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【婚姻平等訴訟】各地の原告の喜びの声や有識者コメントが報道されています
東京地裁の違憲判決と札幌高裁の(憲法24条1項も含む画期的な)違憲判決を受けて、各地の原告の方々が喜びを語っています。
毎日新聞によると、「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟の原告、大野利政さんとと鷹見彰一さんは、「良い結果でうれしい」と喜びをにじませました。両判決を受けて開かれたオンライン記者会見で大野さんは「前向きな気持ちになれる結果」「他の裁判の結果を待つのではなく、国には早急に解決に向けて対応してほしい」と、鷹見さんは札幌高裁の判決について「喜び以外の言葉が見当たらなかった。一般の人たちの考えも変わってきていると見てくれたのだと思う」と語りました。
愛知訴訟も現在、控訴審の最中で、次回は6月27日に第3回の期日(口頭弁論など)が開かれます。
九州訴訟の原告、こうぞうさんとゆうたさんもオンラインで記者会見を開き、「今までの判決よりも一歩踏み込んだ判決で率直にうれしい。社会的な素地はできていると思う。あとは立法府が動くだけだ」と語りました。
ゆうたさんは「とても真っ当なことを言ってくださったなと思います。率直にうれしいです」と、こうぞうさんは「両論併記ではなく前に進む判決というのを九州訴訟の控訴審でも望んでいます」とも語りました。
九州訴訟については、今年2月、福岡高裁で控訴審の初弁論が行なわれました。次回の期日は9月2日です。
(全国の「結婚の自由をすべての人に」裁判情報についてはこちらをご覧ください)
MBSニュースによると、落胆の色が濃かった東京二次訴訟の原告のみなさんも、札幌高裁の判決を喜びました。
報告会を終えて、会場で、札幌と中継映像を結び、見守っていましたが、「同性婚を認めないのは憲法14条1項、憲法24条1項と2項に反する」との判決に、会場からは拍手と歓喜の声が上がりました。
寺原真希子弁護士は、札幌高裁の判決を「完璧」と表現。これまで「結婚の自由をすべての人に」訴訟団が主張していたことが認められたと評価しました。
原告の山縣真矢さんは「本当に勇気になりますし、今後国会に法制化を訴える時にも、後ろ盾として大きなものをもらった」と声を弾ませました。
原告の福田理恵さんは「これまで同性愛者であることを隠しながら、自分は価値ある人間なのかなっていうことを自問自答しながら生きてきた。私達も社会で尊重される一員なのだということを言われたみたいで、それがうれしい」と涙ながらに語りました。
今回の判決は、メディアの注目度も高く、(フォローが追いつかないくらい)たくさんのテレビ局や新聞、ネットニュースなどで取り上げられています。有識者のコメントを紹介する報道もいくつかありました。
HTB北海道ニュースで明治大教授で北海道大学名誉教授でもある(『台湾同性婚法の誕生』の著者でもある)鈴木賢氏は、今回の札幌高裁の判断を受けて「同性婚を認める方向へ世論がさらに傾く」「ほかの裁判所での判決を方向づけることになる」と語っていました。
NHKのニュースで早稲田大学の棚村政行教授(家族法)は、札幌高等裁判所の判決について「婚姻制度の中心にあるのは同性か異性かということではなく、人と人との支え合いを保障するものだということを明らかにした点で非常に大きな意義がある。同性間で婚姻が許されないことで当事者が被る不利益の程度もかなり重いと強く言っており、印象的だ。パートナーシップなどの制度ではなく婚姻制度の枠に入れないと性的マイノリティの人たちの不利益は解消されないということも指摘しており、婚姻の平等に限りなく近づいた判断だ」と評価しました。そのうえで、14日にあった東京地方裁判所の判決も含め、「2つの判決は重大な不利益を被っている人たちに対して法制化に向けた議論をするべきだと言っている。国会は、こうした司法の場での大きな流れを受け止めて早期に議論を開始すべきだ」と話しました。
テレビ朝日のニュースで憲法学者で名古屋市立大学大学院の小林直三教授は、「札幌高裁はこれまでの様々な地裁判決時に比べ、社会の同性婚への理解がさらに高まったと判断。結果『違憲』という踏み込んだ決断を下したのだろう」「政府および国会は、最終的な司法判断を待たずに、様々な法改正を進めるべき。海外で同性婚が認められていくなかで、日本では認めないというのは国際的な流れに背くことになる」と語りました。
関西大の木下智史教授(憲法学)は毎日新聞で、「憲法24条1項が同性間の婚姻の自由も保障していると判断したのは、これまでの各地の地裁判決より踏み込んだ画期的な判断だ」と評価し、札幌高裁が示した「人と人が真剣に交際して結びつく関係を保護するのが婚姻」との判断は現在の多くの国民の意識に近いのではないかと述べ、さらに、同性カップルは今まさに婚姻の権利を求めて訴訟を起こしているはずなのに国会は全く動かないと指摘し、「札幌高裁は同性カップルの置かれた状況とともに、同性婚の導入が必要な理由を丁寧に説明しており、そんな危機感を示したようにみえた」と評しています。
FNNで番組コメンテーターを務める菊地幸夫弁護士は札幌高裁判決について「憲法24条以外にも、14条は平等、13条は幸福追求が定められていて、平等・幸福追求は結婚についてストレートの規定ではない。結婚についてストレートに定めているは24条になります。24条1項にまさしく『結婚ってこういうもんだよ』って書いてあります。そこには『両性の』と明確に書いてあります。両性というのは、普通に読むと、男と女になります。それがネックになっていました。憲法は男と女の結婚しか認めてないじゃないかという。今回の判決はその『両性』という言葉があったとしても、同性どうしもそれに含めると考えていいんですよという、その文字を一つ乗り越えました。そこに大きな意味があります」「今までは地裁の判決が多かったのが、今回、一段上の高裁までということです。今後も高裁の判決がさらに増えてくれば、いよいよ最後の最高裁も動かすことになるのか、その一歩になったということです」と評価しました。
参考記事:
同性婚訴訟判決、名古屋の原告も喜び 「国は早急な解決を」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240314/k00/00m/040/324000c
踏み込んだ判決でうれしい」 同性婚訴訟、福岡の原告カップル(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240314/k00/00m/040/270000c
同性婚裁判 札幌高裁の違憲判断に歓迎の声 九州原告「九州訴訟でも前に進む判決を」(RKB毎日放送)
https://rkb.jp/contents/202403/202403140638/
同性カップルが婚姻求めた裁判 原告団の一日「私達も社会で尊重される一員と言われたみたいでうれしい」 初めての札幌高裁判決を「完璧」と評価【同性婚訴訟 結婚の自由をすべての人に】
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa396a2c5dde9648f05c1df7d8221a2fd6832a02
同性婚訴訟で「違憲」高裁判断の影響は…専門家「他の裁判を方向付ける」(HTB北海道ニュース)
https://www.htb.co.jp/news/archives_25238.html
弁護士「画期的な判決」従来から一転なぜ?同性婚認めないは“違憲”初の高裁判断(テレ朝)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000341023.html
同性婚訴訟「違憲」 個人の尊厳、保護重視 24条1項、柔軟に解釈 木下智史・関西大教授(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240315/ddm/003/040/022000c
【全国初】「婚姻の自由」にまで踏み込んだ判断 同性婚を認めない規定は「違憲」 札幌高裁判決(FNNプライムオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/671255