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厚労省、雇用保険法上の就労移転費の支給について単身分の費用しか認めず
29日の衆院法務委員会で山田勝彦議員(立憲民主党、長崎3区)が続柄欄に「夫(未届)」と記載された松浦さん&藤山さんカップルのことや最高裁が3月に「同性カップルも犯罪被害者給付金の支給対象」とする初判断を示したことなどを挙げて小泉龍司法相に同性婚を認める「政治決断」を求めたところ、小泉司法省は「積極的に、身を乗り出して注視する。そういうスタンスでしっかりと臨みたい」と述べました。
一方、雇用保険上の移転費の支給について山田議員は、厚労省が(住民票上事実婚であるにもかかわらず)単身分の費用しか支給しない通知を出したことを指摘し、差別的待遇であり平等権に反するのではないかと追及しました。厚労省の三浦靖政務官は「同性パートナーは(支給要件)の対象に含まれた形で取り扱っていない」「他制度における検討状況も踏まえ、必要に応じて労働政策審議会において議論した上で検討したい」と答弁しました。
雇用保険法の受給資格者は就業目的で転居する際、本人と家族の交通費などの支給を受けられるため、パートナーが法的に家族と認められるかどうかによって支給額が異なります。現状、事実婚のカップルは支給対象ですが、同性カップルは含まれていません。松浦さんは、続柄欄に「夫(未届)」と記載されることで同性カップルも事実婚と同等に扱われるのではないかと期待し、続柄欄を「夫(未届)」と記載できないかと市役所に相談していました。
この厚労省の対応について松浦慶太さんは「検討すると言ってくれていることについて大きく前進していると受け止めています。うれしいです。大村市が風穴をあけてくれたことが前向きな検討につながったと思うので感謝します」と語りました(なんと殊勝な…)
(なお、あーさんという方がこの山田議員と国側との一連のやりとりを文字起こししてくださっています→こちら)
山田議員も指摘しているように、最高裁は今年3月、同性パートナーも犯罪被害者等給付金支給法の「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に含まれるとの判断を示し、全国の自治体で対応が進んでいます。同様に、雇用保険上の移転費の支給についても、同性パートナーを事実婚と区別し、家族の分の支給を認めないとする厚労省の対応は、早晩、見直しを要求されることでしょう(もし裁判が起こされた場合、敗訴する可能性が高いでしょう)。住民票上も事実婚と同じであるわけですから、速やかに支給を認めたほうがよいのでは?と思う方は多いはずです。
参考記事:
「同性パートナー含まず」厚労省 「夫」住民票、就労移転費(共同通信)
https://nordot.app/1168384805717181128?c=302675738515047521
同性婚の動きに法相「身を乗り出して注視」 住民票に「夫」と記載(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS5Y0VFPS5YTOLB001M.html
小泉龍司法相「積極的に注視」 同性婚巡る動き 長崎・大村の男性カップル(長崎新聞)
https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=1168713897781560292