの表れだと思います。来年も続けたいです」と語りました。
山口レインボープライド2024
— 山口レインボープライド【公式】 (@YRP_PR) July 2, 2024
ご報告遅れましたが、無事閉幕しました
山口で2度目となるプライドパレードは360名が参加
天気もパレード終了までなんとか持ちました
応援してくださった皆様も本当にありがとうございました
次回もよろしくお願いします#山口県 #山口市 #LGBTQ pic.twitter.com/cici0sjR8F
30日(日)には、北海道旭川市で2回目となる旭川レインボーパレードが開催されました。
旭川をはじめ、札幌、北見などから約50人が参加し、常磐公園周辺からJR旭川駅前までの2キロを行進しました。
2024/6/30第2回旭川レインボーパレードでした!
— パートナーシップを考える会・旭川 (@partnershipashk) June 30, 2024
快晴のもと楽しく開催されました。稚内、名寄、北見やオホーツク方面から来られた方もいました。
また来年も楽しみです。 pic.twitter.com/1R0wjSpwUc
同じ北海道の小樽市でも第5回小樽プライドが開催され、海外を含め市内外から約200人が参加しました。
#第5回小樽プライド 無事に終了しました!ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!懇親会19:00まで行っておりますので、パレードにご参加いただけなかった方もぜひぜひお越しくださいませ〜 pic.twitter.com/QmXac5YxVo
— 小樽プライド委員会 (@otarupride) June 30, 2024
同日、青森市では11回目を数える青森レインボーパレードが開催されました。2014年に故・宇佐美翔子さんが中心となってたった3人で始めたパレードですが(そういう意味では今年10周年です)、毎年倍々で参加者が増え、宇佐美さんが掲げた「故郷を帰れる街にしたい」というメッセージに共感した方たちが全国から集まるようになり、今年は県内外から過去最多の220人が参加しました。
あいにくの雨模様ではありましたが、レインボーフラッグやプラカードを掲げた参加者が青森駅前公園から県庁周辺、新町通りを約1時間かけてパレードしました。沿道で旗を振ってパレードを激励したり、車内から手を振る市民の姿もありました。
パレード実行委員会共同代表の岡田実穂さんは「応援してくれる人の姿を見て、こんなに街の理解が進んでいるんだと実感した。みんな違うのが当たり前だし、その違いをどう尊重していけるかが何よりも大事。(行政には)『あなたたちの愛を応援します』みたいな制度ではなく、困り事を具体的に助ける制度を固めてほしい」と語りました。
#青森レインボーパレード2024 途中から雨降ってきてしまいましたが、なんとか無事終了〜!
— 青森レインボーパレード20240630(@RainbowAomori) June 30, 2024
整理券の配布は220枚、実際には途中沿道から参加の方もいたのでもう少し多いかなと思いますが今年も、地道に過去最高の参加者数でした!
来年もまた!ありがとうございました!
みんな風邪ひかないようにね〜! pic.twitter.com/dTc3RHjKtL
また、神奈川県真鶴町でも2回目となる西湘クィアプライドが開催され、約100人の方たちが参加し、JR真鶴駅から真鶴港まで約30分かけてパレードしました。
PRIDE JAPANでは近日中に山口と青森のパレードのレポートをお届けする予定です。
参考記事:
ニューヨークで毎年恒例 LGBTQ支援の「プライドマーチ」 今年は大統領選を控え参加者に危機感も(FNNプライムオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/721839
NYで性的少数者ら権利求め行進 旗振り大歓声、ガザ停戦訴えも(共同通信)
https://nordot.app/1180294777129599164?c=39550187727945729
性的少数者の差別容認せず NY暴動55年でバイデン氏(共同通信)
https://nordot.app/1179553891223454689
バイデン氏がNYの性的少数者の聖地訪問 「健在ぶり」アピール(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240629/k00/00m/030/142000c
‘I see a lot of love’: SF Pride parade draws thousands of spectators(The San Francisco Standard)
https://sfstandard.com/2024/06/30/sfpride-parade-kicks-off-downtown-sanfrancisco/
Dyke March Canceled for San Francisco Pride, Organizers Say(KQED)
https://www.kqed.org/news/11992072/dyke-march-canceled-for-san-francisco-pride-organizers-say
ロンドンでプライド・パレード、沿道から大きな声援(BBC)
https://www.bbc.com/japanese/articles/c9r37xvd615o
「性的マイノリティへ理解を」約360人が山口市をパレード 山口レインボープライド2024(テレビ山口)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tys/1262776
山口でプライドパレード 性的マイノリティへの理解を(山口放送)
https://news.ntv.co.jp/n/kry/category/society/kr080016f782dd4116a12b53973486d014
山口レインボープライド2024(山口朝日放送)
https://www.yab.co.jp/news-list/202406293603
性的少数者へ理解呼びかけ、360人がパレード レインボープライド(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS6Y43V6S6YTZNB001M.html
LGBTQ+知って 山口市でレインボープライド開催(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/487641
性的少数者ら旭川パレード(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1031864/
多様な性認める社会へ 小樽市内外から200人パレード(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1031808/
差別ない社会願い性的少数者らパレード/青森(東奥日報)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1807715
真鶴で性的少数者らパレード 「プライド月間」最終日、権利向上訴え100人連帯(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1090159.html