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長崎県大村市の園田市長が会見「裁量の範囲内でできる限りの対応をした」
長崎県大村市で続柄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付された松浦さん&藤山さんカップルが28日に会見したことを受け、市側も同日、記者会見を開き、園田裕史市長は「窓口で市民の相談に応じた対応をできる限りやっており、良い対応だった」「あくまで『内縁の夫婦』に準じるという意味で自治体事務の裁量の範囲内で判断した」「社会保障や相続など、様々な制度に対する広い理解が得られるという意味では大きいが、制度設計の変更については、国で議論をしていくべきこと」と述べました。
市によると、住民票の手続きで申請者から窓口で対応した職員に、世帯の続柄を「夫(未届)」にできないかと相談があり、同市の「パートナーシップ宣誓制度」の受領証も持参していたため、事務方で住民基本台帳の事務処理要領を確認し、協議した結果、記載が可能と判断し、受理したといいます。その過程で「(申請者が希望する)対応は難しい」といったことは話していないとしています。市は「パートナーシップ宣誓制度」の導入の際にこういった届出が来ることは想定していなかったとし、全国初という認識もなく、結果的に「初だった」と説明しました。
会見で園田市長は、担当課が記載を判断した時点で市長や総務省への確認はなかったと明らかにしたうえで、「窓口で市民の相談に応じた対応をできる限りやっており、良い対応だった」と述べました(いい市長さんですね)。そして、届出が受理された意義について質問された市長は、国が定める事務要領に沿って自治体の裁量権の範囲内で対応したことで“越権行為”ではないとしたうえで、「社会保障や相続などの制度に対する広い理解が得られるという意味では大きいが、制度設計の変更については、国で議論をしていくべきこと」と述べました。また、今回、続柄に「夫(未届)」と記載したことの妥当性については「総務省に確認中」であり、今後、国から「妥当ではない」と回答が来た場合は、「そもそもの自治体事務の考え方も含めての協議になると思う」と述べました。
なお、市は今後も、同様の申請があった場合、「パートナーシップ宣誓受領証を交付されている場合に限り、同様の対応をしていく」としています。
家族法に詳しい早稲田大の棚村政行教授は、「事実上の婚姻関係に適用される形で受理されたことは、異例で画期的だ。事務処理の範囲内のため、法的地位が保障されるものではないが、他の自治体でも受理するところが出てくるのではないか。国も柔軟に対応する必要があるだろう」と話しています。
今後、同性パートナーシップ証明を受けていて同居しているカップルが、続柄を事実婚と同様の「夫(未届)」「妻(未届)」に変更できないかと役所に相談し、自治体側もこれを認めるというケースが増え、全国の自治体に広がっていくのではないかと思われます。棚村教授も述べているように、国側も柔軟に対応し、これを認めていただきたいものです。
参考記事:
【速報】市長「内縁の夫婦に準じるという意味で自治体裁量で判断」 同性カップルに「夫」記載の住民票交付 長崎・大村市が会見
https://nordot.app/1168080500256358899?c=768367547562557440
大村市長「自治体の裁量範囲内」 続柄「夫」と記載の住民票交付で(共同通信)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1367713
男性カップルに事実婚様式の住民票交付した長崎・大村市長「できる限りの対応」「事実婚は国が議論すべき」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240529-OYT1T50025/
大村市長「裁量の範囲内」 男性カップル世帯の住民票に「夫(未届)」 全国に広がる可能性(長崎新聞)
https://nordot.app/1168365716399882625?c=39546741839462401