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超党派LGBT議連が事実婚の諸規定を同性カップルに適用するよう申入れへ
超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」(会長・岩屋毅元防衛相)が10日、男女の事実婚に関する規定を同性カップルに適用するよう、政府に申し入れる方針を固めました。今年3月に最高裁で同性パートナーも犯罪被害者等給付金支給法の「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に含まれるとの判断が示されたことを受けたものです。
議連に加わる与野党の衆参議員15人ほどが国会内で総会を開催し、LGBT法連合会が、配偶者に加えて事実婚パートナーも対象に含めている災害弔慰金支給法、雇用保険法、国家公務員災害補償法などの141に上る規定のリストを示しました。健康保険の被扶養者としての保険給付や介護休業給付金の受取りなどが含まれます。
議連はこれらのうち、法律の運用で対応できそうな規定について、同性カップルへの適用を速やかに検討するよう、近く政府に求めるとしました。岩屋氏は総会で「司法判断は前進しつつある。法律や制度に反映させていくのが立法府の役割だ」と語りました。
先月2日には長崎県大村市が全国で初めて男性カップルに続柄欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付し、栃木県鹿沼市、京都府与謝野町、福岡県古賀市、東京都杉並区などが同様の対応を行なうことを表明しています(鳥取県倉吉市ではすでに対応済みです)
やはり最高裁が事実婚と同様だと認めたことの意義は大きく、このように国会内で超党派議連が申入れを行なう運びとなったことは非常に素晴らしいです。住民票の続柄の件も、大村市の職員さんがこの最高裁判断のことを踏まえて判断し、交付をOKにしてくれたのではないでしょうか。国がもし今後、犯罪被害者等給付金では事実婚と同等(支給を認める)とされたが、それ以外については同性カップルは事実婚とは区別する(支給を認めない)というあからさまに差別的な対応をするとしたら、道理が通りませんし、認めざるをえないのではないかと、そうなると、住民票の続柄も当然、事実婚と同様の記載を認めるのが筋だという話になっていくのではないかとの希望が持てます。
ここまで来るのには、犯罪被害者遺族給付金の支給をめぐる愛知県の内山さんの裁判をはじめ、たくさんの方が泣き寝入りをやめ、勇気を持って(カムアウトしながら)声を上げ、裁判などで訴えてきたこと、一審でダメでもあきらめず、何年にもわたって闘い続けてきたようなことの積み重ねがありました。あきらめずに声を上げ続けていけばきっと世の中は変わるということを身をもって証明してくれたみなさん、そんな彼らを周囲で支えてくれた弁護団や支援者の方々にも感謝申し上げます。
参考記事:
事実婚への手当など「同性パートナーも対象に」 LGBT議員連盟が政府に申し入れの方針(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/332658
「同性でも公的給付金を」 超党派議連が制度運用見直しを政府に要請方針(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20240610-WL42TEUMAVJTLBY4ZPHW4THXFM/