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台湾のニンフィア・ウインドが蔡英文総統の前でパフォーマンス
『ル・ポールのドラァグ・レース』で優勝したニンフィア・ウインドが15日、台湾の総統府を訪れ、蔡英文総統と面会し、パフォーマンスを行ないました。蔡英文総統は20日に退任することになっており、はなむけの意味が込められていたそうです。
| Nymphia Wind, Taiwan’s most famous drag queen, treats President Tsai Ing-wen to a live drag show at the presidential office pic.twitter.com/sAKPaeXDWI
— Nymphia News (@nymphianews) May 15, 2024
ニンフィアは自身が立ち上げた「瘋家(Haus of WIND)」の5人のクイーンたちとともに登場し、自身は黄色、他の5人は赤、オレンジ、緑、青、紫の大きなフリルのガウンを着て鮮やかなレインボーカラーをつくり、階段をゆっくり降りながら一斉にガウンを脱ぐという演出のあと(このときのBGMはジョリン・ツァイの「玫瑰少年 Womxnly」。ニンフィアが優勝したのは台湾時間で4月20日で、「薔薇の少年」葉永鋕の命日であり、ジェンダー平等記念日に当たる日でした)、レディ・ガガの「Marry the Night」など3曲を使い、世界最高峰のショー・パフォーマンスを披露しました。そして、過去8年の任期の間に同性婚合法化などを実現させた蔡総統の貢献に感謝し、蔡総統という手本がいたからこそ「私たちの美しい姿を表現することができた」と語りました。
蔡総統は、総統府がこれほどまでににぎやかになったことは過去8年で初めてだと語り、華やかなステージの背後には社会における差別や偏見の目への反抗があるとして、ドラァグクイーンらが恐れることなく美しさを表現し、身を挺して枠を打ち破っていることに感謝を捧げました。また、ニンフィアが番組で優勝した4月20日はジェンダー平等記念であり、今日から2日後の5月17日は「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」でもあると語り、この数年来、政府はジェンダー平等の推進に力を入れ、婚姻の平等も達成したと、それは自由で民主的な台湾では全ての人が性別の規範や性的指向を問わずに自分を表現し、自分が愛する人と家庭を築けるようにしたかったからだと語りました。また、ルポールがいつも言っている「自分を愛することができなくてどうやって他の誰かを愛することができるの?」という言葉もスピーチに織り交ぜていました(素敵!)
ニンフィアは、この黄色い衣装は台湾固有種の植物タイワンコウホネからインスピレーションを得て作ったもので、「この花は多くの泥がなければ美しく咲くことができない」と語り、台湾も同じようにさまざまな困難に直面しているが、まさに「出淤泥而不染(泥より出づるも染まらず。周囲の悪い環境に染まらず、正しく生きることのたとえ)」という言葉の通りだと述べました。そして国の指導者が執務を行なう庁舎でのドラァグクイーン・パフォーマンスは初めてではないかと話し、国家に対する蔡総統の貢献があったからこそ今のような自分になれたと感慨深げに語りました。発言の最中、声を詰まらせる場面もあったそうです。
なんと美しく、素晴らしく、胸を打つニュースでしょうか。
もちろんニンフィアがRPDRで優勝したおかげではあるのですが、台湾がこれまで人権を重んじ、真に自由で民主的な国づくりに邁進し、ジェンダー平等とLGBTQの権利回復に本気で取り組んできたからこそですよね。
日本でもいつか、このような景色が見れる日が来るといいですね。
参考記事:
米コンテスト優勝のドラァグクイーン、蔡総統を訪問 8年間の貢献に感謝(フォーカス台湾)
https://japan.focustaiwan.tw/politics/202405150008
台湾総統府でドラァグクイーンがはなむけのパフォーマンス(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3519741
台湾総統府にドラァグクイーン降臨。涙ながらに語った思い。蔡英文氏から感謝の言葉も(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_66484ee5e4b0fad036f01f84
蔡英文総統、米リアリティ番組でドラァグ・クィーンの頂点に輝いたニンフィア・ウインドさんを総統府に招く(TAIWAN TODAY)
https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=151&post=252759