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ユーロビジョンでノンバイナリーの歌手が初めて優勝

 スウェーデンのマルメで11日に開催された由緒ある欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝で、スイス代表でノンバイナリーであることをオープンにしているネモが優勝しました。ユーロビジョンの長い歴史のなかでノンバイナリーの歌手が優勝したのは史上初めてです。

 
 ネモはグランドファイナルのステージで、サーモンピンクのワンピースの上に鮮やかなフリルのジャケットを羽織り、回転する円盤の上でバランスをとったりしながら、オペラかミュージカルのような(しかし、ラップも入っていたり、様々な音楽の要素が自在に活きた)「The Code」という、ノンバイナリーという自身のアイデンティティを受け容れるまでの心の旅を表現した圧倒的にドラマチックな歌を披露し(動画はこちら)、見事に優勝しました。
 ユーロビジョンでノンバイナリーの歌手が優勝したのは初めてで、また、スイス代表としては1988年のセリーヌ・ディオン以来の栄冠となりました。
 ネモは受賞後、涙を浮かべながら「このコンテストが約束を果たし、世界のすべての人々の平和と尊厳の象徴となり続けることを願っている」と語りました。

 ユーロビジョンといえばちょうど10年前、オーストリア代表として出場したひげのドラァグクイーン、コンチータ・ヴルストが優勝し、話題を呼びました。コンチータの出場に対して事前にロシアやベラルーシなどで反対運動が起き、オーストリア国内でも「国を代表するのに相応しくない」という声も上がったそうですが、コンチータは長い髪にタイトなドレス姿でバラード「Rise Like A Phoenix(不死鳥のようによみがえれ)」を熱唱し、そののびやかな歌声で観客を圧倒、2位に大差をつけて優勝しました。あまりにもドラマチックな出来事で、コンチータ・ヴルストはLGBTQコミュニティのアイコンとして、世界各地のプライドイベントに呼ばれたり、様々な活躍を見せました。
 
 今回のマルメの大会では(ちなみにマルメは対岸のコペンハーゲンとともに2021年のワールドプライドの開催地になっていました)ノンバイナリーのネモに対してではなく、イスラエルの参加をめぐって抗議の声が上がりました。大会の開催中も会場の外で大規模なデモが行われ、グレタ・トゥーンベリが警察に拘束されるなどしました。AFPによると、マルメにはスウェーデン最大のパレスチナ系コミュニティがあり、11日午後には市内で少なくとも5000人がデモに参加したそうです。
 このような抗議のさなか、イスラエル代表のエデン・ゴランは決勝に進みましたが、ブーイングを浴びせたり背を向けて立ち去ったりする観客も見られたといいます。
 アイルランド代表のバンビー・サグはCNNのインタビューに対し、2年前のロシアのようにイスラエルを出場禁止としなかったのは「間違った判断」だと述べています。
 


参考記事:
欧州最大の歌謡祭「ユーロビジョン」で「ノンバイナリー」の歌手が初優勝(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/698142
欧州歌謡祭「ユーロビジョン」、スイス代表が優勝 イスラエル参加に抗議も(CNN)
https://www.cnn.co.jp/showbiz/35218804.html
ユーロビジョン、スイス代表が優勝(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/amp/3518966

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