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【プライド月間】メディアの取組みをご紹介
プライド月間に際し、本当にたくさんのメディアがプライドを祝う特集を組んだり、LGBTQ関連の記事を配信したりしてLGBTQコミュニティを支援してくれました。
ここでは、すでにお伝えしたNHKの名古屋レインボープライドに合わせた特番以外の、オンラインメディアの記事をまとめてご紹介します。
VOGUEは「6月はプライド月間! LGBTQIA+コミュニティのために、今日から始められる5つのアクション」と題する記事で、プライドの運動が始まるきっかけとなったストーンウォール暴動やレインボーフラッグのことだけでなく、世界の同性婚の状況や日本の法整備の遅れについて解説し、そして、「まだまだ課題は山積みだが、人々の声と行動によって画期的な変化と前進を、今私たちは目の当たりにしている。6月のプライド月間をより有意義なものにし、これからも変革を起こしていくために、今すぐできるアクションを5つ紹介」として、以下のような「プライド月間にできる5つのこと」を提案しています。
1.婚姻の自由などの法整備に尽力する団体「Marriage For All Japan」や「LGBT法連合会」、LGBTQ+に関する教材を作る「認定NPO法人ReBit」などのマンスリーサポーターになり、寄付をしよう。
2.トランスジェンダーに対するバッシング、偏見や差別に反対しよう。
3.揺れ動く日本の現状をアップデートするべく、記事をたくさん読もう。
4.婚姻の平等や差別禁止法について、周りの人と話してみよう。
5.政治家に手紙を書いてみよう。
プライドの運動の意味をしっかり踏まえたうえで、人々に具体的なアクションを促すという、実に素晴らしい記事です。さすがはVOGUE。拍手!です。
VOGUEはまた、【プライド月間特集 わたしの選ぶ“家族”】として、4組8名の「Chosen Family」をフィーチャーする記事を配信しています。vol.1はモデルのHIBARIさんと科学教師であるレインさん、vol.2はkemioさんと元ルームメイトのマイルズさん、vol.3はディレクター/編集者/フォトグラファーとして活動する中里虎鉄さんとジュエリーデザイナー/モデルの黄理子さん、vol.4は同じゲイとして幼い頃からさまざまな差別や偏見をともに経験し共有してきたStan Fukaseさん&Stewart Fukaseさんです。ぜひ読んでみてください。
ほかにも「全国のLGBTQIA+フレンドリーな書店をピックアップ! プライド月間に安心して訪れたいクィアな本屋たち」という記事で、東京、名古屋、神戸、仙台、つくば市などにあるクィアに関する本を取り揃えた書店を紹介しています。
ELLEの「パパ2人と息子の田舎暮らし。半歩先のニュートラルな家族のカタチ」は、2018年にハワイ州で結婚したShibaさんとKojiさんのカップルにインタビュー。2020年にはお子さんが生まれ、伊豆で暮らし始めたそうで、結婚生活のことや新米パパとしての子育て、家族としての今後の展望などについてお話を聞いています。とても素敵な記事でした。
(なお、ELLEは米国・アイダホ州のバーがプライド月間に反発し「異性愛者はビール1杯無料」という差別的なキャンペーンを発表したという話も伝えています。気が滅入るような話ですが、米国でどのようにバックラッシュが巻き起こっているかがよくわかるニュースでした)
ViViの「同性婚ができない現状やLGBTQ差別…Z世代ViViモデルのリアルな意見は?「認められない理由が分からない」【プライド月間】」はZ世代のViViモデルが多様性について語るもので、「「多様性のある社会って?」って聞かれると、あぁ、このトピックがある時点でまだそれが認められてない状況なんだなって思います。だから、東京レインボープライドのように、多様な現実を知ってもらうために活動している人がいるのだと思うし、まだ話題にすることがとても大切な段階なんだと思います」とか、「なんで日本では同性婚って認められていないんですかね? 本当に理由が分からない」「法改正をためらっている合理的な理由を教えて欲しいです」とか、「人の性的指向や容姿をイジるのって品がない。そうやって人を馬鹿にするような風潮にはキッパリNO!を示すのがいいのかなと思います」とか、「誰かと違うことで疎外感を感じたり、嫌な思いをしても「1人で悩まなくていいんだ!」って、みんなが思える社会っていいですよね。だから、アクティブバイスタンダーみたいに、何かあったら手を差し伸べてくれる人が周りにいると感じられることは本当に心強い」とったコメントが並んでいて素晴らしいです。国を動かす議員とか、古い考えの人たちも彼女たちの声を聞いてほしいと思いました。
マリ・クレール インターナショナルの「プライド月間はなぜ6月に祝われるのか?」はストーンウォール暴動という「プライドの始まり」について解説しています。アルゼンチンのLGBTQ活動家カルロス・ハウレギの「恥じるように教育された社会では、プライドは政治的反応である」という言葉が印象的でした。
Yahoo!ニュースは「パートナーシップ制度では不十分? 「同性婚」をめぐる日本の状況 #令和の人権」という特集を掲載しました。なぜ日本では同性婚が法制化されていないのか、Yahoo!クラウドソーシングを活用したアンケート調査を実施し、過半数の人が同性婚には賛成しながらも、同性パートナーシップ証明制度には法的効力がないことを知っているのは半数以下だったという結果になったことを受けて、松岡宗嗣さんが同性パートナーシップ証明制度への誤解や、同性婚反対派の文化的背景などについて解説しています。
共同通信は「市民権を得たプライドパレード、30年前日本で始めた92歳の男性が心配すること LGBT理解増進法に潜む差別、「大事なのは個々の幸せ」」という記事で、日本で初めてプライドパレードを開催した南定四郎さんにインタビューしています。ニューヨークやサンフランシスコのプライドパレードに参加して「同性愛者であることを家族や友達に話せず、悪いことをしているという意識がいつもあった。それがパレードに参加して歩くと、自分を肯定して、一人前の人間になれた気がしたんです」と感じ、「いつか日本でも」と準備を進め、日本初のパレードに結実したというお話、そして、今のTRPの成功を「経済的にも性的少数者が無視できない存在になったということ。大きな意味があると思う」と評価しつつも、昨年成立した理解増進法の「全ての国民が安心して生活することができるように留意する」という文言には「多数派の権利擁護と言え、ひどい差別がある。それがいつか噴出するのではないか」と懸念を表明しています。インタビューの最後に南さんは「パレードに人を集め、大きくすることが目的なのではなく、大事なのは個々の幸せです」「おのおのが求める幸せの形があるはずです。それを追求していくことこそが大事だと思っています」と語っています。
東京新聞は、2001年に世界で初めて同性婚が実現したオランダのクリスティアンヌ・マタイセンさん&マルティーヌ ファン・グリーケンさんカップルと、英国で同性婚の法制化に尽力し、現在はLGBT+権利特別特使を務めるニック・ハーバート上院議員が来日したことに合わせ、それぞれの歩みと現状についてインタビューした「母2人の家族が「普通」のオランダ 世界初の同性婚法制化から23年 6月はLGBTQの「プライド月間」」という記事を掲載しています。
ハフポスト日本版「どうやってカミングアウトした? 家族にはどう話した? 先輩に聞いてみた。悩んでいるあなたに今知ってほしいこと【プライド月間】」では、LGBTの子ども・若者の居場所を作る一般社団法人「にじーず」代表の遠藤まめたさんにカミングアウトのあれこれを聞いています。
東京すくすくの「〈6月はプライド月間〉特集・LGBTQの子どもたちも生きやすい社会へ 大人が知っておきたい3つのこと」では、「性別への違和感を抱くタイミングは、早ければ保育園や幼稚園の時という子も。思春期で好きになる相手が同性という子もいます。周囲はどう対応したら? 子どもたちの居場所は?」といったテーマで、これまで掲載した記事から10本を選んで紹介しています。
CAMPAIGNがプライド月間に関していくつかの記事を配信しています(CAMPAIGN US版の翻訳です)
「今年のプライド月間、ブランドの取り組みは控えめ」では、昨年、バドライトやターゲット社へのアンチの攻撃によって会社側が撤退を決めるという出来事があって、今年は企業が尻込みし、プライド月間のキャンペーンが減少したという残念な状況が綴られました。今年はプライド月間のコレクションを発表したブランドはほとんどなく、発表したブランドも大々的な宣伝を実施していないそうです。
こうした現状に抗していくような記事として「2024年のプライド月間、必要なのは勇敢なアライ 」では、ゲイのコミュニケーション・クリエイティブ・コンサルタントのハワード・プルチン・ラモス氏が企業に望むことを忌憚なく語っています。「LGBTQ+コミュニティを支えるアライになろうという企業は、ぜひ腰を据えて取り組んでほしい」「多様な人々が人間性を十分に発揮できる社会を目指すプロボノのプロジェクトを、プライド月間以降もぜひ引き受けてほしい」「味方となって応援し、一緒に戦ってくれた人たちのことを、私たちは忘れずにいるだろう」
PRIDE JAPANでも浜松や名古屋、宝塚のプライドパレードをレポートしていますし(この後も、今週末の山口や青森のパレードのレポートをお届けする予定です)、今年の下半期のプライドイベントの特集もお送りしました。内外のプライド月間に関するニュースも可能な限りたくさん、多面的に紹介しています(今月のニュースの一覧を見ていただければ、だいたい今年のプライド月間がどんなだったかがわかるようになっていると思います)。一昔前までは、世の中でこんなにプライド月間を祝ったり、特集やニュースが組まれたりということはありませんでした(「プライド月間」自体もあまり知られていませんでした)。時代の変化をヒシヒシと感じます。感慨深いです。
こうした世間の変化は、これまでにLGBTQやアライの方たちが職場や自治体やメディアに働きかけたり声を上げたり、パレードを歩いたり、そうした一人ひとりの様々なアクションのおかげです(それこそがプライドです)。ですから、これまでの健闘を讃え合い、世の中がここまで変わったことを喜び合いましょう。それがプライド月間を祝うということなのですから。ハッピープライド!